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本読みの記録(2018)

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ブックレビューなど書物に関するテキストを収録しています。対象は2018年刊行の書籍。
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#山中伸弥

研究者として、組織のリーダーとして〜『走り続ける力』

◆山中伸弥著『走り続ける力』 出版社:毎日新聞出版 発売時期:2018年7月 iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥の研究内容をはじめ、研究に対する姿勢や人となりがよくわかる本。本人が毎日新聞に連載した文章、江崎玲於奈や井山裕太との対談、山中の研究に関心をもってフォローし続けてきた毎日新聞編集委員の永山悦子の文章・インタビューなどバラエティ豊かな構成です。 現在、山中の研究成果をもとに臨床応用の可能性が見えてきている病気がいくつかあります。本書では山中の研究内容は

知性の再定義を迫られる時代を生きる〜『人間の未来 AIの未来』

◆山中伸弥、羽生善治著『人間の未来 AIの未来』 出版社:講談社 発売時期:2018年2月 異業種対談なるものは、往々にして両者が無理に話を噛み合わせようとするあまりに一般化・抽象化に流れてしまい、一流人同士でも思ったほどおもしろくならないことが多い、と常々感じてきました。けれども本書はその不首尾を免れた貴重な一冊といえそうです。 話題は多岐にわたります。iPS細胞研究の最前線やノーベル賞受賞時の挿話、将棋界の新しい動きや藤井聡太論、人材育成のあり方……などなど。二人の達