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THE COFFEE TIMES≪美味しいコーヒーの生まれた国~エチオピア≫2/2

前回はエチオピアにおけるコーヒーの栽培環境や経済指標のご紹介などをお伝えしましたが、今回はより国民の生活や経済に直結する農業に関する現地での改善プロジェクトを2つご紹介したいと思います。
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世界的に人の生活行動を中心に考え、そこか ら問題解決を図るHCD(Human Centered Design)と呼ばれる考え方をもとにプロジェクトを 推進している団体IDEO.orgがアメリカに存在し ています。まずはこの団体が現在取り組んでい るエチオピアのプロジェクトをご紹介させていた だきます。


≪Building a Low-Cost Teff Seed Planter≫
エチオピアの代表料理インジェラの原料となる テフの低コスト種まき機開発プロジェクトです。
慣習的で無作為な種まきでは、機械的なプロ セスに比べ、最大10倍近くもの種が使用されて いましたが、コントロールすることにより必要な種 (費用)が軽減でき、農業従事者の利回りをよく するというものです。
エチオピアでは地域、時期により土壌が多様に 変化します。伝統的に雨季に種まきがおこなわ れているため、土壌は非常にやわらかく、農家 の人々は簡単に種が水で流されてしまうからよ り多くの種をまいておかなければいけないと考 えています。
しかしながら、実際のテフの成長はより力強く、 少量の種でも流されることなく十分に根をはりま す。そして一列に種を植えることで、根の絡み つきもなく、それぞれが栄養を吸収して成長し ていくため、無駄がなくなり種の使用量も軽減 できます。
エチオピア国内の専門家からの意見によれば、 想定では1エーカー当たり1.2トンの収穫量を7ト ンにまで増やせる可能性があるようです。
プロジェクトチームは、アメリカ本国でのプロトタ イプ作成からスタートし、エチオピアでの2度の フィールドワークを通じ、現地の研究者や金物 屋とのリレー ションも築いています。これらのリ レーションを活用しながら現地でのプロトタイプ 改良やそのための問題解決の糸口を見つけ、 より現地の環境にあったものに仕上げています。
現在、プロジェクトは第2フェーズに入り、 チームメンバーの入れ替えもありながら、継 続されています。この機械はエチオピアのさ まざまな土壌に対応し、最終的にはエチオ ピア国内で製造され、修繕できる態勢が必 要となってきます。
エチオピアには605万人ものテフの生産者 がいます。つまりは、このプロジェクトが成果 をあげていけば、テフ農業の従事者たちの 生活を劇的に変えることのできる、そんなポ テンシャルを持っているという事になりますね。

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                                                                                         (IDEO.ORG webより)


続いて、日本が取り組んでいたプロジェクト をご紹介したいと思います。
≪ベレテ・ゲラ参加型森林管理計画プロ ジェクト≫
独立行政法人国際協力機構(以下、JICAと する。)とUCC上島珈琲株式会社の協働で、 2003~2006年(フェーズ1)、2006~2012年 (フェーズ2)の2期で行われたものです。 エチオピアの南西部に位置するオロミア州 ベレテ・ゲラ森林優先地域を対象としたプロ ジェクトで、森林保全と住民の生活向上(生 計向上支援活動)の両立が求められていま した。
森林保全については、ベレテ・ゲラ地域に ある44の集落それぞれに森林管理組合を 設置し、森林管理のルールを制定すること で、農地拡大のための違法な森林伐採の 管理を相互で行うものです。
また、森林内に自生している コーヒーでレイ ンフォレスト・アライアンス国際認証を取得し、プレミアム価格での販売を目指し、住民の収入増に伴う森林保全のインセンティブ 付けを行った。

同時に農民を対象とした野外教室を開講し、農業技術の改良と農地の生産性向上に向けた教育を 行っていました。
このように、本プロジェクトの目的はコーヒーのプレミ アム価格での販売や農地の生産性向上が進むにつ れて、以前の様な農地拡大を目的とした森林伐採は抑制され、森林を伐採せずに生計を向上させると いう仕組み作りを目指したものでした。
また、JICAの支援終了後もプロジェクト(森林管理及 び生計向上)の効果が継続するよう、民間企業との 連携(環境NGO、日本向けの輸出入を行う商社、日 本での販売業者)を進め、認証の取得、生産・品質 の管理、マーケティング、輸出という一連の流れをプ ロジェクトを通してコーディネートされていました。
その後、収穫されたコーヒーはアメリカやイタリアへの輸出も一部行われるようになり、またUCCにおいては継続的に日本での販売もなされています。
加えて、2014年7月~2020年1月での期間 でプロジェクトが再度スタートし、今回は以前のプロジェクトの対象地から別地域に広 げていくことを目的としています。

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今回は、2プロジェクトのみの限られたもの になってしまいましたが、その他にもまだま だ知られていないプロジェクトや活動があ るかと思いますので、是非ご紹介ください。 そして、より多くの方に知っていただき、 コーヒーから繋がる世界の一面を皆様と 共有できればうれしく思います。
それでは。
Have a nice cup of coffee :)

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