孤独の朝

夜中にセットしたアラームが鳴り響き
目を覚ます。目を擦りながらベッドに座る
朝の挨拶はしない。誰からも返事が帰ってこないから

無音の中、台所に行き窓を開ける
木々のざわめきと共に小鳥の鳴き声がする
柔らかな風が頬を撫で
思わず口に出す
『おはよう。』
微笑みながら、卵を手に取り
油を敷いたフライパンに優しく落とす。
一人ぼっちなのに、それも悪くないと思える程に耳が幸せになる。

きっとここに誰かがいたら
目玉焼きには何を付ける?って話をするんだろうななんて、妄想をしていたら
気づけば黄身がぷっくりとしオレンジ色に色付いていた。

食器を手に取り誰に見せるわけでもないのに
色味配置に気をかけ食材に手を伸ばす
『ほら、頂きます。は?』
あ、頂きます。
『美味しいね!』
うん。美味しい
『ご馳走様でした』
ごちそうさまでした。

今日も君のおかげでご飯が美味しく食べれたよ
『どういたしまして』
僕は今日も日頃のお返しに
彼女の為に彼女の物語りを描き続ける。
君の笑顔を、君の好みを、君の世界を
僕に、世界に君を届けたいから

【目玉焼き】
作 山本ワサビ

雲ひとつない太陽が照り付ける登校中の事
『ねぇ、よもちゃん。』
「んー?」
『目玉焼きには何をつけるのがすき?』
「私は──

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