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僕だけの最強のデッキ!スコトーマによる落とし穴

記事を読んでいただきありがとうございます。
初めての方は初めまして、ろしと申します。

突然ですが、皆さんこんな経験はないでしょうか?
「最強のデッキを思いついてこれは優勝間違いないと思ってたのに全然だめだった」
オリジナルの最強デッキを手に挑み、敗退し、何故こんなデッキを選択してしまったのかと後悔したことが。

今日は何故そのようなことが起きるのか、私の実体験も踏まえて書ければなと思います。

このデッキ弱いから!誰か言えよ!


スコトーマ

人にはそれぞれ例えば「お金持ちになりたい」とか「モテたい」とか煩悩があることでしょう。ポケカ記事であるこの記事でいうと「優勝したい」とか「オリジナルの構築で結果を出したい」とかになるでしょうか?
それは自我によって表面化します。自我はこの世の中で自分にとって何が重要かを判断する基準となりとても重要なものではあります。

人は見えているもの全てを認識して見れているわけではありません。
全てをありのままに認識してしまうと、容量が一瞬でいっぱいになってしまいパンクしてしまいます。そのため、脳は自動的にズルをして重要度の低い情報をシャットダウンをします。その部分をRASというらしいです。
そのため、基本的に自分にとって重要ではないこと、都合が悪いことは認識ができないようになっています。この重要でないことをスコトーマといいます。
と機能解剖的な話となりましたが、こういう経験はないでしょうか?

例えばオリジナルのデッキができてそれを調整して、いくらかスパーリングした結果割と勝てて大会に持ち込んだ結果、実際には環境のデッキに対して勝てる条件を満たしておらず、かつデッキの線が細くうまく回らず「ぶん回ったら戦える」ような状態であった。

この例でいうと
①ぶん回った時のインパクトが強くて、それ以外のうまく回ってない状態という都合が悪い点を無視した。
②たまたま練習で対戦をしたいくつかのデッキとの相性がたまたま「このデッキは強い」と錯覚、それ以外のデッキとのマッチング相性等都合が悪い情報を得るために努力を怠った。

こんなことが考えられるんじゃないでしょうか?

かなり怠けた適当な調整をしているような風景を描きましたが、実際に真剣に調整をしていたとしてもこのようなことは起きうると私は思いますし、実際に起きたことがあります。

その原因としては
①想定していた環境の前提条件が違った。
②デッキの成長の余地の有無の判断
③客観的な情報を乏しさ
④愛着
⑤コンセプトの比較対象の履き違い

があげられるのではないでしょうか?

今回は自分の失敗談を踏まえていくつか書ければいいなと思います。

前提条件のズレ

少しだけ、昔話をさせてもらいます。
時は2009年、この年のことを少し説明をしますと、各県で1次予選を行い、県の代表が集まり各地区で2次予選、最終的に2次予選の上位者が集まり日本代表決定戦を行うというものでした。
そのため非常に長い期間大会が行われていました。
私は2次予選で勝ったので最終戦に向けてデッキを調整をしていました。調整の結果使ったのがこちら(記憶を遡って再現したものなので違うかもしれません)。

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当時の環境を整理すると(詳しい説明としてはこちら:【ポケカ】2009年に活躍したスタンダードデッキ5選 【DP/Pt】
当時のPtシリーズを象徴とするSPポケモンが結果を出し始めており、その中で筆頭であったのがバシャレン

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またそのSPポケモンに強く、単体のスペックが非常に高いカイリキーとゲンガーを組み合わせたカイゲン

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あたりが有力な候補となっていました。
そこがスタート地点であり、各プレイヤー・チームは調整を行っていたのではないでしょうか?
私もその認識で調整を行っていました。
その結果、私は

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この闘抵抗を持っており、アンノーンGを使えばカイリキーに倒されることはなく、最大ダメージが120でガブリアスLvXの竜の波動により、HP130のポケモンまで倒すことができる。竜の波動とデンリューのでんじロックの組み合わせで安全にゲンガーの処理を行うことができる。
また高いHPと打点でバシャレンに対して非常に強くでることができていました。
ガブリアスのそせいを使うというビックアクション以外にも序盤からヤミラミのひとまねでハマナのリサーチ→スージーの抽選の動きでコイキングをトラッシュに落とし、破れた時空を使ってコイキングから直接進化させたギャラドスでの速攻+時空のゆがみを使った人海戦術というプランも存在しており序盤から終盤にかけて複数の戦うプランがあるデッキです。
調整段階でもかなりの勝率をあげることができていました。

