コーヒー豆の量り売りサービスについて/環境保全と人の生活
こんにちは、ROUTEMAP COFFEE ROASTERSです。
インスタグラムの投稿にて、コーヒー豆の量り売りについてお知らせしました。
コーヒー豆の量り売りは、自家焙煎のコーヒーショップではサービスとして提供しているお店も少なくないと思います。
SDGsが世界共通の課題として取り上げられている今の時代、パッケージの廃棄量削減を目的としたサスティナブルな取り組みの一貫で、キャニスター缶やリフィルボトルを販売しているお店もよく見かけますね。
ROUTEMAPでもコーヒー豆の販売量が増えるにつれて、実施するまでに準備を進めておりました。
ですか、人々にサービスを提供する事業者として、このサービスを展開するまでに「環境」について、ROUTEMAPとしてどう取り組んでいくべきなのか。
この機会に徹底的に考えを詰めて、ひとつ方針を定める必要があると感じたのです。
インスタグラムでは書ききれなかった量り売りついての詳細、そしてリユースグッズへの考え方などをこちらの記事にまとめていきたいと思います。
1)コーヒー業界の抱える問題点
SGDsが今世界共通の課題として取り上げられる中、コーヒー業界でも使い捨てカップやパッケージの廃棄量などが長年問題視されてきました。
コーヒーを保存するパッケージの多くは、コーヒーの良い品質の状態を保つために、袋の内側に金属類などを蒸発させ表面をコーティングする『蒸着加工』という処理が施されています。
この処理が行われることでパッケージに梱包されたコーヒー豆は、太陽光や湿気、酸化から避けることができ、長期間の保存を可能にします。
しかし、コーヒーを消費した後パッケージはすぐに捨てられるため、廃棄処理の負担が大きい素材にもかかわらず、その量の多さゆえに環境への負荷も大きくなってしまいます。
使い捨てカップなどは、もともと単一素材だったり植物由来の素材を使用しているプラカップの製品もありますが、その廃棄量をみるとやはり同様に、なるべく使い回しができるマイカップを使用する方が圧倒的に環境への負担が少なくなります。
国連によると、このまま消費量と廃棄量管理が変わらなければ、2050年までに世界で約120億トンの廃棄物が発生してしまうと予測されています。
2)コーヒー豆量り売りセットについて
インスタグラムではコーヒー豆量り売りの提供方法を、以下の2パターンでお知らせしました。
①タッパーやキャニスター缶など、あらかじめ密閉できる容器を持参する
②量り売りセットを店頭にて購入する
特に詳細が必要な②量り売りセットについてですが、こちらはkomayaka制作の”RMC巾着ポーチ”と“ジップロック フリーザーバッグS”をセットで用意し、ご持参の度にジップロックを簡易クリーニングしたのち、ご希望の数量(1ヶ月以内で飲み切れる量推奨)をお詰めいたします。
お詰めしたコーヒー豆の産地背景などの情報は、QR記載のラベルを袋に貼付します。QRコードを読み込むと、オンラインストア商品ページ記載の情報を詳しくご覧いただけます。
(このQRラベルを袋に貼り付けます)
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消耗したジップロックはcube店頭にて回収し、新品のジップロックと交換いたします。
回収したジップロックは一定の量が溜まり次第、Terra Cycleの展開する『Ziploc リサイクルプログラム』にて回収、リサイクル処理が行われていきます。(※回収するバッグはジップロック製品のみとなります。)
3)なぜ「巾着ポーチ」と「ジップロック」なのか?
