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反社会人コラム「増税」

2014年5月5日発行 ロウドウジンVol.8 所収

社会福祉財源の充実と安定化を目的に、2014年4月から消費税が8%に増税された。ふりかえると、1989年に3%で誕生した消費税は、1997年に5%になり、2015年10月には10%になる予定だ(※その後2019年10月に延期された)。増税のあおりを受けた反社会人たちに、その思いの丈を寄稿いただいた。

増税と僕とセブン-イレブン

 こんにちは、社畜P(プロデューサー)です。今回光栄にも本誌にスペースを頂きありがとうございます。

 今回のお題は増税だそうですね。私も人並みに会社員していますので、請求書とかの処理するときに「いつから8%になるのだろう?」といった納税者としての感覚はアバウトに持ちあわせておりました。世間では思いのほか駆け込み需要がヒートアップしていたせいか3月末はどこに行っても人が多く、増税前に大型家電を買ったりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう私は、あらかた欲しい家電は随分前に買い揃えてしまったこともあり、「増税前に何も買うものがないある種の不幸せ」を感じたりもしておりました。そんなこともあり私の増税体験は、駆け込み需要のお祭り消費よりも、むしろ増税後の「あれ、なんかずいぶん高くなってない??」といった表記改定にまつわる所感の方です。

 現在一人暮らしをしている関係で、コンビニのチルド惣菜にはかなりお世話になっていたりします。特にセブン-イレブンの「金の○○シリーズ」はこの世のチルドお惣菜の中でもトップクラスの旨さということもあり、ほぼ毎日立ち寄るくらい大好きです(オススメは鮭の塩焼きと肉じゃが。ビーフカレーも旨いです)。そんな中で増税の4/1を迎え、さり気なく値札を見ると値札は前と同じ。いや、正確に言うと内税表示だったのが同額で外税表示になっているわけです。5%便乗値上げしてるじゃねぇか!! これは別にセブンに限った話ではないようで、今回の増税タイミングで表記は同額で税込みを税別に変えた法人は意外と多い気がします。理由はどうあれ消費者に対する説明責任を放棄してドサクサで価格改定とは、想像以上に民度の低い国ねニッポン。かといって、私も増税を機に結婚&チルドお惣菜生活から脱却など出来たわけでもなく、残念ながらセブンさんとは妥協の共生関係を継続しているわけですが、しばらく通っているとあることに気づくんですね。「商品によって値段が変わっていないものがある……」どうやらセブンは商品によって値上げ据え置きにしたものがあるようです。例えば昨年の夏に話題となった100円コーヒーは増税後も値段据え置きだそうで、これは客寄せ的な商品なので納得の判断。

 一方で惣菜・弁当などでも商品によって判断が違ったりするので疑問だったのですが、メディアからの情報だとnanacoカード(セブンーイレブンのICマネー)の持ち主情報によって分析された「女性購買率が高い商品」はお値段据え置くという判断がどうやらあったようですね。えーと、まぁ小銭に細かい女性のケアはマーケティングとして正しいのだと思いますが、男というだけでぞんざいな扱いを受けたような気がして、同じセブン-イレブンのファンとして何かロイヤリティが下がったような気がする一件でしたね。。

著者プロフィール
@tomokipun (社畜P) 業界の周辺にて活動するアニメプロデューサー。趣味は軋轢と板挟み。夢は幸せな結婚生活(ソードアートオンライン的な)。

また端数がやって来た

 最初の消費税増税の記憶は3%のとき。近所の自動販売機に百円玉を握りしめてアクエリアスを買いに行こうとしたら見慣れない「110円」の表記に衝撃を覚えた。まだ数字もろくに数えられないぼくは、手にした硬貨に書かれた数字と異なるそれに「あ、100円だけだともうジュースは買えないんだな」と悟り、とぼとぼと帰宅したことを今でも良く覚えている。5%のときはなぜか覚えていない。ただ、3%という中途半端な数字が生活に入り込んできたことによって、めんどくさい端数を認識するようになったことと、5%の切りの良さは関係していると思う。1円玉の煩わしさから解放された5%への増税と、また1円玉を世に氾濫させた8%への増税。もうどうせなら一気に10%にしてくれた方がどれだけ楽か。そう思わざるを得ないくらい、いまぼくの財布には1円玉が溢れている。

