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やまと歌は人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける

0.はじめに

 「スキな3曲を熱く語る」というテーマの投稿ではあるが、「スキな3曲」という言葉の解釈は多様なものがある。本稿では筆者がこの生涯において最も多くの回数を聴いてきたであろう3曲を取り上げ付随する想いも併せて記載してみた。
 いずれも1970~80年代の歴史的名盤からの選曲ではあるが、著者は1984年を生年としておりリアルタイムでの体験では無く所謂「後追い」という立場からの記述になることをお断りしておきたい。


1.TELEVISION ‘MARQUEE MOON’
 (“MARQUEE MOON”所収) 1978 アメリカ

 NYパンクの不朽の名作にして、またアート・パンクの文脈で語られる事も多い一曲である。
 鋭いギターの音色で静かに始まるこの10分38秒の魅惑的な曲はトム・ヴァーラインとリチャード・ロイドの2本のギターの絡みを最大の特徴とし、やや痙攣がかった響きで魅せるトムのヴォーカル、シンプルかつ屋台骨を支えるフレッド・スミスのベース、ビリー・フィッカの存在感のある確実なドラムが独創的な世界を体現する。
 青白い炎のような、冷たくもあり圧倒的熱量を持つ本作はロックシーンを代表する一曲と言っても過言ではない。

 現在はギターのリチャード・ロイドに代わりジミー・リップが加入して活動を続けていると思われる。活ける伝説の再来日を期待したい。

2.YES‘SIBERIAN KHATRU’
(“Close To The Edge”所収)1972 イギリス

  続いてプログレッシブロックから一曲紹介したい。イエスの『危機』の最後の曲として収録されている本曲はライブ盤『イエスソングス』にもある通りはじまりの曲としてのイメージが強い。
 ジョン・アンダーソンの清涼感のあるヴォーカル、妖怪のようなスティーブ・ハウのギタープレイを中心としとてつもない集中力で演奏され恐ろしいほどの密度の高さから構成されたこの大曲は名実ともにプログレッシブ・ロックの絶頂。
 8分52秒間、ひたすら積み上げられる音の数々がもたらす興奮を、ドライブ感を味わって頂きたい。

3.YMO‘1000 KNIVES’
(“BGW”所収)1981 日本

 最後の曲であるが、この曲はYMOのメンバーである坂本龍一のソロ曲として1978年に発表されたものが、YMOの曲として1981年作『BGM』に収録されたものである。既に指摘されている通りこの時期のYMOはイギリスのニュー・ウェイヴのムーブメントの影響を受けており、収録アルバム『BGM』は「ノイズ」というキーワードで語られる作品である。
 この曲も音と音の間、隙間を狙ったような音作りがされており、快と不快の間とも言えようなささくれ立った音が印象的で、それが極上の美メロを奏でているところに中毒性を持つ。ややもすると傷を付けるような痛みを感じるところにある種の偏執を受け取り、私を虜にする。魅惑の音世界である。

4.終わりに

 以上、3曲を紹介させて頂いたが私なりの美意識が象徴される曲であると思っている。思想、テクニック、スタイル、語られるべき点は色々あると思うが思い付きの勢いで記述してみた乱文を詫びたい。
 読んで頂いた方の音楽生活の一助となることを願って筆を置きたい。


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