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9/13 vs名古屋グランパス(ホーム・明治安田生命J1リーグ)

9月の雨は優しくて~

 となるかどうか。3連敗で迎えたホーム戦。相手は4位につける名古屋グランパス。ケガ人だらけの状態で戦えるのか……解禁された手拍子が少しでもチームの助けになればという思いのサポーターが結構いたのではないだろうか。

試合の感想

 事前の報道で負傷者や疲労が溜まってる選手が多いのはわかっていたけれど、ここまでなのか……といった感じ。伊野波は再びお休みで、明らかに付かれている松尾はベンチ。先週休ませた謙介もベンチ復帰。この状況でベンチ入りすらしていなかったので恐らく怪我だったのだろうと思っていた田代がいきなりのスタメン復帰で、その相棒がまさかの袴田である。

 前節アピール成功したと言えるコロスケや安永。加えて光毅のユース出身若手トリオがどれだけやってくれるか、という楽しみはある。

 対する名古屋グランパスは連戦を考慮してか怖いマテウスはベンチスタート。ドラミちゃんが左SH。昔からのフリエサポには懐かしいであろう太田宏介もスタメンに名を連ねている。渋谷はいない。

 ピッチ練習でランゲラックが見せていたパフォーマンスを見て「これをぶち破らきゃならんのか……」とため息をつきたくなった。

前半

 いざ試合が始まってみると、思いのほかやりあえていた。というのも、グランパスが「……これで4位?本当にフロンターレに完封勝ちしたの?」というくらい攻守で緩いのだ。風下というのも影響はあったと思うが、ウチ相手の常套手段とも言えるハイプレスを掛けてくるわけでもなし(掛けてはくるが、連動性も強度もお粗末だった)。本職じゃないコンビで守る右サイド攻略を狙ってくるのはわからないでもないけれど、それで太田宏介と相馬がクロスを上げてきたところで、的になるのは空中戦が苦手とは言わないけれども、基本的に地上戦に強い金崎&ファーはシャビエルではそこまで脅威というわけではない。クロス上げさせてもいいから中を固めようという守り方で充分対処できる状態だった。まぁ、それでフリーにさせておいた吉田にとんでもないミドルシュートぶち込まれたけど。

 先制された試合では全敗の横浜FCではあるが、相手が比較的のびのびとプレーさせてくれていたおかげで波に乗れたのか、中盤の若手組たちはかなり動きが良く、中盤での争いは優位に立っていた。特にあまり守備が得意ではないシャビエルがいる左サイドは比較的楽に攻略でき、その穴を埋めるために名古屋の守備はどんどん乱れていった。

 その機を見抜いた攻撃大好き田代が相手陣内の高い位置まで侵入したことで、混乱をきたしたグランパスのゴール前にコロスケが飛び込み、こぼれてきたボールを豪快に蹴り込んでまずは同点。更にここ2試合ほど手塚のキック精度が増しているCKから田代が押し込んで遂に逆転に成功した。

 その後、相手はシャビエルと相馬の位置を入れ替えてきたのだが、「クロスを上げても合わせる選手がいない」から「クロスすら上げられない」にグランパスの攻撃は悪化。カウンターから光毅が敵陣深くまでボールを運ぶシーンが何度か発生するなど、ライン低めに守りながら的確に相手の隙間を突く攻撃を繰り出して優勢のまま前半を終えた。欲を言えば、3点目が欲しかったが……

後半

 風下に立った後半は打って変わって押し込まれる展開になってしまった。風自体が前半より強かったうえに、明らかに前半よりグランパスの圧力が強い。流石に下位チーム相手にこの状況はまずいと思ったのだろう。無駄に金崎にクロス放り込むよりは、ちゃんと預けた方が仕事することにも気づいてしまったらしく、金崎の強さと蹴っても風で戻ってくるボール処理に手を焼いて相手に時間を与えてしまうことで、分厚い攻撃を受け続ける羽目になってしまった。