 今回の増税で、造幣局は数年ぶりに1円玉を増産しているようだ。ぼくはよくまとめサイトの広告に表示される「薄い財布」を使っている。その薄い財布には15枚の硬貨が入る仕様になっていて、増税前はそのくらいの枚数が収納できれば事足りたのだ。ところが増税後、ぼくの財布には1円が溢れている。もうどうしようもないくらい1円だらけだ。めんどくさい。

 こうした小銭の煩わしさを解消させる方法として、5%から8%への増税の間にこの国の人々は電子マネーを手に入れた。煩わしい小銭を持ちたくないと思っている人にとっては、便利な代物だろうし、使い方によっては通常より安くサービスを受けられたりもする。例えば、喫茶店のルノアールではルノアール専用のEdyを使うと会計から10%値引きされる。クレジットカードの存在もまた、生活の中から小銭という存在を消滅させることができるだろう。極力、電子マネーやクレジットカードを使えば人々は現金から解放されるのだろうが、周囲を見回すとキャッシュレス原理主義者や、ガジェット好きなおじさんたちが声高に電子マネーの便利さを訴えているだけで、多くの人にリーチしているとは思えない。以前はぼくも、電子マネーを使っていた。しかし、電子マネーやクレジットカードの手数料は小売店側の負担になる聞いたことがあるので、何となく申し訳なさを感じて、なるべく現金で生活するようになった。

 ただし、“いつもニコニコ現金払い”のぼくも、電車に乗るときはさすがにSuicaを使っている。増税でSuicaは1円単位まで運賃を計算するようになったが、切符はこれまで通り10円単位での計算だ。この変更によって、また気になることが一つ出てきた。それは、Suicaの末尾は常に0にしておきたい性分だったのに、いつも末尾が2円とか6円とか表示されてしまう。今回の増税は、とうとうSuicaの中にまで端数を増やした。この端数になれる頃、次の増税がやって来るのだろう。めんどくさい。

著者プロフィール
@ishiya (川口いしや) 1986年生まれ。週末ライター/平日サラリーマンの二重生活。食文化とツーリズムに興味あり。最近、居酒屋巡りが趣味になり体重の最高記録更新中。

ニンニクアブラTAXマシマシ

 常日頃たかが賃金労働者を「社会人」と呼んで憚らない風潮を毛嫌いしていたところ、この「ロウドウジン」にコラムを書く機会を頂きました。初めまして、プイと申します。

 この春、僕が務める会社にも2年ぶり2名の新入社員がやってきたのですが、彼らに対して間違っても「社会人として~」というフレーズを使わない絶対の自信があります。彼らを一人前の「社会人」に鍛え上げようとする社内勢力を出し抜いて、彼らに反社会人を自覚してもらう。そしてその上で弊社の業務を遂行できるように助力することが、今後の僕のミッションなのかもしれません。

 さて、テーマは「増税」ということですが、今年4月からの消費増税に便乗する形で、様々なモノやサービスが値上げされたことは皆様もご存知のことかと思います。例えば自分の身近な例では、自宅徒歩2分の場所にあるBAR。ノータックスノーチャージで良心的な価格設定がウリだったのですが、この4月からは伝票の最終行に「TAX:10%」の文字列が……っ。いや、もともと近隣の店と比べて良心的な価格設定ではあったので値上げ自体に不満は無いのですが、タックス10%っていう名目が単純に謎すぎますよね。今までがノータックス(実質は税込表記)だったので、消費税を8%取るようにしただけでも税の増加率をオーバーしてますが、10%ってそもそも消費税ですらないじゃーん。じゃーん……。

 更には週に3回は食ってる吉野家の牛丼が280円から300円に価格変更した件も、値上げ幅が納得できないですね! ていうか吉野家は持ち帰り時の紅生姜パックも最大3つに制限するようになったし、株を買ったら下落で損切り食らわされるしで俺に恨みでもあるんですか? それでも牛丼食う頻度は変わってないんですけど!

