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【GUATEMALA/Finca La Soledad H1】:コーヒーの”ハイブリッド品種”とは?

こんにちは、ROUTEMAP COFFEE ROASTERSです。

今年もグアテマラ/Finca La Soledadから、素晴らしいクオリティのGeisha種、そして新たにH1種のコーヒーが届きました!

ROUTEMAPでは、Soladad農園のGeisha種は一度提供していますが、H1種のコーヒーは今回初めてとなります。

日本のコーヒーショップではなかなか見ることがない品種だと思いますが、このH1種は近年コーヒー業界で注目を浴びている”ハイブリッド品種”として、今後のコーヒー業界の可能性を反映しています。

こちらの記事ではコーヒーのハイブリッド品種について、そしてLa Soledadの農園主RaulがどのようにしてこのH1種の栽培に取り組むようになっていったのか、綴っていきたいと思います。

※オンラインのご購入は4/27(木)から!


1)Centroamericano H1

Centroamericano H1は、コーヒーの木の病気「葉さび病(Leaf Rust)」に抵抗性のある[T5296]とエチオピアの在来品種[Rume Sudan(スーダン・ルメ)]との交配から生まれた第一世代(F1)ハイブリッド品種です。

このCentroamericanoは葉さび病に強い耐性を備えており、高地で適切に管理された場合、非常に優れたカップクオリティとなる可能性を持っています。

また、1本のコーヒーの木に実るチェリーの収量が多いことや、気候適応性、葉さび病などへの病気耐性、霜、干ばつなどのストレスに対する回復力など、あらゆる面で優れていることが挙げられます。

このF1ハイブリッド品種とは中米の農家向けに2010年に発表したものであり、コーヒー農業ではまだ比較的新しい品種です。

過去15年間に農家が商業的に利用できるようになったのは、一部の国のほんの一握りですが、なぜこの品種の開発が進められるようになったのでしょうか?

2)アラビカ種生産の危機/温暖化と気候変動

市場に流通しているコーヒーのほとんどはアラビカ種、ロブスタ種の2大原種と言われています。(リベリカ種という希少種もコーヒーの原種のひとつですが、全体の流通量は1%にも満たないためほとんど見かけません)

中でもアラビカ種はスペシャルティ業界で最も一般的に飲まれている原種であり、「ティピカ種」や「ブルボン種」などへと派生、交配や突然変異を繰り返していき、今では約120〜125種ほどの品種が確認されています。

アラビカ種のコーヒーは適切な環境で栽培することにより高品質な味わいや風味を生み出すことができますが、非常にデリケートな品種であるため、病気や害虫に最も弱いという特徴もあります。

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ここ数年で温暖化や気候変動が急速に進み、それによる葉さび病などのコーヒーの木の病気の蔓延、コーヒーチェリーの収量の減少など、多くのコーヒーの生産地域に甚大な影響を及ぼしています。

特にアラビカ種のコーヒーを栽培できる土地は今後大幅に減少すると予想されており、コーヒーの木は需要の増加に対応するために、より生産性を高めなければなりません。

この問題に対して策を講じなければ、コーヒー業界は今後数十年の間にアラビカ種の供給が壊滅的に減少する可能性、あるいはアラビカ種自体が徐々に絶滅していく危機に直面しているのです。

このような喫緊の課題に対応するため、世界的コーヒー研究機関「World Coffee Reasrch」”F1ハイブリッド”と呼ばれる新しいコーヒー品種の開発に取り組み始めました。


3)F1 ハイブリッド種

コーヒーの花。ジャスミンのような香りがします。

現在確認されているアラビカ種の伝統的な品種のほとんどは、自然交配や突然変異によって生まれたものです。

しかしそのような「栽培品種」は遺伝的な多様性に欠け、気候変動や病害虫に弱い品種ばかりがほとんどなのです。(一度病気にかかった品種が突然変異したとしても、遺伝子的には病気への耐性が弱いままである)

一方F1ハイブリッド種は、コーヒーの研究機関で多様な品種のコーヒーを交配させ、目的の品質を作り出すことができるになった品種です。

そのためF1ハイブリッド種の特徴としては、チェリーの収量の増加、気候適応性の向上、病気(葉さび病など)、霜、干ばつなどのストレスに対する回復力など、あらゆる面で優れていることが挙げられます。

中米のいくつかの国では、すでに数種類のF1ハイブリッド品種が農家に市販されています(最初の品種は2010年に発売されました)。


4)La SoledadとH1

Soledad農園内のコーヒーの木。収穫しやすいようにコーヒーの木は低く剪定されています。

農園主のRaulが、ハイブリッド品種を栽培することを決断したのは2011年。当時中南米で発生したコーヒーの木の病気「葉さび病」で、多くの小規模農園は壊滅的な被害を受けました。

La Soledad農園も同様に、葉さび病による被害を受けてしまいます。

この事態への対策を打つため、耐病性があり、かつ品質が優れているコーヒーの品種を求め、見つけたのが第一世代のハイブリッド品種「Centroamericano(H1)」という品種でした。

H1は種子で繁殖しない雑種なので、クローンを作り増殖する必要があります。

H1種がコーヒーチェリーとして収穫できるまで、植え付けから3年かかります。そこからまた改良をしてより良い品質を生み出していくためにはかなりの労力を必要とします。

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今回のロット分では、収穫時に5~6回の選別を行い、最高の熟度を確保し、カップの中でより良いフレーバーが出るようにしています。

約36~45時間かけてドライファーメンテーションをした後、アフリカンベッドで平均14~17日間乾燥させます。その後、輸出されるまで、鮮度と湿度を保つためにグレインプロで寝かします。

コンプレックスで、フローラル、フルーティな酸は、ハイブリッドとは思えないクオリティかと思います。

今後H1をどのように発展させていきたいですか?と伺うと、「農園内でこの品種の生産を20%まで増やしたいね」と彼は話してくれました。

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温暖化による収穫量の減少は、コーヒー生産各国にも既に影響が出ており、さらに気候変動が進むにつれてコーヒーの木の病気も発生率が高まります。

やがて品質にも影響が及んでいくと、限られた資本でコーヒーを生産する農家にとってはまさに死活問題なのです。

このハイブリッド品種の改良を進め、生産率を向上させていくことは、全てのコーヒー農家にとっての大きな希望となります。

これは生産国側だけの問題として構えるのではなく、業界全体で意識を向け、市場に流通させていくことが、今後のコーヒー生産を担う重要な鍵となるのです。

(参考資料)
SYU・HA・RI COFFEE IMPORTERS
・La Soledad農園主Raul Perezからのメッセージ
WORLD COFFEE RESEARCH/Centroamericano H1
WORLD COFFEE RESEARCH/F1 Hybrid Trials
PERFECT DAILY GRIND/Coffee Varieties: What Are F1 Hybrids & Why Are They Good News?

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