言葉用重箱の隅をつついて紡ぎ出す〜『珠玉の短編』
◆山田詠美著『珠玉の短編』
出版社:講談社
発売時期:2016年6月
ひとつの言葉から連想ゲームにようにして小説世界が広がっていく。本書はそのような掌編ばかりを収めたコンセプチュアルな短編集です。
「食べる」「食う」という言葉から想像を膨らませる《サヴァラン夫人》。「骨」にまつわる《骨まで愛して‥みた》。「虫やしない」という古い言葉から「虫」や「養う」ことへと話が飛翔していく《虫やしない》……。
表題作がおもしろい。自分の作品に「珠玉の短編」と編集者に書かれた作家が不快感