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産業医の選任

法令遵守から健康経営にいたるまで産業医を選任する動機は企業により違います。では、どのように選べばいいのでしょうか。産業医視点となりますが、産業医を選任するにあたり企業・事業所側の注意点を考えていきましょう。主に嘱託産業医の話となりますのであしからず。

企業側の需要

産業医への要望は企業により幅があり、最低限の法令遵守から本格的な産業保健活動まであります。最低限の域を出て、違法ですが名義貸しのような形も残念ながら存在します。

そのため、産業医に求めるものも変わってきます。つまりは、産業医選任するだけでいいのか。はたまた、月に複数回の訪問で体制作りや熱心な活動を希望するなどあります。

どちらかに偏っていれば話は簡単です。選ばないのであれば安い報酬で雇えばいいですし、投資と思えるのであれば高額でも許容できますね。その合間の報酬面と産業医の技術や熱意に、これらの事情を加味して産業医選びを考えることが大事です。

実際には、産業衛生学会専門医や労働衛生コンサルタント、本業となる臨床かなど評価項目はあるかもしれませんが、産業医の能力を見極める判断材料が乏しいのが事実です。ことを考えると、雇用側においては圧倒的不利です。

産業医の質と報酬

産業医は、日本医師会が認定する資格です。医師が産業医となる資格があるために、産業医を本業とする医師もいれば、内科や外科を本業としながら産業医も行っている医師がいます。

日本医師会認定産業医といっても、研修会を受講した程度のものです。試験はありませんので、産業医の技術・知識はまったく担保されません。本業が他の診療科の場合には、それらの実務や研鑽に忙しく産業医領域にまで手を回せない場合も多いです。

報酬の相場は、事業所の規模にもよりますが、3万円/時間が最低ラインのようです。10万円/時間など公表している医師会もあります。

需要と供給

雇用される側から見れば、仕事が少なく報酬が多いほうが嬉しいですし、雇用する側からみれば費用を抑えて優秀な人材を確保したいところです。それが市場というものです。その市場に変動させる要素として、産業医案件の囲い込み、仲介業者などです。

産業医案件は、産業医大の方々や地域の医師会などに依頼がなされるため、その関係者が契約しているとよく聞きます。実際のところは、関係者ではないのでわかりません。

仲介業者にも、仲介料を取るだけのところもあれば、仲介の内容に産業医にもならず保健師を斡旋したり、産業保健体制構築を支援するなど様々です。一概に仲介業者は悪いとは思いませんが、産業医の報酬は少なくなるので産業医の質は落ちる事は否めません。

個人的には、産業保健体制構築への積極的に支援がある場合には悪い選択肢ではないと思います。産業医を産業保健体制の一部と考えるならば、基盤の構築さえできれば産業医への依存度は低くできるのではないでしょうか。

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