マガジンのカバー画像

身辺雑記

7
運営しているクリエイター

記事一覧

意外と

‪いやあそれにしてもこないだの耳鼻科の医者は腹立つというか、傷ついたな。なんか毎日化粧や歯磨き、街を歩いている時に目に入るガラスや鏡の自分の姿が、まだちゃんと見れない。‬

どれだけ努力してもどうせ綺麗に、普通にならない、って思いが湧いてくる。このテキストを打ってても涙が出てくる。この涙はなんだろう、と考えている。運命の理不尽さへの悔しさか、おのれの醜さを哀れむのか、医者への怒りか。

耳鼻科

耳鼻科に行った。本当は行きたくなかった。でも耳の中のかさぶたが気になり、鼻水も止まらなかったから仕方なく。
耳鼻科は嫌いだ。各器官に密接した障害である口蓋裂なので、子供の頃から耳鼻科は、なんか絶対、なんか言われる場所だから。
今日は初めての医院だった。先生もスタッフも妙にパワフル。病は気合と行動で治せるもの、という圧。気を引き締めた。

耳は薬を塗るとして、鼻に関しては形を診察し「あー」といわれた

もっとみる

香りの記憶

窓を開けた部屋で海の匂いを楽しんでいたら、漂う香りがよそんちの放つ天ぷらになった。夕飯時。そろそろお腹もすいてきた。

香りの記憶は、二十年間は薄れないという。逆にいうと、それより前のものは遥か彼方のものに変化するということだ。

確かに二十歳前後より前のあれこれは、記憶、というより、もう伝説というか、そんなこともあったらしいな、とどこか生々しさの抜けたものになりつつある。色々あったな、と穏やかに

もっとみる

今日の私を彩るもの

年下の友に口紅の色をお見立てしてもらった。彼女ご愛用のシャネルに薄づきのラインナップがあるのを教えてもらったのがきっかけだ。普段から薄化粧で、粉をはたいて眉毛を描く程度で、リップはクリームのみ。でも、くちびるそのものから発光してるような風合いなら大丈夫かな、と。

化粧は得意ではないけど、気になる存在だ。長らく仲良く付き合うことが出来なかった理由は、端的に自分の顔がきらいだからだ。

というのも、

もっとみる

深呼吸するために

近所の神社に詣でてきた。出来ることをやって、休めるところは休んで、の一環。買い物や食事、人と会うのも好き。そういう発散方法もある。だけど、今はひとりになりたい。そういう時期なのだと思う。

電車を乗り換え、二駅先。潮の匂いがする境内。大通り沿いなのに、鳥居をくぐると急に静かになった。手と口を清め、神前に向かう。二礼 二拍手 一礼、目を閉じて神様とお話を始めた時、後ろから呻き声とせわしない足音が迫っ

もっとみる

その気持ちの名前は

例えば、昔好きだったひとと疎遠になり、のちに、パートナーができたと聞いたとする。その瞬間、良かったねぇ、お幸せに、と、心から思える?
すごく好きだったひとを、自分が1番相手を愛していて理解していたつもりだったのに、自分じゃないひとと幸せになるなんて、簡単に祝福できる?

そして、一番キツイのは、パートナーのひととなりの情報を仕入れて、好きだったひとにぴったりの方だった場合の心境といったら。この私よ

もっとみる

待っててくれる

例えば、映画の中のあの子の瞳、泣きながら聴いた曲、教科書で読んだおはなし。時が経つにつれて記憶の曇りガラスに紛れてしまうけど、後年、ふいに再会して懐かしくなることがある。

特に読んだ本、わけても紙の本は、そのしっかりした物理的な重さのせいか、まさに「待っててくれた」、という印象だ。そこが電子書籍と違う。書籍という名の、つまり「データ」には、どうも重みを感じられないのだ。

私は本に対して、どこか

もっとみる