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2隻の宇宙船

「相対性理論」だったかなんだったか。超高速で移動する宇宙船の乗組員は“浦島太郎”になるらしいと、子どもの頃に聞いたことがあります。
宇宙船のスピードが光の速度に近づけば、時間の流れ方が変わるんだって。
それでふたたび地球へ戻ってきたら、すでに何百年も過ぎてるっていう。
そういや『猿の惑星』って映画がありましたよね。
あのラストシーンは強烈でした。ここは地球だったのか。

↑の理論、いちおう理屈では正しいとされているそうです。もちろんワタシはこれっぽっちも理解してないけれど、理解してない以上は反論もできないので、いったん信じてみようと思います。


だからここから先は、すべて仮定の話。さて、

「超高速で飛び立った宇宙船を別の宇宙船で追いかけたらどうなるのか」
という疑問について。

2030年のある日、超高速宇宙船(光の8割とか9割とかの速度で飛べる超ヤバいヤツ)が打ち上げに成功しました。
宇宙船には若い乗組員も乗ってるけど、「地球へ戻ったらカノジョと結婚するんだ」とかわかりやすいフラグを立ててるヤツはひとりもいません。故郷へ帰還する頃には、カノジョ(とその見知らぬ配偶者)の孫の時代かも知れないので。そんな独身者限定の旅です。

で、いつしか地上では打ち上げから3年がたちました。

3年もたてば最新型の宇宙船は超超高速で飛ぶこともできるはず。
3年じゃ無理かな。
しょせん仮定の話なので、いまはとにかくそう考えてくださいな。
その最新型で、先に旅立った宇宙船を追いかけてることになりました。
ややこしいので、3年前に出発した宇宙船をAとします。今年打ち上げ予定のほうがB。BでAを追いかける

宇宙船Aの船内ではこの間に1年の時間が流れていたとします。それが地球上では3年ということで。
・・・しつこく繰り返しますが、仮定の話です。実際にどれぐらいの差になるかなんてワタシにわかるはずがないです。やっぱり宇宙船の速度に関係するのかしら・・・わからん。
なのでとりあえず、考えやすそうな値にしてみました。
つまりAの乗組員にとっては、地球上の3分の1の時間しか流れていないことになりますね。そういうことなんですよ(圧)。

そして2033年のこの日。いよいよ宇宙船Bの打ち上げの日がきました。

ここで、宇宙船Bのスペックについて示しておきます。
この超超高速宇宙船は3年前のAより2倍の速度で飛ぶことができます。そして、経過する時間の早さは2分の1
実際は速度と時間の流れ方の相対比にも公式があるのでしょうけど、ワタシには理解できそうにないので、わっかりやすい数値を元に考えてみます。
もう最初からドンブリ勘定です。いいじゃないですか!(開き直り)


さて、そんな最新ハイエンドモデルの宇宙船Bが打ち上げに成功しました!
そしてなんと、Aにたったの1年(B乗組員主観)で追いついたのです!

・・・開き直ったばかりで言うのも気が引けますが・・・ここでいったんアタマを冷やしますと、実際は光の速度を超えるモノは存在しないそうなので、この前提自体がすでに破綻しております。
でもまあ、あえて思考実験というか、たんなる屁理屈の妄想として、ここはどうかひとつ許可してくださいな。大事なのは光の速度を超えるか超えないかじゃなくて、時間の流れが変わること自体だと思うのです。
光の速さは測定できます(できたって聞いたことがあります)。でも時間の流れを測る定規はいまのところないはず。時間はロマンなのです。

さて、宇宙船Aに追いついたBの乗組員たちは、Aの船内に遊びに行くことにしました。
A打ち上げ以来4年ぶりの再会。積もる話もあることでしょう。
迎えに出たA乗組員たちにうながされたB乗組員たちが、意気揚々とAの船内に入ってみると、壁にはカレンダーがかかっていました。
さて、何年のカレンダーでしょうか(いきなりの設問)。