まず僕らがROUTEMAPとして取り組むべき環境への配慮は、「環境に大きな負荷のかかるものを可能な限り産み出さないこと」でした。
そして、それを踏まえて考えていく中で覚えた違和感が、「環境に配慮しているはずの製品が、今この世界に大量に生産されていること」でした。
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コーヒー豆の量り売りサービスを行うにあたり、独自のロゴブランドをプリントした専用のキャニスター缶やリフィルボトルを販売しているお店を店頭やSNSの投稿、広告などでよく見かけます。
僕(松村)個人、お気に入りのお店のキャニスター缶やタンブラーなど、いくつか持っていますし、デザインや機能性もすごく好みなので頻繁に落ち歩いて使用しています。
しかしいざ、販売者側として同じようにロゴやデザインを加え、ROUTEMAPからノベルティや記念品でもないものを大量に生産し、販売することをイメージしたら、「すでに同じような製品を多くの店で製造し流通されているのに、製品自体の全体量を増やしてまで販売するべきなのか」、と違和感を抱いたのです。
簡単に言い換えると、「製造処理で環境に大きな負荷がかかるものを、わざわざうちで大量生産して販売するべきなのか?」ということ。
なので、量り売りでコーヒーを購入する際、あらかじめお客さまが持っているお気に入りの店のタンブラーや保存力の高いキャニスター缶を持ってきてもらえたらサスティナブルという面ではクリアできます。
もしそのような容器を持っていないのであれば、ROUTEMAPで既に販売している、環境にも大きな負荷もなく、使いまわしの利く、持ち運びやすい「巾着ポーチ」なら、その場で手にとっていただけるのではと思いました。
しかしポーチ単体ではコーヒーの品質が劣化してしまうため、焙煎豆普段保管するために使っている「ジップロック」をセットにすることとしました。
食品の保存にうってつけのジップロックは、コーヒー豆の保存においてもその例に漏れず、家庭でコーヒー豆を保存するならば従来のアルミパッケージに次いで抜群の保存力を発揮します。
なぜ他の製品じゃなくジップロックに限るのか?
かえってプラスチックゴミが増えて、結局環境破壊につながるのではないか?
インスタグラムをご覧いただくと、このような疑問を抱かれたかと思います。
実は、焙煎業を始めた時からコーヒー豆の保存にはジップロックを使用しており、その理由のひとつは以下のプロジェクトにありました。
4)『Zip Locリサイクルプログラム』について
アメリカの企業「Terra Cycle」が展開するプロジェクト「Zip Loc リサイクルプログラム」というサービスが、旭化成ホームプロダクツと協働し2020年7月からスタートしました。
これは、使用済みのジップロックを一定数量をまとめてTerra Cycleが回収し、別の製品に作り替えることで廃プラスチック問題に貢献する活動です。
現在このプロジェクトは、傘シェアリングサービス「アイカサ」を運営するNature Innovation Groupと共同し、ジップロックをビニール傘にアップサイクルして全国主要都市にサービスを展開中。
旭化成ホームプロダクツも、今後このプログラムを通じて持続可能な環境、社会を実現を目指しているそうです。
5)"0 waste”の実現
ROUTEMAPでは、量り売りで数回使用し消耗したジップロックをすべて当店で回収します。(ジップロック自体、保存する食品により衛生面などを考慮し使い捨てを推奨しておりますが…)
回収の際、コーヒー粉の汚れはリサイクル可能な状態までクリーニングすることは容易であるのと、従来のコーヒーパッケージのように素材が合成されていないので、リサイクル時にかかる環境への負担もゼロになります。
さらに、巾着とのセットで持ち運びも気軽になり、かわいいデザインも施しているのでアイコンとしての効果もバッチリです。
コーヒーの品質保持・ブランドアピール・機能性、そしてTerra Cycleのプロジェクトに参加することでゴミが一切発生しない「0 waste」を実現し、全てのカテゴリをカバーし、消費者の満足度の得られるサービス提供を可能にしました。
6)サスティナブルなサービスの姿勢
量り売り販売の詳細について解説しましたが、ひとつ我々が重きにおいて考え詰めるべき点が、「サスティナブルなサービスの姿勢」についてです。
