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メディアに関する随想

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メディアについておりおりに思ったことを綴っていきます。
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記事一覧

記者は国民を代表していないからこそ自由に活動できる

記者が国民を代表しているというならその根拠を示せ。──首相官邸と東京新聞が記者の「代表」性をめぐってバトルを繰り広げています。 首相官邸が官房長官記者会見における東京新聞記者の質問権を制限するような要請を記者クラブに出したことに端を発する問題です。 東京新聞と官邸とのやりとりのなかで、東京新聞が「記者は国民の代表として質問に臨んでいる」と主張したことに対して、官邸側が冒頭のように切り返してきたというのです。 私の結論を先にいえば、記者は別に国民を代表しているとは思いません

ネット時代における〈マスコミ依存症〉について

先日、コンビニエンスストアでコーヒー購入のセルフシステムを悪用した男性が逮捕されるという事件がありました。レジで100円支払って150円のカフェラテをカップに注いだことが窃盗にあたるとして逮捕されたのです。いくつかの報道番組や新聞でそのニュースは報じられました。 常習の疑いがあるとはいえコンビニで50円ちょろまかすくらいの微罪でいきなりお縄を頂戴とは何だか世知辛い警察国家になってしまったものだなぁ、というのが私の率直な感想です。 さらに私が驚いたのは、ネット上では批判の矛

新聞を売るというビジネスについて私が感じている二、三の事柄

30年近く続けてきた新聞の購読を先月末にストップしました。紙に印刷された記事を読むことのメリットが出費に釣り合うほどのものでもないように思えてきたからです。すると昨夜、突然その新聞の勧誘員がやってきました。 「2万円分の商品券をプレゼントするので、また近いうちに再契約してもらえませんか」。 購読をやめる際に新聞の内容などに不服を申し立てたわけではないので、この程度のエサを投げればまた食いついてくると考えたのでしょうか。いささか客をバカにしたような振る舞いです。私は詳しい条件

「スクープ」報道した新聞が酷評されている件について私が思っている二、三の事柄

森友学園が経営する小学校への不透明な国有地払い下げをめぐる問題は、国会でも大々的に取り上げられる事態に発展しました。この一連の疑惑については私も思うところがありますが、ことあらためて述べるようなことは持ち合わせておりませんので、ここでは触れないことにします。 私が今、この問題をとおして関心をもっていることの一つは新聞メディアと一般読者との関係について大変興味深い問題を投げかけていると思われる点です。本稿ではその問題について少し書いてみたいと思います。 この問題を最初に報道し

ステルス・マーケティングについて私が思っている二、三の事柄

早稲田大学ジャーナリズム研究所が立ち上げたワセダクロニクルが医療問題に関する共同通信社の配信記事が企業によって買われたものであったことをスクープして波紋を広げています。その記事は以下のサイトで読めます。 http://www.wasedachronicle.org/articles/buying-articles/1/ 社団法人共同通信社や医薬品メーカーは当然ながら記事内容を否定していますが、問題となる記事を書いた共同通信の編集委員への取材も行なっていて、いい加減に書き飛