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綿矢りさの小説『ひらいて』

あるとき、小説を読んでみようと思い、詳しくないので有名どころから読んでみようと、以前面白かった綿矢りささんの作品を読んでみました。どういう経緯で読んだかちょっと忘れてましたが(直観でだった気がする)、とにかく結論よかったのです。
僕は小説初心者なのですが、その中で、自分の中の評価が高いポイントがいくつかあります。一つはハッピーエンド、またはそこまでいかなくても後味がいいものです。少しだけこの先に希望が持てる終わりをするというか。二つ目は平和でほんわかしたのがいいです。恋愛ものもいいです。小説の中でもミステリーでは殺人がおきたりしまい、気分がよいものではなかったりします。もちろんミステリーがよくないのではなく、僕の読みたい気持ちの問題です。女性が書いたのもいいなと思っています。僕は男なので、女子の心情を描いたものを読んでみたいと思います。

読んだ「ひらいて」は、上のようなポイントすべてでよかったのです。
さて、概要がどんなものか紹介するために、Wikipediaの「あらすじ」を貼っておきます。

一重瞼でオシャレな木村愛は、高校一年生のときに同級生の彼を好きになる。変わった彼の名前は、〝たとえ〟。受験生になった愛は、一年越しで同じクラスになったたとえに恋人がいることを知る。いつしか執着に変わり、果てには愛の心の根底に流れる狂気と結びつく恋心は、行くあてもなく恋人の美雪に向かっていく。〝狂気だけど、狂気じゃない〟三者のうねり暴れる情念と若さのエネルギーが、静かにひらいていく。

ざっくばらんな感想をあげてみます。【ネタバレあり】

・女の子どうしの醜い争いが起きそうな展開になり、はらはらします。あらすじにあるように、主人公の女子高生、愛は同級生の男子に恋焦がれ、でも恋人がいると知って、狂気の行動を起こし始めてしまいます。何をしでかすか分からない不安感があります。表面上は優しく接しても、本音は恨んでいるという。
ですが、読み進めていくと、心の中ですさまじい葛藤はあるものの、争いは起きませんでした。予想外な展開でした。

・エロいです。
まるで官能小説のようです。女性の小説家が、ここまでの描写をするのか、というか女性だからこそできる甘美な世界、繊細さ、なのかと思います。上に述べたように、主人公の愛は葛藤するのですが、まさかそっちに?というのがこのエロい方向です。

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【ネタバレ】
ここでネタバレをすると、恋のライバル、同級生の美雪と、何が狂ったのかレズプレイを繰りかえす関係になっていきます。どういう経緯でそうなるかは、作品を読んでもらいたいと思います。

さすがは、芥川賞受賞作家。登場人物の心情の表現や情景描写がすごいです。美しい文章だと思いました。語彙力のない僕は、正直ついていけないレベルでした。そもそも小説読もうと思ったきっかけは、文学的な表現を学びたいと思ったということもあります。なので圧倒されました。

追伸
読み終わって、素晴らしい小説だと思ったので、綿矢りささんはどんな人なのだろうと、検索してみました。すると、写真をみると、信じられないくらい美人な方でした(ちなみに既婚)。この美貌をして、あんな引きこまれる文章を書くって、いったいどうなってるんでしょう、、と思いました。。




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