 それでも交代で入った瀬沼と松尾の走力でボールホルダーにプレッシャーをかけ続け、カウンターから松尾がネットを揺らしてみせたが、残念ながらオフサイドで幻に。

 そうしてまた押し込まれる中、それでも低い位置でボールを繋ごうとして恐れていた事態が発生してしまった。南と田代のパス交換で南が自分の真後ろに迫る相手選手に気づけず、ボールを失って痛恨の同点ゴールを許してしまった。逆風でそれほどボールが飛ばせない状況だったのはわかるが、それにしたってあそこでCB使って繋ぐ意味をあまり感じないし、田代が戻すのも不用意だったし、袴田がちゃんと声かけてればしなくて済んだ非常にお粗末な失点だった。

 完全に押し込まれている状況でのあんまりな失点の仕方に、かなり暗澹たる思いにさせられたが、ピッチの中央で瀬沼が味方を鼓舞していたのは印象的だった。そしてその瀬沼が漢を見せて値千金の勝ち越しゴール!

 そこからは猛攻を受け続けるもなんとか耐え、時折カウンターを見せて相手を牽制しつつ凌ぎ切ったのだった。

全体的に

 終盤、完全に守りに入らず攻めの姿勢を見せたことで、相手CBまでなだれ込んでくるような状態を回避できたのは大きかった。完全に脚に来ていたにもかかわらず、それでも攻撃時には相手ゴール前まで切り込んだ光毅や、終了のホイッスルと共に倒れ込むくらいに走り倒した安永の頑張りが生んだグランパスの『全力じゃない攻撃』だったろう。

 試合前の予想とは裏腹に、本来レギュラーではない選手たちの奮闘は凄かった。安永とコロスケの運動量とボール回収能力が、手塚とCB袴田の良さを引き出し、志知や松浦、田代の侵入するスペースを生み出してくれた。若干全体的にポジショニングがフリーダムになりがちでもあったが、それを本職右SBではないはずの瀬古がボールの落ち着かせどころ兼守備のバックアップとして補完し続けてくれたこともあって、上位クラブ相手に互角以上に渡り合うことができていた。

 後半は大分心臓に悪かったけれど、最終的に走力でカバーしきってみせた。あそこまで走れる横浜FCなんて、3年前には想像もできない話だ。連戦だと相当しんどいので、個人的にはあまり推奨したくはないのだけれど、走りまくってスペースを産み続ける形をある程度実現できたのは良かったと思う。

 2007年の歴史を塗りかえたことも充分誇るべきことなのだろうが、やはり初の逆転勝利というのは大きいだろう。前節で『先制したら負けない』というジンクスが破れていただけに、今節の逆転勝利でジンクスなんかを気にせず済むようになったのは大きい。先制したら油断せず、先制されても下を向かずに戦えば良いのだ。

 あ、それと、カズをメンバーに入れた試合無敗だから、次も入れようぜ。

選手への雑感

GK:南雄太

最後尾からコーチングに声を張り上げ、ファインセーブも見せてくれた。が、風下に立ってからは思うように前に蹴り飛ばせず、遂にはやってはいけない失点をやってしまった。まぁ、あれは南だけが悪いわけではないけれども。

DF:瀬古樹

右SBとして、攻撃の組み立てからプレスの逃げ場から守備のバックアップまで一人でこなして見せた。気の利いたプレーヤーというのはこういうのを言うのだろうというのを体現していた。ルーキーで本職でもないのにこれか……

DF:田代真一

やっと戦列復帰してくれた。地上では金崎に少し押され気味だったが、身体を張ってクロスを跳ね返し続け、機を見た攻撃参加で同点ゴールを演出し、得意のCKで逆転ゴールまで奪ってみせた。残念ながらスコアラーは志知ということになったが、MOM級の活躍を見せてくれた。

ただ、2失点目に繋がった南へのパスは反省してほしい。

DF:袴田裕太郎

まさかの2CBの左で出場。正直相当不安だったが、プレッシャーの緩い中で、SBとして鍛えた持ち上がりや、高い位置では中々通せていなかった鋭い縦パスを何度も通して見せるなど、良い意味で期待を裏切ってくれた。

が、コーチングはまだまだ不足している。特に2失点目は袴田がしっかり声を出してケアすべきだった。

DF:志知孝明

J1初ゴールおめでとう!前方のコロスケがスペースを空けてくれるおかげか、随分とやりやすそうにオーバーラップを仕掛けていた。相馬やマテウス相手にも粘り強く対応して、逃げ切りに貢献してくれた。