あくまで「B乗組員の主観」的には、Aの打ち上げから4年後にA乗組員たちと再会したことになりますが、実際にはA乗組員たちにとっては2年の時間しかたってませんから、B乗組員たちから見れば、Bの打ち上げから「1年 “前”」のA乗組員と再会したことになります。
そういうことですよね。・・・違うかな。

考えを整理するために「B乗組員の主観」を基準にした年表にすると、

「B乗組員の主観」
2030年 宇宙船Aが出発
2033年 宇宙船Bで出発
2034年 宇宙船Aに追いつき再会


となるはずです。
そして、このときの「A乗組員の主観」と「地球上の観測者の主観」も、以下に示しておきます。

「A乗組員の主観」
2030年 宇宙船Aで出発
2031年 宇宙船Bが出発
2033年 宇宙船Bに追いつかれ再会

「地球上の観測者の主観」
2030年 宇宙船Aが出発
2033年 宇宙船Bが出発
2039年 AとBがめでたく再会

ということですよね。間違ってないよね。自信ないけど。
つまり、先ほどの答え、宇宙船Aのカレンダーは「2033年」でした。

ようするに、A船内においてB乗組員たちは1年過去へタイムトリップ(スリップ?)したことになります。
・・・うーん、合ってるのかなあ・・・。

これに対する正確な計算式は存在するのかも知れません。さっきググってみたところ、特殊相対性理論の発表からすでに100年ぐらいたってますから、もちろんあるでしょうね。そもそも当時二十代のアインシュタイン自身が自分で公式にしてるはず。

でもどっちにせよ、ワタシの理解力ではこのあたりが限界です。
もうややこしいことは考えないようにしよう。これでいいのだ。


いろいろあきらめてスッキリしたところで、さっき書いた2隻の宇宙船が再会した日の様子を空想科学小説っぽく書き直してみますね。
本日のおまけということで。

1年の旅の末、宇宙船Bは宇宙船Aに無事追いつくことができました。
B乗組員のボブは、4年前Aに乗って旅立った恋人のアンと再会するため、いまではBと速度を合わせて窓の外に並んでいる、宇宙船Aへ出かけることにしました。
船外作業服を着てブリッジ(艦橋)を出るとき、ボブは何気なく壁の片隅を振り返ります。
そこには「2034年」のカレンダーが。
1年は早いものです。地球上ではたしか6年もたってるんだなあ・・・。

宇宙船Aのみんなからは(すこし手荒な?)大歓迎を受けました。
向こうは2年ぶりですからね、時間の流れ方が違うって、感情にも影響を与えるのかも。みんな大喜びで、わざわざ船外まで出迎えてくれました。

ボブは宇宙船Aのブリッジへ招かれます。Bよりも3年分だけ旧式なブリッジには、元気そうなアンの姿が。お互い抱き合って大はしゃぎ。
ところが失礼なことに、アンはボブの顔を見つめて「ちょっと老けたんじゃない?」と。まだ自分は若いと思っているボブは、思わずムッとしてしまいますが、すぐにその感情は消えてしまいます。
だって、ボブはアンより1歳だけ多めに歳をとってしまったんですから。
これはアンの、他愛のないジョークに違いありません。

いえ、そんなことよりも・・・その瞬間、ボブは
アンのすぐ後ろの壁にあるものを見つけて、もっと強くて深い感情に包まれていたのです。

それは・・・「2033年」のカレンダーでした。
ボブがアンを追いかけて旅立った日は、いまここにいるアンにとって今年の出来事だったのです。

めでたしめでたし。


じつは、たったいまワタシは自分がタイヘンな勘違いをしていることに気づきました。完全な矛盾が上の文章のなかにあります。
単純な考え方のミスです。
たぶん、ボブはまだアンと再会できていません。すべてはボブの夢のなかの出来事なのでしょう。

「時間旅行」ってこういうことなのかな。
やっぱりちゃんと公式に当てはめて計算しながら考えないと、どうしようもないみたいです。直観的に考えるのには、限界があるってことでしょうね。

ややこしいなあ・・・。ううう。

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