君はアメリカのサックスを知っているか


なんでなんだってレベル

 みなさんこんにちは。初めましての方は初めまして。ラフと申します。アメリカ・ハワイ大学の音楽学部でクラシックサックスを学んでいる大学院生です。

 突然ですが、みなさんはアメリカのクラシックサックスについてご存知ですか?断片的になら名前を聞いたことがある、という人もいるかもしれません。例えば、フレデリック・ヘムケという奏者をご存知ですか?リコのリードを監修したことでも知られていますね。

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よく見るけど買ったことはない


ラリー・ティールはどうでしょうか。教則本を楽器屋さんで見かけた人もいるでしょう。

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僕も持ってる

 

 シガード・ラッシャーも有名ですね。ラッシャーをアメリカのサックス奏者として括るのは強引な気もしますが…。イベールのコンチェルティーノのフラジオや初演の話を聞いたことがある音大生も多いと思います。

 現役の奏者で日本で馴染みがあると言ったらインディアナ大学のオーティス・マーフィーがまずあげられます。浜松で行われているヤマハ主催のマスタークラスでほぼ毎年来日しています。そのほかにもティモシー・マカリスターの名前を見たり、YouTubeで演奏を聞いた人もいるかもしれません。

 しかし、それくらいなのです。インターネットで情報が得られるご時世にも関わらず、あまりにも情報が少ない。なので、私が見聞きしたことや学んでいることなどをここで発信したいと思います。

 本日紹介するのはジョー・アラードという方です。一体どれくらいの方がご存知でしょうか。この方は、私のアメリカの師匠の師匠の師匠にあたる方で(めっちゃ遠いやん)、ジュリアード音楽院を始めとして多くのアメリカの大学で教鞭をとった方です。

 別の記事で書こうと思っていますが、彼のスタイルは非常に特徴的です。身体にとって自然な状態を常に善とし、身体的な負担や非合理的な発想を捨て、あくまで生徒一人一人の音の確立を志向しました。そのため、彼の生徒にはさまざまなジャンルの奏者がおり、ハーヴィ・ピテル(次回は彼を紹介します)を始めとするクラシック奏者はもちろん、デイヴ・リーブマンやマイケル・ブレッカーもジョー・アラードから教えを受けているのです。彼ら一人一人の音は全く違いますが、基礎となる部分は一緒です。そう言った意味では、ジョー・アラードの教えはクラシックサックスとジャズサックスの奏法を区別しない、もしくは統合したものだとも言えます。

 もう一つ、ジョー・アラードの面白い点は、フランス(あるいはマルセル・ミュール)の影響が少ないということです。ミュールとアラードは10歳程度しか離れていないので当然と言えば当然ですが、日本の奏者の多くがフレンチスクールに影響を受けていることを考えると、興味深いなと思います。

 最後に、ジョー・アラード本人がインタビューに答えるという形で奏法などについて話している動画のリンクを載せておきます。スタイルの違いなどについて着目してみてみてください。最初はクラリネットを吹いていますが、後半はサックスについてです。英語のみなので内容の詳細を把握するのが難しいかもしれませんが、音を聞くだけでも発見があると思います。


 今回はざっくりと人の紹介をしましたが、実際の奏法や練習方法なども今後の記事で紹介していきます。気になる方はぜひフォローよろしくお願いします。それでは!



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