我々は決して環境問題において過激な主張や抗議を望んでいる訳ではありません。シチュエーションごとでプラスチック製品が必要なシーンもありますし、生活必需品にも多くの環境破壊につながる素材がたくさん含まれてしまっています。
そして廃棄量や環境負荷について述べたとしても、ROUTEMAPとしてのサスティナブルに対する考えでは、決してアルミパッケージでの購入が悪いということではなく、ドリンクの場合も使い捨てのカップを使用するのが悪いといことではありません。(そもそもマイナスと捉えているものならば最初から用意はしていませんね、、、)
贈り物用としてのラッピングや、ギフトボックスも今まで通りお客様のご要望にお応えします。どんなに廃棄量削減を意識しているとしても、「気持ちを込める」ことに一切妥協はいたしません。
もちろんROUTEMAPのグッズを何か販売するとしたら、ノベルティとして限定販売、または環境負荷のかからない素材のグッズなどを提供したいなと思うので、基本的に新しく負荷のかかるものを大量に生み出すのではなく、今在るものを使って環境に優しいサービスを行うべきだと考えています。
なので今回の量り売りサービスも、開始にあたりパッケージ自体を全て廃止をするのではなく、コーヒー豆のパッケージ売りと量り売りのそれぞれを並行して提供し続けます。
あとはお客さまそれぞれが求めるニーズに合わせ、「シチュエーションに応じたサービスの中で、人にも環境にも、適切な配慮を行う」ことを徹底して考え、取り組んでまいります。
7)環境保全と人の生活のバランスについて考える
SDGsが世界共通の課題として取り上げられてから、環境に関する情報や議論がより一層繰り広げられてきましたが、「なんとかしなくてはならない」という気持ちばかりが先行し、その時々のシチュエーションや、止むを得ない状況をも無視したサービスが広まっているように感じます。
確かに、日本の環境への意識は他の先進諸国よりも遅れており、有名な例だと2019年のCOP25で日本は、温暖化対策に後ろ向きな姿勢であるとして厳しい批判を受けてしまいました。
日常生活でも、地球環境のことを配慮しない振る舞いや言動をしている人を見かけると、とても悲しい気持ちになります。
しかし、我々は決して環境問題において過激な主張や論争を繰り広げることを良しとしていません。
先ほど述べたことの繰り返しですが、「ゴミを出すのが悪い」や「プラスチック製品を扱うのはダメ」という抑圧的な思考ではなく、その時々の消費者のシチュエーションに応じたサービスを通して、「人にも環境にも配慮をした、適切な処理の仕方や環境問題を、お客さまと同じ目線で一緒に考えていく」ことが重要なのです。
ちなみに環境問題に取り組んでいる各自治体のホームページにも、資源ゴミやプラスチック製品のあり方について書かれている情報があると思うので、自分の住んでいる地域でどんな取り組みが行われているのか、気になる方は調べてみると良いかもしれません☺
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これまで長々と述べてきましたが、「環境」という大きなトピックについて全てを一気に知ることは、個人の力では限界があるなと感じました。
実行の範囲を拡げるためには、事業をもっと大きく、そして長く続けなくてはならないし、常に地球のことについて考え、学び続けなくてはなりません。
結局、問題を解決する正解はひとつではなく、そして解決する方法にも合理性はないので、それぞれができることを一緒に協力しながら取り組んでいくべきだと、今は思います。
環境のために全ての利便性を排除することは可能だけど、“人が生活していくことを思うとそれは果たして適切なのか?”というように人の生活と環境のバランスについて、常に向き合って考えていかなくてはなりません。
人が地球上で生活していく限り、何かしらの形で環境には必ず悪影響を及ぼします。
かといってこのまま問題を放置してしまうと、地球がどんどんおかしくなってしまう。
なので我々がするべきことは感情的に声を荒げることでも、目の前の問題から逃避し現状維持のまま見て見ぬふりをすることでもなく、「環境問題に意識が向くような、充実したサービス」を消費者に提供することなのではと考えます。
自然と環境問題を意識するようなサービスを提供することが、我々事業者にとって一番の適切な取り組みではないかと思うのです。
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