たろう@精神科産業医の整理note

精神科を営みながら、複数企業の産業医、精神科顧問医を勤めてきました。従業員、産業保健ス…

たろう@精神科産業医の整理note

精神科を営みながら、複数企業の産業医、精神科顧問医を勤めてきました。従業員、産業保健スタッフ、産業医、精神科医にとって有益な情報を記事にしていきます。2021年に取得した労働衛生コンサルタントと健康経営アドバイザーは経験談を軸に紹介します。

最近の記事

精神科と心療内科の違い

うつ病、適応障害などの精神疾患に罹患した際に、精神科や心療内科の医療機関に受診します。十数年前には、精神疾患を患うことへのスティグマが存在し、通院することへのハードルは高いものでした。 自己開示や通院することへの閾値が下がった昨今ですが、功罪や社会的影響はさておき「うつ病は心の風邪」といった啓蒙活動、過労死など社会的問題化が大きな転換点となったのは事実です。 受診を考えている人からタイトルに関する質問をうけたときには、「気にせず受診してもらったらいいですよ」と回答します。

    • 職場復帰にむけての準備 リワークは必要か?だれが行うか?

      リワークとは、return to workの略語です。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムです。復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいいます。(うつ病リワーク研究会から抜粋) メンタル不調から休職を余儀なくされることがあります。晴れて復調した際に職場復帰となりますが、果たしてスムーズに復帰できるのでしょうか。 職場復帰が難航する、もしくは、再休職に至るケー

      • メンタル不調休職の支援について考えてみました

        メンタルヘルス対策では、発生の予防(1次予防)、早期発見・介入(2次予防)、再発防止(3次予防)があります。3次予防として、復職支援があります。復職支援は主治医から復職診断書が発行されて始まるように想像する方も多いのではないでしょうか。 スムーズな復職、再燃による再休職の予防のためには、実は休職する際の支援が大切だったりします。今回はそのことを考えます。 復職支援プログラム作成これから個々のテーマにて記載していこうとは思いますが、支援内容の画一化や改善のためには、ルールを

        • メンタルヘルス相談窓口 全労連、こころの耳、産保センター

        精神科と心療内科の違い

          助成一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000208406.html

          助成一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000208406.html

          産業医を精神科医にお願いするメリットとデメリット

          昨今、産業保健においてメンタルヘルスが大きな課題となっています。 50人以上の従業員を雇用する事業場では産業医の選任を義務付けられており、精神科を専門とする産業医を希望する企業もあります。 はたして精神科医を産業医として雇用することはメリットがあるのでしょうか?精神科も産業保健も両方ともに精通する医師は多くはありません。 実際産業保健の現場で悩む事例の多くは労務上の問題であり、精神科医療よりも就業上のメンタル不調の取り扱いを熟知する産業医の方が実務的だと思います。 精

          産業医を精神科医にお願いするメリットとデメリット

          健康経営における産業保健

          1890年代後半の足尾銅山鉱毒事件から端を発し、労働衛生行政が行われる契機となった。現代においては、1991年電通事件を契機に、メンタルヘルスが産業保健の一つの大きなテーマとなっています。 法令の整備により、職域における健康被害を防ぎ救済する最低限のルールが定められています。企業が遵守すべき義務といったニュアンスでコストとして考える経営者もいます。 一方で、プレゼンディーズムによる企業の損失、産業保健活動の費用対効果といった、投資として産業保健活動が推進されているのはご存

          健康経営における産業保健

          ポピュレーションアプローチでは健康に関心のない集団も考慮に入れて健康増進策を考える。メンタルヘルス、とくに復職プログラムでは、疾病利得を考慮する必要あり。

          ポピュレーションアプローチでは健康に関心のない集団も考慮に入れて健康増進策を考える。メンタルヘルス、とくに復職プログラムでは、疾病利得を考慮する必要あり。

          産業医の多くは保健衛生に強いが、安全管理には弱い。医学の専門家なので当然。現場では後者に関する助言も求められる。

          産業医の多くは保健衛生に強いが、安全管理には弱い。医学の専門家なので当然。現場では後者に関する助言も求められる。

          労コン受験記②

          一年目の不合格までを振り返っていきます。なんら参考にはならないので、同じ轍を踏まないように参考にしてください。 勉強法 周囲に助言してくれるものもおらず試行錯誤の末の方法でしたが、産業保健ハンドブックと労働衛生のしおりの二つを購入しました。 まずは、この二つと産業医講習会のテキストを軸に頭に叩き込めばいいと不安を払拭するために自己暗示をかけました。 空き時間にはYou Tube安全衛生アカデミーの動画は重宝しました。見聞きしないと具体的に想像できない事柄なんかは、動画で

          メンタル不調復職支援

          精神疾患により休職を余儀なくされ、晴れて復職となった際に、スムーズに復帰となるかどうかは、休職した勤労者(患者)、主治医、企業側産業保健スタッフの連携が重要です。 効果的な支援の実施にあたり問題点の把握をするのは優先課題です。具体的支援内容は次回にするとしても、復職の難関となる点を考えてみます。 休職期間中の心得加療は復帰後にも継続する可能性もあるので、自宅に近い、通勤途中であるなどの利便性や、夜診をしている、人目を気にせずに受診できるといったことも考えどころです。 そ

          産業医の選任

          法令遵守から健康経営にいたるまで産業医を選任する動機は企業により違います。では、どのように選べばいいのでしょうか。産業医視点となりますが、産業医を選任するにあたり企業・事業所側の注意点を考えていきましょう。主に嘱託産業医の話となりますのであしからず。 企業側の需要産業医への要望は企業により幅があり、最低限の法令遵守から本格的な産業保健活動まであります。最低限の域を出て、違法ですが名義貸しのような形も残念ながら存在します。 そのため、産業医に求めるものも変わってきます。つま

          労コン受験記①

          労働衛生コンサルタント試験が無事合格し、登録も済ましたわけですが、合格までに2年の歳月をかけてました。つまりは、1年目は不合格に終わりました。 今から考えれば、勉強の方法に大きな間違いがあったわけですが、合格までの2年間を振りかえりながら合格の最短経路を考えてみます。 労働衛生コンサルタントとは労働衛生コンサルタントとは厚生労働大臣が認めた労働者の安全衛生水準の向上のため、事業場の診断・指導を行う国家資格(士業)です。 自身が産業医なので、産業医業界での労コンしかどうい

          初稿

          初めての投稿ということで、しばらくの投稿ネタをまとめていきたいと思います。これまでの産業医活動での実際に困ったことや、同じような境遇の方へのお役立ち情報を提供したいです。 産業医案件について業務委託や紹介、直接の依頼などいろんな形がありますが、それぞれに長所短所も伴います。産業医としての技術や求めるものによっても方法は違ってくるように思います。 産業保健の情報収集これもまた産業医としてのスタンスによりけりです。無料のものから年会費などランニングコストを必要とするものまで多