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こんなに泣けるのに背中を押してくれる映画は初めて『20歳(はたち)のソウル』

(!)がっつり【ネタバレ】します

2022年5/27公開の映画『20歳(はたち)のソウル』を公開早々さっそく友達と観てきました。
感想を感じた通り書いてみます。

ほとんど前知識もなく、実話だということと、見た人の話では「すっごくよかった」という感想のみで観に行きました。
結論、泣けました。思い出しただけで泣けてきます。涙腺崩壊ポイントは後半全部かな(”ポイント”というか”期間”)。泣けるけど希望を与えてくれる映画です。

舞台は千葉県、市立船橋高校(通称、市船)の吹奏楽部。
主人公は吹奏楽部で活躍する浅野大義(神尾楓珠)、実話なので実在した人物です。ポジティブで明るくて、みんなから愛される存在です。映画を見ていて熱いやつだなと思いました。それと、男から見てもイケメンすぎます(中身も)。

映画の前半、大義は高校生活で部活動中心に青春を謳歌します。映画は矢継ぎ早にストーリーが進んでいきます。でも映画の構成的に、こんな輝かしい高校時代がテンポよく進んでよいのだろうかという疑問が頭をもたげてきました。その違和感は当たっていて、後半になるといっきにストーリーのテンポが遅くなります。それは高校卒業後、大学に入り、大義の体に肺腫瘍(がん)の兆候があらわれはじめるときです。

実話で映画化されているということは、、と考えをめぐらせます。邪推ですが、悪い予感しかしません。要するに、亡くなってしまうのではないだろうか。大義は若くしてがんに侵されるのです。訪れた危機一回目は助かります。つまり手術成功です。不運にも、がんは転移していて二回目の危機が訪れてしまいます。ここでも大義は持ち前のポジティブさで乗り切ります。
そして三回目、またもや危機が訪れます。映画の中の当事者たちの世界にいるような感覚で、助かってくれと願わずにはいられません。でもどうして3回もこんな目にあうのだろうとこちらも思ってしまいます。作中では、普段周りにポジティブで明るくふるまっていて、困難からも逃げなかった大義が、ついにやり場のない怒りをぶつけるシーンがあります。「どうして俺ばっかりなんだ!俺なんかしたか!?どうして!?...」心にぐさりとつきささるシーンでした。
そしてやはり、悪い予感のとおりになります。才能があり、明るくポジティブで、みんなから愛される大義。だれよりも一生懸命に生きる20歳の青年の命を奪うなんて...。あまりにも残酷すぎやしないか、神様。
…なんて、少し悲観的になってしまいましたが、この映画の本質は全力で生ききった大義の短い人生を描き、力強く生きる力や希望を与えてくれる物語です。作中の同級生、先生、家族と同じように、映画を見た僕も見終わったあと、大切なことに気づかさせてくれて大義に「ありがとう」と言いたくなります。

胸に刻んでおきたい言葉がありました。
大義は高校卒業後、吹奏楽部顧問の高橋先生から託された大事な仕事として、生徒たちのために作曲をします。病魔と戦いながら必至で作曲に挑戦します。楽曲の名は、『JASMINE(ジャスミン)』。神様からの贈り物という意味だそうです。
「一日一日、生きているだけで幸せ。今日という一日は神様からの小さな贈り物。」
「朝、何が入ってるんだろうと楽しみにしながら贈り物のリボンをほどくんだ」
「贈り物」の意味について大義が語った言葉です。まさに今の自分に言い聞かせたい言葉でした。朝「あ~眠い」とさえない気持ちで起きて、そのままの気持ちで一日をスタートする日もありました。今日の贈り物を感じ取れるよう、しっかり自分の目を覚ましてやりたいです。

心に残るシーンは他にもあります。
ベッドで休んでいる大義をあとに、恋人のなつき(福本莉子)の帰り際。
「伝えたいことがあるんだけど、、、」となつきが帰ろうとして気づいたように振り返って声をかけた。一瞬迷った末、「また今度言うね!」
そこで大義は「今...言って。」「明日があるかなんて、わかんないじゃん」声をふり絞って言うのです。肺のがんが進行したことで、話すことにも支障がでてきていて、スムーズにしゃべれないのだと思います。
そう、ここでも今のこの一瞬を大切にすることに気づかされます。先送りなんて許さなかったのです。
そして、伝えたいこととは「愛してる」でした。これほど深い「愛してる」があるだろうか...。

このあとの大義が安心できる恋人の前ではじめて見せた、弱音、本心。「死んだら、なにもなくなっちゃう」「死にたくないよ」
声をふるわせた、心の叫びは、見ている人の心が激しく揺さぶられました。

場面は変わって、”神応援歌”といわれる「市船ソウル」の高揚感は最高でした。この映画で初めて聞く曲でしたが、球場で応援するシーンは、胸が熱くなります。
物語の終盤で大義はついに逝ってしまいます。告別式には同級生たちがなんと160人以上も集まり、そこでも「市船ソウル」を演奏します。こらえきれずに涙を流しながら演奏し、聞いている人も涙を流すのですが、みんなどこか満たされています。本当は生きてほしかったでしょう。でも大義は本当に幸せだったと思うし、周りの人も、映画を見ている自分も幸せだと思えました。

終始、作中の登場人物とともに思わず涙があふれてくるシーンがたくさんありましたが、同時に大義の生き方に心が動かされ、体の底から力が湧き上がってくるように感じがして、残された人たちに希望を与えてくれて、背中を押されるような思いがする映画でした。

参考URL:
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/postseven/entertainment/postseven-1756846

映画の裏側、制作についても詳しく知ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=SG-fkWf2j7w

リアル・高橋健一先生、リアル・大義のお母さまの桂子さんが登場します。映画の中の登場人物より身近に感じられます。

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