影ベランダ

朝いちばん早いのは

 うちで朝いちばん早いのは妻です。
 次が犬で、最後がうちでいちばん寝坊のわたし。

 妻が起きると、たいていは妻の足下で寝ている犬が起きて、妻のあとを追いかけて寝室を出て行きます。カチカチカチ。爪が床にあたる音。その音でわたしは一度目を覚ますのですが、たいていはまた寝てしまいます。

 わたしがちゃんと起きるのは妻と犬が朝の散歩から帰ってきた時。
 カチャッカチャッカチャッと爪音(足音)を響かせて走ってきた犬がベッドに向かってジャンプ。小さくポンっベッドが揺れた数秒後に暖かい舌で顔をペロペロ舐められてしっかりと目が覚めます。
 犬が走ってベッドにジャンプしないでこっそり歩いてきてふわっとベッドに乗ってそっと近づいてくると顔を舐められるまで気づかないことがあって、舐められたときにわたしが「うわっ!」っと驚くと犬は楽しくなっちゃうみたいで、それから何度もしつこく顔を舐めてきます。目をあけるとそこには笑顔(間違いなく笑顔)でわたしを見下ろす犬の顔。どアップ。「わかったわかった起きるよ起きるよ」。そういって身体を起こすまで何度も。そのときの犬の表情はとても嬉しそうで、尻尾をアクセル全開で振っています。

 犬がわたしを起こしにくるのは、妻に「おとうさんを起こしてきて」と言われたときか、とてもお腹が減っているとき。
 わたしが起きないと朝ごはんにならないので、お腹が減っているときは妻に頼まれなくても自発的に起こしにきます。

 雨が降っている朝は妻が起きても犬はまだ寝ていることがあります。
 そういう朝は、妻の足下からわたしの足下に移動してきて、布団の上からわたしにペッタリとくっついてきます。「あ、雨かな。散歩にいけないんだ」寝ぼけたアタマでそう思うと、わたしもまた寝てしまいます。

 雨の朝でも妻は早起きです。妻がつくる朝食のスープ(和食のときは味噌汁)や卵焼き(目玉焼き)のニオイがしてくると、犬はベッドから降りて寝室を出て行きます。
 わたしもそろそろ起きよう。なんだかお腹が減ってきた。

お立ち寄りいただきありがとうございます。お暇な時間ができたら、また寄っていただければ嬉しいです。