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シダネルとマルタン展行ってきました

 美術館「えき」KYOTOではじまった「シダネルとマルタン」展に行ってきました!
 最初に注意喚起。今からおいでの方はぜひ、スマホかカメラを持って入場してください。日本の展覧会では比較的珍しいことに(最近徐々に増えていますよね)、撮影スポットが3カ所あります。私も同行者もコインロッカーに入れてしまって、入場した後に気付いたので後の祭りでした。

 さて、印象派の系譜に連なるのに知名度が高くないアンリ・ル・シダネルと、シダネルと仲良しだったというアンリ・マルタン。なんてことない身辺を、ごく親密な筆致で描く穏やかな作風の二人です。
 写真やネットで見てるだけだとどっちがどっちの絵かわかるかな~と心配しながら行ったのですが、大丈夫、素人の私にもバッチリ見分けが付きました。
 マルタンの筆致、圧倒的筆の跡が分かる。そしてシダネルに比べて光の部分がくっきりしてる。特に大きめの人物画で顕著で、服の部分の塗りのストロークがなんか凄い。「こうだろ~」って塗ってる。
 マルタンの絵、特に個人蔵のものに顕著だったのですがキャンバスの横の部分が見えるように額装されているものが何点もあって、塗りの厚みとか、縁をどこまで塗っているかがわかって興味深かったです。無垢の木材のすっきりした額も悪くないなと思いました。素描とかは特に。

 マルタン連呼してますけど、シダネルの絵が中学生の頃から好きなのでこちらが本命と言えば本命です。親に連れて行かれたひろしま美術館の「離れ屋」(Le Pavillon)に描かれた、フランスの農村の薔薇園に囲まれた小屋(しょうおく)が好きで好きで、大人になってからもひろしま美術館に行くたびそこの前で過ごしていました。西洋絵画のうちで一番好きな作品です。大原美術館の「夕暮の小卓」も行くたびに挨拶してました。
 今回買った図録でひろしま美術館の学芸員さんのエッセイに「たそがれ時を描いたシダネル」「このヴェールのかかった光が、独特の叙情性を生み出し」(古谷可由/『最後の印象派二人――たそがれ時を描いたシダネル、白昼夢を描いたマルタン』より)とあって、うわ~、わかりますありがとうございますと快哉を叫びました。シダネルの絵の中でも好きなものは、夕暮れの離れ屋から漏れる光であったり、湖やヴェルサイユの庭を照らす月光であったりと、日中の光でないことが多かったのです。良いですよね~シダネルの月光。「ヴェルサイユ、月夜」では、宮殿の庭にある噴水の上にひろがる朧な月の光をたっぷり眺められました。今回の展示には出ていない「月明かりのテラス〔ヴィユフランシュ〕」(個人蔵)の月光も心蕩けるようなので、機会があれば是非。
 シダネルは他の作家があまり描かなかった窓を愛情込めて描いているというような事が展示品解説に添え書きしてあってこれも納得です。人気(ひとけ)が無い絵でも暖かさが常にあって、それが胸の奥をざわめかせるのです。確か「ジェルブロワ、明かりの灯る2つの窓」だったかな。こちら本当に小さい作品で、紙に油絵の具とパステルと鉛筆で彩色した簡素なものながら、窓の外に並べられた薔薇の鉢植えの、植木鉢の色までキュートで愛らしい一枚でした。家に飾るならこのぐらいの大きさが良い。
 あと、シダネルの人物画、モデルじゃなくて家族を描いたものはとても好きでした。船に乗って結婚式に向かう妹さんの姿、朝陽が白いヴェールに当たって天使の羽根のよう。柔らかい腰の線、慎ましく組まれた両手の優雅さ、きりりと掲げられた顔。あ~、大事な人なんだなってのが切々と伝わってきます。(後で知ったのですが妹さんの嫁ぎ先はなんとあのジョルジュ・ルオー。)

 

図録も買いました!

 ミュージアムグッズ売り場では、図録と絵葉書を買いました。古いシダネル展の図録を売ってないかなと期待したのですが、図録どころか書籍も印象派のものばかり。切ない。

 ところで、美術展でのもうひとつの楽しみは他のお客さんのファッションチェックです。自分のことはさておいて、お洒落さんが多くて目の保養。ビリジアンのワンピースに造形的なお花のブローチの方、タイトスカートにバイカラーの綺麗な中ヒールのパンプスの方、鮮やかな朱赤のワンピースの方。カラフルなお召し物が目に留まりました。気合いを入れておいでの方を拝見するとこちらまでわくわくします。

 

帰りは雨

 上の写真は伊勢丹側から撮影したJR京都駅ビルです。ロボット感あると噂の駅ビルですが、この日は静かな雰囲気でした。

「忘れられない展覧会2022」に参加中です

https://note.com/gakugeiin/n/nac06cb406007
 




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