『ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 Op 79』 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

(P)フリードリヒ・グルダ 1953年11月13日録音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ピアノソナタ第25番 ト長調 作品79は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1809年に作曲したピアノソナタ。

概要
ひとつ前の第24番とこのピアノソナタが作曲された1809年は、『運命交響曲』(1808年)、『田園交響曲』(1808年)、『皇帝協奏曲』(1809年)などの大作が生み出されていた時期にあたる。一方、ピアノ曲の分野では小品が量産されており、前作同様この曲も小さな規模にまとめられている。ベートーヴェンは1810年7月21日に楽譜出版社のブライトコプフ・ウント・ヘルテルに宛てて「ト長調のソナタには『やさしいソナタ』もしくは『ソナチネ』と名付けて下さい」と書簡で希望を伝えており、初版譜ではそれに従って「ソナチネ」と題された[1]。その名の示す通り、ベートーヴェンのピアノソナタとしては演奏も容易である[2]。

第1楽章にカッコウの鳴き声に似た箇所があることから、このソナタは「かっこう」と呼ばれることがある[1][2]。楽譜は1810年9月にブライトコプフ社から出版された[1]。曲は誰にも献呈されていない。

演奏時間
約9分半[3]。

楽曲構成
第1楽章
Presto alla tedesca 3/4拍子 ト長調
ソナタ形式。「ドイツ風に」と指定されており、レントラーが意識されている。序奏を置かず、曲は第1主題の提示に始まる。

第2楽章
Andante 9/8拍子 ト短調
三部形式。メンデルスゾーンによる無言歌集の舟歌を思わせる。ゴンドラの上で二重唱を歌うような譜例3の主題に始まる。

第3楽章
Vivace 2/4拍子 ト長調
ロンド形式。冒頭から軽快な主題が提示される。この主題はピアノソナタ第30番の冒頭主題と密接に関連している。ロンド主題は譜例5を含む8小節とその後に続く8小節から構成される。

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