見出し画像

路線バスが走っている日本の離島一覧


「日本にはバスが走っている島がいくつあるのか?」という素朴な疑問から、日本中の離島のバス事情についてまとめました。

▶バスなどの路線が確認できた有人離島リスト


画像1

画像2

画像3

画像4

島内にバスなど(乗合バス、乗合タクシー、自家用有償旅客運送)の路線が確認できた離島は計180島(+北方領土2島)でした。

Twitterに投稿した際には177島となっていましたが、投稿を見た方から教えていただいた情報をもとに、3島( # 56大久野島、# 121平島、# 170奥武島)を追記 しました。ネット上の情報だけでは状況が掴めない島が依然として数か所残っていますが、180という数字はかなり実態に近いものと思われます。情報を提供いただいた方々に御礼申し上げます。


リストだけではとても無機質なので実際にたくさんの島を回られている方のブログをご紹介します。

※かっきー様(@kakkies_corner1)に掲載許可をいただきました。


◆◆◆◆◆◆

さて、ここからはより詳細なデータをご紹介します。


都道府県別でみるとトップは長崎県の36島。これに沖縄県の28島、広島県の21島、鹿児島県の15島と続きます。


長崎には対馬、壱岐、平戸、五島列島などがあることから、島国のイメージが強い沖縄県を上回る結果になりました。ちなみに長崎県内には1,000近くの島があり、これも都道府県別でトップの数字だそうです。


つづいて「本土」の欄に注目すると、本州からバスで渡れる島は68島(陸路で繋がっているのは # 66江田島を合わせて69島)、沖縄本島から渡れる島は10島という結果になりました。


多くの島の人口が減少していますが、バスが走る離島の数は近年増加傾向にあるようです。その最大の理由として、本土や周辺の大きな島との間に橋が架けられ、渡船からバスに切り替わるパターンが多いことがあげられます。

1988年の瀬戸大橋や、2006年のしまなみ海道をはじめとして、平成の三十年余りの間に大小様々な橋が開通しました。離島には、架橋に伴い開業した若いバス路線も意外と多く存在しているのです。離島架橋については様々な問題点も指摘されていますが、路線バスに限ると確実に追い風になっています。今後、新たに架橋計画が進みそうな島はそれほど多くないため、現在が離島バス路線のピークと言えるかもしれません。


また、近年離島でバス路線が増えている理由として、交通空白地域対策で作られた「自家用有償旅客運送」の制度があげられます。

これは自治体や特定非営利活動法人などが、過疎地域で住民住民の生活交通を確保するために運行しているもの。

厳密に言うと乗客の定員が10人以上でないと「バス」ではないのですが、地域の公共交通として利用されている実態を鑑み、またネット上の情報だけでは判断が難しいことから、すべてリストに含めました。例として、# 79沖の島のバスには軽自動車が利用されています(先に紹介したブログ参照)。


▶ 特に注目の島

つづいて、リスト作成中に気になった島々をご紹介します。

画像5

まずは「こんなところにもバスが走っているのか」と驚いた、長崎県長崎市の # 123池島。面積は約0.9km²、人口が約120人と、島内で完結する路線を持つ島の中では最小規模です。


元々は炭鉱の島として発展し、ピーク時には8,000人もの人が暮らしていました。しかし炭鉱は2001年に閉鉱。現在は島のほとんどが廃墟になっており、「第二の軍艦島」とも呼ばれています。

人口は H12:約2700人 → H22:約300人 → 現在:約120人 と急減。

正直バスはいつ無くなってもおかしくないという水準にきています。近年は炭鉱ツアーが徐々に人気になってきていますが、バスは昨年に日祝日の運行を取りやめているので、観光需要はあまり考慮されていないようです。今後の存続が危ぶまれます。


◆◆◆◆◆◆

他の面積・人口が小さいのにバスが走っている島としては、# 40女木島# 46伊吹島# 56大久野島などがあげられます。


 # 40女木島は香川県高松市の沖合約5kmに浮かぶ人口160人ほどの小島。

この島には「鬼ヶ島観光自動車」というとてもユニークな名前のバス会社があり、島内にある鬼ヶ島大洞窟に向かう観光客を運んでいます。

瀬戸内海の潮風に長年さらされ錆びついたバスは、バスマニアの間で知られた存在です。


◆◆◆◆◆◆

 # 46伊吹島は香川県観音寺市沖10kmにある人口500人ほどの島。面積は約1km²ほどしかありません。


有名な観光地でもないこの島でバスが生き残っている理由は「高低差」

島全体が急峻な地形で、集落の中心部では標高が50~80mほどになります。徒歩や自転車での移動が大変だからこそ、バスが地域住民の足として維持されているのです。


◆◆◆◆◆◆

 # 56大久野島は、広島県竹原市の沖合3kmにあります。面積は約0.7km²、人口はわずか20人ほど。

この島は「うさぎの島」「毒ガスの島」として有名で、ほぼ全域が「休暇村大久野島」の敷地になっています。

運行されているのは休暇村の無料送迎バスなのですが、予約の必要もなく、日帰り客の利用も歓迎ということなので、リストに加えることにしました。


◆◆◆◆◆◆

つづいて、「この島にバスがあれば…」と思ったのは、岡村島(愛媛県今治市)。

画像6

この島は広島県の呉市からつづく「とびしま海道」の終点に位置します。

とびしま海道には広島バスセンターや呉市街地からのバスが走っているのですが、その終点は岡村島の隣の大崎下島。大崎下島と岡村島の間は橋で繋がっているものの、広島県と愛媛県の県境ということもあってバス路線は運行されていません。

岡村島には、しまなみ海道の大三島や四国の今治からのフェリーが運行されています。岡村島~大崎下島の間がバスで繋がれば、しまなみ海道ととびしま海道を結ぶ新しい観光周遊ルートになりそうです。


▶ 離島の始発バス事情

最後に離島のバス事情をご紹介したいと思います。離島というと交通が不便なイメージを持たれがちですが、そうでもない場合があるようです。

※淡路島には西淡5:30→三ノ宮6:50という便もあります。

※屋久島にも4:45発のバスがあります。


こんな時間の離島にバスが走る理由は、①本土への遠距離通学・通勤者の生活路線需要(天草、倉橋、淡路) ②夜行/早朝の定期船への接続需要(佐渡、三宅、奄美)のいずれかに大別できそうです。


大都市から絶妙に離れた地域で始発が早いのは本州でも見られる現象で、首都圏では東京都八王子市、関西圏では三重県名張市などで早朝からバス路線が走っています。

ちなみに画像中で「相川4:08発のバスが日本一早い?」と書きましたが、船橋新京成バスの鎌ヶ谷大仏バス停を4:05発の便があることを教えていただきました。深夜急行で鎌ヶ谷に到着したバスが始発に化けるということですが、こんな時間に営業便が設定されているとは驚きです。


◆◆◆◆◆◆

以上、離島に関する一連のツイートのまとめでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?