キミシマフミタカ

NetflixやU-NEXT(ときどき映画館)で観ることのできる映画やドラマを独自の視…

キミシマフミタカ

NetflixやU-NEXT(ときどき映画館)で観ることのできる映画やドラマを独自の視点で考察します。

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映画評|『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』 “次世代のタランティーノ”のポップな「地獄めぐり」を楽しむ

 映画やドラマを見るとき、事前に情報を仕入れておかないのが、まっとうな映画の見方であるような気がする。映画はスクリーンに映し出されたものがすべて。それ以上でもそれ以下でもない。すくなくとも製作者や監督はそのつもりで作品をつくっている。なんの情報もなく、いきなり映画を見始めるのが正しい作法だと思う。  そんなわけで、この映画の公式サイトで“次世代のタランティーノ”というキャッチを見た瞬間、あわててほかの情報をシャットアウトした。いや、すでに手遅れだった。“次世代のタランティー

    • 映画評|『バーニング 劇場版』 村上春樹の原作を”二度読み”したくなる

       この韓国の映画は、村上春樹の短編「納屋を焼く」が原作である。映画を見たあと、久しぶりに「納屋を焼く」を読み返してみた。村上春樹の短編では個人的にベスト3に入るほど好きな作品なのだが、「あれ、こんな作品だったっけ?」と思った。それは不思議な感覚だった。映画を見た後に読んだら、まったく印象の違う作品になっていた。 「納屋を焼く」には一人の若い女性と二人の男性が登場する。主人公である小説家らしい「僕」と、若くエキセントリックな彼女、そしてルックスの良い謎めいた金持ちの青年。二人

      • 映画評|『ザ・テキサス・レンジャーズ』 ずっと続いていく野球の試合のよう

         ある昼下がり、ダブルヘッダーの試合を見にいく。もうシーズンも終盤、優勝争いに関係がなくなった、パッとしない2チームの消化試合。スタンドに観客もまばら。ビール売りの女の子たちも暇を持て余している。いい天気で、空には雲ひとつない。外野スタンドは今時めずらしい芝生席で、寝転ぶと小鳥のさえずりが聞こえる。  スコアボードにはゼロの点数が並んでゆくが、試合も中盤になると、それなりの攻防があって、お互いに少しずつ点を取り合う。ピッチャーが交代し、ピンチヒッターが出て、2塁打やホームラ

      映画評|『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』 “次世代のタランティーノ”のポップな「地獄めぐり」を楽しむ