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土建業から一人親方(個人事業主)が消える日

(3/11 調査大幅加筆)

(3/9 調査加筆)

「インボイス制度」 

聞きなれない言葉だと感じる方もいらっしゃるでしょう。インボイスって何でしょう?声とは関係ありません。ひとつの単語です。わかりにくいですね。定義はこうです。

「商品の流通過程で仕入先の発行するインボイス(送り状・納品書)の提出が義務づけられている方式。インボイスには、商品の価格、仕入先に支払われた税額などが明記されており、これによって控除額が確認され、脱税や二重課税の防止に効果がある。日本の消費税では、インボイスを必要としない帳簿方式がとられているが、経過措置の終了とともに2023年からはすべての事業者に適用されることとなりました」


何だか、よけいに分からなくなりました。行政の資料はとにかく分かりづらかったので、「全国商工団体連合会」のイラストを転載させていただきます。

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個人事業主、 フリーランス、 一人親方、と言葉は違えどこれらの働き方にとって、なぜインボイス制度は深刻な問題となるのかまとめてみましょう。

経過措置期間が終わる2023年10月1日より、今まで対象外であった売上が年間1,000万円以下の一人親方でも、消費税10パーセントの対象とする制度です。

もれなく10パーセント売上が減りますから、最悪廃業もあり得る制度であり、何とか事業継続しても、思い切ってサラリーマンとして働くことも視野に入れなけばいけないでしょう。個人や個人商店から、例外なく税金を毟り取る制度です。

消費税ですから累進性は無く、当然中小企業以下の規模ほど打撃は大きくなります。


少子高齢化は待った無しの事実ですし、それに伴う国の財政事情も深刻です。もう背に腹は代えられないため、消費税制の周知徹底、 国民皆保険化の確実な促進、 特に建設業において、総サラリーマン化し完璧な社会保険取り立てシステムを導入するのが最大の狙いだと感じても仕方がありません。

廃業という点においては、もう行き場の無い街の小売店の方が深刻かもしれませんね。


つまり一人親方、小売店の生殺与奪権は行政が握ったといっても過言ではありません。
準備期間は十分に与えたのだから、どうするかは自分で選べよ。の名のもとに、国民の権利である職業選択の自由は握り潰されようとしています。

CCUS構想の発端は、2005年から取り組んできた民間ベンチャーで構築された通称「グリーンサイト」ではないかと私は考えています。

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元々、安全管理情報などのAPIの1つでしたが、1社が如何にして、120万人の技能者データを蓄えるに至ったかの背景は私にも正確にはわかりません。ただ、㈱リクルートの出身者が様々な業種でトップランナーとなるのはよくありますし、その力量には驚くほかありません。利用料等で会社はたいそう潤ったでしょう。そしてここから事は一気に加速します。

2019年、当該社サービスとCCUSとの連携が決まりました。ここからの仕組みつくりのスピードは、一人親方の対応のそれを上回ったでしょう。当事者は置いてけ堀ですが、正直、民間企業と建設業振興基金が国家レベルのプロジェクトを構築できたということに驚きを隠せません。まるで初めから道筋があったかのように事が1点に集約しています。もし理由の一片でもご存じの方がいらっしゃれば、是非コメントあるいはメールで教えてください。トムロの好奇心を満たしていただきたいのです。

参考資料「グリーンサイト」が建設キャリアアップシステムの標準API連携認定システムとして承認されました。


さて、このnoteで最も強調したいのは、建設業における一人親方の将来と予想される業界の未来です。一人親方は先に書いた様に「公共事業労務費調査」や公文書でも調査の悪用だとして槍玉に上がっており、インボイス制度、グリーンサイト、特定技能外国人受け入れ、という包囲網と、いよいよCCUSとマイナンバーが連携・施行しますので、おおかたの一人親方は工事に参加できず殲滅されるでしょう。正直な商いをしていても、もろもろ登録料が徴収されます。もうこれはフリーランス潰しです。中小企業でも例外ではありません。行政側の趣旨も理解できますが、強制感やゼネコン優遇感が否めません。

一人親方=調査逃れ税逃れと決めつけられていますが、自由な働き方を選んだ真っ当な一人親方も沢山いるのです。
ここで言う真っ当とは、税務上きちんと青色申告が出来ており、本人の給与と経費を明確に分けられる方のことです。
当然1/2会社負担分のあるサラリーマン親方よりも、多くの社会保険料や建退協への納付もしている方です。

一方、土木建築業界は職人の世界でもあります。
技術があれば年齢の要件は必要ありません。

仮に55歳で型枠工から大工を志し、仮に数年で宮大工並みの能力を満たしたスーパー匠一人親方が、確定申告をきちんと済ませていたとしても、納付期間が15年を超えなければ国民年金は支払われません。人生100年といっても、100歳が30歳と同様に働けるという意味ではありません。
この場合、70歳で受け取れる老齢年金や退職金はスズメの涙でしょう。100歳まで生きても、15年間の支払総額を上回ることはありません。

何より、一人であらゆる作業をこなせるスーパー技能を持った親方が、サラリーマンの縦社会で十分に実力を発揮できるとは到底考え難いのです。

それを働き方改革と言えるのでしょうか。寧ろ、高い請負額の一人親方で居続けることをバックアップしてあげるべきです。

改めて働き方改革の定義とは。
厚生労働省のトップページにはこうあります。

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実際、企業ごとに多彩な取り組みがなされていますが、こと一人親方・個人事業主においては「多彩な働き方を選択できる社会」とは言えません。
決して少なくない勢力ですが、残念ながら多勢に無勢なのです。

これらが、着々と準備を進めてきた政府によるコンプライアンスの押し付けとは言い過ぎでしょうか。

国家予算支出のおよそ半分をどこの省庁が占めているかご存じでしょうか。厚生労働省です。財源の確保が税金となるのは当然ですが、多様な働き方に廃業を含むならば、怒りや諦めを補う策も必要でしょう。

時代の変遷とともに、特定の職業が淘汰されるのは過去にも多くの事例があります。
しかし、多様な働き方の選択として我が国の一人親方や個人事業主、フリーランスは、生き残れるかどうかの瀬戸際に追い込まれているのです。大変な矛盾です。

一人親方が全否定されているわけではありません。今までより少し努力して、法律に沿った会計をすれば良いのです。

が、満を持してCCUSに対して、2019年度に国の予算が付きました。これは今まで民間が進めていると装っていた事業が、国の仕組みとなることを意味します。まさにあらゆる情報が一元化される最高のタイミングでです。


働き方改革に働き方の自由を奪われることのないよう、特に中小以下の土建業者は十分に注視していく必要があります。「どんどんお金も手間もかかるようになるが、果たして受託につながるのか」を容認できるかで各自の受けとめ方は大きく変わるでしょう。

※ここで最新の CCUS 2020/2/29の技能者登録人数を示します。 国や基金の示した今年度3/末の技能者登録数「目標」は100万人です。もう一度言いますが、100万人です。

国費を投じた以上、この実績の原因を明らかにする必要がありますし、それはちょっとしたアイロニーになると思います。一定数は発注者や元請けへの配慮で登録するでしょうが、3/末の結果がでましたら、グリーンサイト登録者数との差が何なのか、概ね明らかになるでしょう。それまで新型肺炎にお気を付けください。

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ありがとうございます