「7つの習慣」ボードゲーム
講師先輩主催の「『7つの習慣』ボードゲーム」を体験してきた。
今回は、その回想録と振り返りを書きたい。
というのも、「7つの習慣」の目指しているところの一つが「シナジーを創り出す」であるからだ。
このボードゲームは実に秀逸に制作されており、体験すると、いかにシナジーを生みだすことが重要で意義深く、一方で難儀であるかということを身にしみて感じられた。
「シナジークリエイター」を目指すものとして、この学びを残しておかない手はない。
ゲームサマリー
ゲームでは、プレイヤーは社長となり、事業(プロジェクト)を他の社長と共に進めながら、自分自身の成長やミッションステートメント(目的、使命)の達成も目指して行く。
コマンドとしては、社員を雇用したり、社員をプロジェクトに参加させて報酬や信頼を得たり、ハプニング的なイベントが発生したりといったことが、ランダムで起こる(双六のような使用)。
ゴール条件は皆同じだが、その要素である「ミッションステートメント」はそれぞれのプレイヤーで異なる。
だからこそ、他のプレイヤーが「何を達成したいのか」を知り、うまく資金や人財提供/交換の交渉をしながら、"協業"していくことが大事だ。
だがしかし、この「協業」が口で言うほど簡単ではないのである。
最初の頃はどうしてもお金や信頼が欲しいから、皆「我が、我が」という欲が強く出てしまい、「協業」というより「競合」のようになってしまう。
もちろん、自分自身の基盤づくりは大事なのだが、競い落とし合うことだけがこのゲームの攻略法ではないのがミソだった。
僕自身は最終的なゴールを達成していわゆる「ゲームクリア」をしたのだが、同じ盤面の他のプレイヤーは誰もゴール達成できなかった。
ゲームとしては「勝ち負け型(誰か1人が勝ち)」とも「協力型(みんなで達成できたらみんな勝ち」とも言われていない。
だがこの状況を現実世界に落とし込むなら、僕だけが独り勝ちをし、他の人は結局、ミッションを達成できなかったという、超資本主義的状況であるということだ。
それの是非は人によって異なるだろうが、僕が目指したい世界は、そういう世界ではない。
綺麗事かもしれないが、誰もが自身の自己実現を達成し、貢献感=幸福感を抱けている世界が理想だ。
とすれば、今回のゲーム結果からは学ぶことが多かったと思う。
振り返り
それでは、3つに分けて振り返ってみたい。
①公的成功は私的成功の上にある
これは「7つの習慣」の教えのままだが、その通りだと感じた。
僕自身がゲーム中意識していたことだが、まずはしっかり自己基盤づくり(=私的成功)をしないことには、それより大きな目標(=公的成功)は達成しえない。
そのために大事なことは、常に「終わり思い描く」というということだ。
上記の通り、プレイヤーごとに達成すべきミッションは異なる。
それを常に念頭に置き、自分が得るべきもの(=最優先事項)が得られるよう、「主体的」に発信することがは大切だ。
ちなみに7つの習慣の1~3の習慣は"私的成功"で、①主体的である、②終わりを想い描くことから始める」、③「最優先事項を優先する」となっている。
本書では①>②>③の順で習慣づけるべしと書かれているが、実際「私的成功」を収めるならば、この3つがすべて備わっていないと不可能であり、実際にそれぞれは相互作用的に働くものだと僕は認識している。
現実に戻せば、最も重要なのは「自分が最終的にどうありたい/なりたいのか」というところに尽きる。
それがはっきりし、そして必要なもの、優先すべきものがブレイクダウンできるからこそ、主体的にそれを獲得しに行ける(「主体性である」ことが前提としてあるのはもっともである)
そして「最優先事項を優先する」とは、逆の見方をすれば「優先順位が低いものは捨てる/手放す」ということも必要だ。
あるいは、どちらかと言えば「手放す」より「譲る」の方が適切かもしれない。
というのも、自分が「優先的と思っていない」ことが他者にとっては「最優先事項」であることもあるからだ。
これが”公的成功"をめざす第4~6の習慣につながる。
②Win-Winの視点で周りを見、聴き、理解する
第4の習慣は「Win-Winを考える、第5は「まず理解に徹し、そして理解される」である。
まさにこれが、私的成功から公的成功にステージアップするためのつなぎとして重要であった。
他者が何を目指し、何を欲しているかということを知ることで初めて、「譲る」という行為がいい形で機能するからだ。
自分はAの方がBよりが重要で、XさんはBがAより重要であることが分かれば、自分はAを多くもらい、XさんはBを多くもらうという交渉がしやすくなり、「協業」関係が生まれる。
そしてただ分けるという場合でも、「自分はAは多くほしいけど、Bは要らないから誰かにあげます」よりも、「Bが欲しい方にあげる代わりに、自分はAを多くもらってもいいですか」と言う方が、Xさんとしても自分に対する印象は大きく変わるはずだ。
また、理解するというのは、必ずしも「相手の欲しいもの」を理解するだけではないと思う。
このゲームで重要なことは、このゲームにおける「最良の結果」、つまり「全員でゴールすることが最も成功である」ことを理解することだった。
僕はそれには気づいていたものの、それを全体に分かってもらえるよう伝える(=理解される)ことができなかった。
きっとそれを怖れずにできていれば、結果は大きく変わっただろう。
「全体最良」が一体なんであるのかを理解し、それを理解してもらうことも大切であると感じた。
現実の場面でも、必ずしも全員が「現状」を同じように理解している、あるいは同じレベルで理解できるとは限らない。
その認識レベルを揃えるために、「今、この方向で行った方が良いという理解なんですが、どうですか?」と聞ける勇気は、不可欠だと感じる。
勇気と言ったのは、立場によってはそれを言うと「自分がそんなこと言うなんておこがましい」と躊躇ってしまうこともあるだろうと感じたからだ。
③皆で昇り、皆で達成する
最後に、第6の習慣「シナジーを創り出す」である。
シナジーを創り出すということは、ただWin-Winを考えるだけではダメだ。
というのも、Win-Winというのは、まだ視点の半分が自分に向いている状態だからである。
それに「Win」は「勝ち」であるという意味からも、まだ利己的な側面が強いことも否めない。
一方、シナジーというのは相乗効果、つまり、上に書いた「全体最良」を達成するために、それぞれの長所によって貢献し、場合によっては短所をさらけ出して、他者に助けを求めることが必要だ。
前半に書いた通り、このゲームでは「誰かが勝ち、誰かが負ける」という結末もあれば、「全員で達成する」という結末も可能だ。
それは現実でもきっと同じで、今でこそ「誰かが得れば誰かが失う」世界の存在感の方が強いが、本当に皆が「シナジーを創り出す」ことに舵を切れば、「皆が得られる」社会もきっと夢ではないはずだ。
そのためには、「皆で昇り(成長し)、皆で達成する」という意識を常に持っていることが肝心要である。
最後に
今回のボードゲームを通して、「7つの習慣」で言われていることを疑似的に体験することができた。
そしてその上で、「シナジーを創り出せると待っている世界」というのが、まだ未達ながら実感することも出来た。
その世界に生きる人たちに、競争や奪い合いの感情はおそらくない。
そこにあるのは、協力、協業、共生、共創、そしてそれによって生まれる貢献感と幸福感である。
「シナジークリエイターになる」という目標が、益々色濃くなる体験となったことを、ここに記しておきたい。
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