この時点で察しがいい人はお気づきかもしれませんが、実際にどうであったかというと。

実際の大会では例のデッキが立ちふさがりました。

今でもその名を語られる最強のデッキは。

ガブレンと、そう呼ばれていた

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バシャーモという中途半端な打点しか出せず、コスパが悪い不順物は取り除かれ完成された美しいデッキリストは当然のごとく上位を占めることとなりました。
この最強のデッキの前では、バシャレンもカイゲンも等しく過去のクソデッキだったのかもしれない。

昔話をしていても仕方がないので何が言いたいかというと、調整をしていたと実際とでは調整の前提条件が全く違ったわけです。
この前提条件で言えば、130もの打点を出す必要がなく、必要な打点はもっと低かったわけです。
種ポケモンであるガブリアスCに弱点を突かれるガブリアスLvXなんて使っているわけにもいきません。
わざわざデッキスペースを使ってまでゲンガーを警戒する必要もありませんよね(実際にカイゲンというデッキは大会には一定数居たのでそこは調整の意味がなかったとはいいませんが)。
この前提条件をベースにすると

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こんな感じのデッキでよかったことになります(今適当に組んだので回るかわかりませんが)。

自分自身一人で調整をしていたわけではありませんが、情報収集が不十分であった結果「環境の前提条件のズレ」が発生した1例なんじゃないかと思います。
こうしたことが最近でいうとチャンピオンズリーグ2019千葉とかで同じような思いをした人もいるのではないでしょうか?
個人的な外から見ていた感想ではこの大会では全く新しいエンジンの使用したデッキやコンセプトが新しいデッキなどたくさん持ち込まれ初見殺しが多く発生した大会であったという印象を受けています。

デッキの成長の余地の有無の判断

これはオリジナルのデッキを組んでいる時に悩むことが多いことなんじゃないかと思います。どこを調整の終了地点とするか。
コンセプトを1から考え作成をしているわけであり、それは前例のない作業をしているようなものです。前例がないため、デッキの調整の最終地点をどこに置くかも自分自身で判断しなければなりません。
もっと調整の途中の段階で言ってしまえば、このデッキを調整して果たして正解となりうるのか?
また今はまだ弱いが、このまま調整して本当に強くなりうるのか。
このような先が見えない道を歩くこととなります。先が見えない道を歩いてそれが正解であるという判断も自分自身でしなければなりません。
その結果、直前で道から外れていたことに気づいたが時すでに遅し。
もうこれしか調整してないから適当に自分を正当化する理由をつけ大会に出る。
デッキ自体がオリジナルだとしても、もっと高い視点(コンセプト・アーキタイプ)で見たとき同じような動きをするデッキと比べた時そのオリジナルのデッキが劣っているということに後から気づくこともあるかもしれない。
例えば

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タイプも行う動きも全く違うのだが、同じVMAXで270ダメージを前に出すという点は同じであるが、それにかかるコストが明らかにピカチュウVMAXが大きい。
クワガノンを使うことができる、エレキパワーで打点を底上げすることができるなど差別化は可能であるが、こないだのCL横浜2020で調整を手伝っている中で直線的な攻撃をするだけならピカチュウVMAXはムゲンダイナVMAXに劣ると話しました。ひたすらピカチュウだけを回していたのでそこに気づくのに少し時間を使いました。
これが↑でいうスコトーマの一つだったんじゃないかと思います。
またさっきのギャラドスの件で言えば、仮想敵であったゲンガーを倒すだけならわざわざ2進化ポケモンを複数立てるのではなく、テールリベンジの90ダメージと毒とクロバットGのポケパワーで十分であると今になって思います。

成長の余地を考えるのは、デッキの調整・作成において一番重要なことであるものの、見定め間違うと莫大な労力と時間を無駄にする可能性があります。上記のスコトーマのとおり自分ひとりでは重要であると認識できないものは見ることができないため、他者からの意見や客観的な意見にも耳を傾けることでいくらか防ぐことができるのではないかと思います。