 ……っていう話を僕が毎月書いている某エロマンガ雑誌の読者コーナーでネタにしようと思ってたんですが、この雑誌自体が増税のタイミングに合わせて本体価格(税抜価格のこと)を371円から429円と、大幅にアップさせちゃってるからネタにしにくいですよね……。どのクチが言うのかと。さすがに同じ仕様で価格だけ上乗せということではなくて、増ページしたり付録を盛り込むことによって内容もボリュームアップはしているのですが、毎号買って頂いている方は結構ビックリされたのではないでしょうか?

 おかげで次号の読者コーナーのネタが決まらず、GW進行中なのに執筆が遅れております。にも関わらず仕事とは関係のない、この反社会人コラムを書いている状況は一体全体どういうことでしょうか。何だかちょっぴり楽しくなってきました(笑)。これで僕の反社会人力も少しは上がってくれていれば嬉しく思います。

著者プロフィール
@pui_asn (プイ) 1983年生。大学卒業後メーカーに入社したが、洗脳セミナーじみた外部研修でモラールを訓練された結果、エロマンガ編集者に転職。スキなローションはアストログライド。

明日なんてこなければいいのに

 4月に入って消費税が上がったけど実感がわかない。

 精々100均で買い物したときに小銭を出し間違えるか、飲み屋で値上げのあとを見つけてこれ8%あげてるじゃないかって思うのと、1000円カットが1080円カットになってるのになってるぐらいだ。そう考えると便乗値上げしてる方にばかり目が行き、政府に怒りもいかず小賢しい商売人ばかりに怒りが行くようだ。

 そういえば国賓として来た大統領に、3万円の寿司をおごって国民は税金で苦しんでいるのにって叩いてる奴らもいるみたいだけど3万円のうちの1円も税金で払ってないのによくそんなに怒れるものだと感心する。むしろ国賓に対して3万円の寿司もおごれない貧乏な国に住みたいのかと悲しくなって鬱だ氏のう。

 ところで私は給料日の日にはアキバにエロ漫画を買いに行くのが月課なんだ。4月25日も当然のごとく意気揚々と入ったばかりの給料をATMからおろしてアキバの駅に降り立った。歩いて行くとエロゲ屋(祖父地図AM)の周りに行列ができている。

 そうか、今日は月末恒例エロゲの日だ。月末の週末に発売日を集中させるエロゲメーカーさんはあざといなぁ。頑張れ紳士たち。オレも今日は並ばないけど、エロ漫画の物色を頑張るよ。

 目的地のエロ漫画見本屋(K本)についた。いつも通り人だかりができている。

 ゴミどもをかき分けていざエロ漫画を物色して驚く。なんだこの新刊の量は。いつもより給料日前後に発売する本が多いじゃないか。GW前だからこんなに多いのか……。そういえばエロゲの新作も多かった気もする……。これは長期戦になりそうだな。仕事明けで夕飯食べたいのに。空腹だとオレのエロセンサー過剰に反応して多く買ってしまうから先におにぎりでも……。いやもう戦場に来てしまっているのだ。このまま戦おう。

 数十分後、満足して戦利品を確保して戦場を後にする男がいた……。

 税金上がってもエロに対する欲なんて関係無いものだな。タバコ値上げしても買い続けるヤニ厨とかと同じか税金上がっても飲み続けるアル厨もそうだし。

 しかしオレが言うのも何だが給料日に何冊もエロ漫画を買う人達はなんなんだろう? オレの倍以上買ってるぞ。どうせ毎月買ってるだろうし置き場所に困らないのかね? そういえばエロゲを何本もエロゲの日に買う人達もいるけどあの人達も毎月買ってるし給料がいいんだろうか? やる暇あるんだろうか?

 そういえばエロゲを大量に買う彼らとエロ漫画を大量に買う彼らは被ってるんだろうか? 興味深いから注意深く見てみよう。4月は並ばなかったけど5月も6月も7月も私もあの列に並ぶのだから。

著者プロフィール
@kanyomanyo (かにょまにょ) 社会の家畜。非生産的行動大好き。ホッピーとモツ煮があれば生きていける。

★反社会人コラムでは寄稿者を募集しています。我こそは!と思う反社会人のみなさん、ご連絡お待ちしております。

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