見出し画像

ミャンマーで走ることについて語るときに僕の語ること

2023年9月18日追記
以下の記事はクーデターが起きる2年前の2018/3/26に執筆しました。2020年に軍事政権による悲しい出来事が発生し、自由に渡航するのも難しい状況になりました。早く平和な環境が戻りヤンゴンマラソンが開催されることになることを願っています。また開催されれば必ずエントリーして、走りに行き、多くの友人とも再開したいです。

ミャンマー🇲🇲はマラソンが急速に普及している国である。村上春樹の作品は献身的な翻訳者のおかげでブームとなりつつある。

ミャンマーで最も権威ある英字新聞Myanmar Timesの2018年3月23日号に"A literary sun is rising over the Golden land"という、日本文学翻訳家イエ・ミャ・ルィン氏による村上春樹の翻訳に関する記事が掲載されていた。ヤンゴンでアパレルビジネスを手がけられる日本人のレコスケさんという方が翻訳付きの丁寧な解説をされている。

村上春樹の翻訳は英語で世界中に広まっているため、この新聞記事にある通り、英語からの翻訳で二重翻訳となっていることがある。英語版ではマラソンの距離が42.195kmではなく26.2マイルとなっているので、訳語も26.2のままだとその可能性が高い。

この国のマラソンは発展途上と書いたが、最も有名なYangon International Marathonは毎年乾期の最も涼しい1月の下旬頃に開催される。軍事政権が長く続いたミャンマーで成功した民間事業者Serge Pan氏傘下のYomaとFMIがヤンゴン市と組みメインスポンサーとして開催している。大会の募集から当日の運営に至るまで安定感のある大会である。

唯一残念なのが、フルマラソンの参加者が千人にも満たないため、道路が一車線しか占有されず、コースに頻繁に車が入り込んでくることである。日本では歩行者が絶対的優位であるが、ミャンマーは車第一主義で、はねられると基本的には歩行者が注意を怠ったとされる。その前提を持たず走ると、車が避けてくれる、止まってくれるという思い込みで危ない目にあうことがある。実際、2017年の大会では日本人が一人はねられたらしい。ハノイのランニング友達の知り合いだった。友人は心配して私に状況を聞いてきたが、幸いご本人は大事無く当日帰国したそうだ。あのバイクだらけのハノイで走っているのだから、歩行者優先の思い込みのない方のはずだが、それでも運が悪いとこういう事故に巻き込まれてしまう。フルマラソンにエントリーする方はくれぐれも周囲の車に常に注意できる余力を持って走ってほしい。

このマラソンはハーフマラソンのコース設定が素晴らしい。全国民が崇めるシュエダゴンパゴダに至る上り坂の4車線道路をランナーが占有して走れるからである。夜が明けて間もなく道路の先にパゴダが見えた時には、それまでの疲れも吹き飛ぶ。マラソン発展途上の割には、沿道の観客は絶えることもなく、サッカーさながらの応援をしてくれる集団もいる。皆さん、半分物珍しさもあるのだろうが、カンボジアとは違って、自発的に見に来る方ばかりで、その人々を見ながら走るのも楽しい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?