調整の精度

私たちは無限に時間を持っているわけではありません。ポケモンカードに限って言えば、例えば新弾のパックが発売され、大型大会が行われるまで、それぞれ多かれ少なかれ期限は存在します。その期限のうちにデッキを完成させなければなりません。
その期間内で何をするのかマネジメントをするのは自分自身です。
その限られた時間の中で調整をしなければならないのですが、広いカードプールのカードの組み合わせ・コンセプトをすべて試す時間など存在しないわけです。どれだけ調整をしたとしても、完璧なデッキがその期限内で見つかり、完成させられるか、本当に完成するのか先が見えない道をあるくようなもので調整とは不確実性を含んでいます。
上記の「前提条件のズレ」で言えば、大会のマッチングやシェア率などは大会が終わらなけらばわからない結果論でしかありません。
それこそ先の見えない道ですが、プレイヤーが大会前にできることは
①見えない道を知識を総動員して予測すること
②その予測をもとに誤魔化しを入れずに真意に向き合い、客観的にも判断を下し道を歩く方法を模索・計画を立てる。
ことだと思います。
例えば、3神ザシアンというデッキがシェア率が一番多いという予測を立てたとして、それに対して「ぶん回れば勝てる、勝ててる」「スパーで相手が理想の動きを1度もしなかったからスパーでは勝ててた」
これはおそらく自分自身をごまかしているのではないかと思います。
逆に3神ザシアンとマッチングした対戦をすべて勝ったものの、そもそものシェア率が低く、勝ちきれなかった。
これは事前の調整では精度の高い調整が行えたが、たまたま見えていなかった想定していなかったところで勝てなかっただけなので結果論でしかないと思います。
予測が不確実性を含むものであっても、その自分の予測(自分への課題)を整理し分析し客観的にもクリアすること、調整に必要なことの1つであると考えています。

愛着

そのオリジナルのデッキはあなたが1から作り上げた作品であることは間違いありません。
その形にするために莫大な時間と労力、そして愛情を注いだことでしょう。
それ故にそのデッキに都合が悪い情報をできるだけ見ないようにして、都合がいい情報だけが目に入れ、そのデッキを使うと判断した自分を正当化させようとしているのではないか。
そんなことを自分自身に問いただすことはとても難しい問題なんじゃないかと思います。
ここでも他者からの意見は非常に重要であると思います。

スコトーマを消すには?

というように脳に負担をかけないために存在するスコトーマであり必要なものではありますが、創造性という観点からすると邪魔なものとなります。
スコトーマを消す方法として言われている方法としては
①知識を増やす
②抽象思考を行うこと
と言われています。

知識を増やすことに関してはそのままの意味で重要性はわかると思います。上記の環境の前提条件の話でいえば、知識(情報)=最新のデッキの情報を得ることで思考の前提条件が変わる可能性があります。ただし重要ではないと思ったことはスコトーマとなってしまい、知識として手に入る・目に映っていたとしても実際には知覚できず見ることができないかもしれません。
つまり知識を得るという行動は知識がなければできないということになります。これを知識のジレンマといいます。
ならどうするのか?
それがもう一つの「抽象思考」です。
抽象思考とは抽象度をあげて物事を俯瞰して、より高い視点から思考する方法です。さっきのピカチュウVMAXの例でいうと。
デッキを細分化して考えると、どうやってピカチュウVMAXで戦うかということを考えていくとそこにしか目につかなくなり、それ以外のことがスコトーマとなります。一個視点をあげて、バトル場のポケモンに速攻で大ダメージを与えるデッキと考えてみましょう。そうするとムゲンダイナVMAXが近しい存在と思えてこないでしょうか?
ちょっと大げさな表現をしましたが、こうやって抽象度をあげると視点を高く持つことができるため、スコトーマを外すことができるとのことです。

(多分そこでピカチュウVMAXならクワガノンを使うことができるからズガドーンに強くなれるという考えになってしまうと、ムゲンダイナに無人発電所とアブソルを採用するといった発想にはたどり着けなくなるのではないかと思います)。

終わりに

またちょっと乱暴が表現を多用していますが、自分自身今でも上記のような失敗をすることもありますし、同じようなことを考えたりします。
思ってることをちょっと殴り書きをしました。
自分の整理のためでもありますが、もし共感してもらえたり、考えるときの手助けになったらうれしいです。
もし面白かった、続きがみたい、他にもなんか書いてなどありましたら、♡押してくれたりコメント書いてくれたりRTしてくれたら喜びます。
それではまた別の機会に。

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