MF:松浦拓弥

前線の中央右寄りで相手の守備陣を手玉に取って勝利を手繰り寄せてくれた。守備でも相当走り回ってくれていた。1週間休んだ甲斐があったなぁ、というキレだった。皆川に防がれたシュートは残念だった(苦笑

MF:安永玲央

中盤で攻守に素晴らしいパフォーマンスを発揮していた。チーム勝利の立役者と言ってもいいくらいの出来。高い位置での左右への展開や、中盤でのボールハントなど、とても2試合目とは思えないくらいだった。特に、米本を振り切ってボールを運んで行ったシーンは感動した。

終盤は明らかに運動量が落ち、試合終了のホイッスルと共に倒れ込んでいた。12㎞も走ればそりゃ疲れるよね。

ここにきて、良いピースが中盤に現れてくれたものだ。

MF:手塚康平

前節同様、安永の後ろでプレーするのが主だった。何度か良い守備も見せ、セットプレーからようやく得点を生み出すなど、プレースキッカーとしても良さが出せるようになってきた。この調子を維持してほしい。

MF:齋藤功佑

左SH?というくらいかなり自由に中に入って来ていた。中央での数的優位を生み出すことに成功し、価値ある同点ゴールを挙げてみせた。その後も中盤で走り回ってボールを回収して良いリズムを生み出していた。ただ、後半押し込まれる展開になってからは目立たなくなってしまった。良く守ってくれていたけどね。

FW:皆川佑介

前線で守備に走り回り、相手のDFラインをずらすべく動き続けてくれた。コロスケや松浦のプレースペースを生み出してくれていたので、貢献度は低くはない。が、金崎と比べるとやはり力強さでは見劣りした。味方のシュートブロックはやめて差し上げろ。ある意味良い位置に飛び込んでいる証拠ではあるけれど(苦笑

FW:斉藤光毅

ドリブルのキレで何度もグランパスの守備陣を慌てさせていた。相手の前に入り込むボール運びや、右足アウトサイドでの細かなボールタッチなど、まるでレドミのようだった。終盤は完全にへとへとだったが、それでもカウンターを仕掛けてシュートまで撃ってみせた。相手DFの攻撃参加を自粛させたのは充分評価されるべき。代表合宿に拉致られるのはちょっと心配。

DF:小林友希

脚が攣ってダウンした田代と交代出場。最終ラインでゴールに鍵をかけてくれた。金崎相手でも互角にやりあえていたので、コンディションが整えばまた充分活躍してくれるだろう。

MF:松尾佑介

コロスケと交代で出場。カウンターから見事ランゲラックをぶち抜いてゴールネットを揺らして見せたが、残念ながらオフサイドだった。カウンターの切れ味を見せたおかげで相手のCBが攻撃参加をためらってくれた。

MF:佐藤謙介

1週間休養を取っての途中出場だったが、松浦と違い、明らかにふらふらしていて動きが悪かった。それでも最低限の仕事はしてくれたが、ちょっと心配である。

FW:瀬沼優司

皆川と交代出場し、押し込まれていたこともあって皆川以上に守備に走り回った。が、その自慢の走力で攻撃参加時の圧力も翳ることはなく、値千金の決勝ゴールを決めてくれた。

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自分のヒーローインタビューなのか、カズの番組にインタビュー出演してるのかわからないくらい、カズさんカズさん連呼していたが、それだけ影響力があるのだろう。

終わりに

 シーズン初勝利よりも感動した、まさに全員で掴んだ勝利だった。いくらなんでもこのメンツではキツイのでは?と思った自分が恥ずかしい。

 このメンバーであれだけ走り抜いて逆転勝利を収めてくれたことは、チームにとって大きな財産になるだろう。レギュラー争いも激しくなるし、上位に逆転勝ちできたという自信は、今後の試合でもきっとポジティブな要素をもたらしてくれるはず。

 もうすぐシーズンも折り返し地点。次は順位も近い大分トリニータとの闘いだ。ノムが出るかどうかはわからないけれど、しっかり勝って目標の10位以内に食らいついていきたい。

 チームを信じて応援頑張ろう!

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