これからの時代を豊かに生きていくために〜『観光客の哲学』
◆東浩紀著『ゲンロン0 観光客の哲学』
出版社:ゲンロン
発売時期:2017年4月
意表をついた標題がまずは目を引きます。観光客の哲学。これまで人文学的には注目を集めてきとは言い難い存在=観光客に着目して、さて東浩紀はいかなる哲学を差し出そうとしているのでしょうか。
21世紀の世界は、政治の層と経済の層、ナショナリズムとグローバリズムの層、国民国家の層と帝国の層……の二層構造で捉えられる。つまりグローバリズムが地球を覆い尽くしたわけでもなく、国民国家間の境界が溶解したわけ