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鼻垂れがあじわった天国と地獄

私が小学生の頃
姉に連れられて
姉の友人の家に遊びに行った。
その家はとても立派で
所謂豪邸だった。

その豪邸には6人ほどの
小学生が集まっており
お姉さん組と
下級生組に分かれて
それぞれ、パーティーのような
大盛り上がりをみせていた。

その豪邸のお姉さん組の子が
お菓子やジュースを運んでくれ
パーティーはさらなる
歓喜に満ち溢れていた。

その事件が起きるまでは…

ポテトチップスやらジュースやらを
食べて飲み、喋り、笑う。
とても有意義な時間だった。

ふ、と鼻垂れの私は
とあるお菓子を手に取り
口の中に入れた。
しゅわしゅわっと微炭酸が
口の中を走り回り
さらに有意義になる。
天国か楽園か。

しかし、、、
何かの拍子に爆笑した鼻垂れは
一瞬にして地獄を見る。

そう、その口に入れたお菓子は
大粒の飴玉だったのだ。

遊んでいるうちに
爆笑した瞬間、ゴボッと
それは喉に吸い込まれた。

予期せぬ一瞬の出来事に
鼻垂れは横になり、もがき苦しむ。
強い締めつけと息苦しさが襲う。
急に踏まれた噴水中のホースは
きっとこんな思いをしているのだろう。

そして
当然の如く場は凍る。
大丈夫?と声をかける者や
ジュースを勧める者に
背中を叩く者。
しかし、どれも効かない。

その飴玉は舐め始めて間もない物で
ほぼそのままの大きさで喉に詰まった。

…どれだけ経っただろう

不思議なことに
その後の記憶がまったくない。
あんなに苦しんだはずなのに
次の記憶が
母と姉と共に歩いたシーンなのである。
鼻垂れはのんきに笑っていた。

どうやら聞く所によると
幸い飴玉は喉で溶け
窒息は免れた、と言う。
今考えてもゾッとする話である。

ちなみにレモン味だった事は
何故だかよく覚えている。

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