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本読みの記録(2018)

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ブックレビューなど書物に関するテキストを収録しています。対象は2018年刊行の書籍。
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#マルクスガブリエル

存在の複数性を認める新しい実在論〜『なぜ世界は存在しないのか』

◆マルクス・ガブリエル著『なぜ世界は存在しないのか』(清水一浩訳) 出版社:講談社 発売時期:2018年1月 新しい実在論を唱えるドイツの哲学者として世界的に注目を集めているらしいマルクス・ガブリエルが一般向けに平易に書いた哲学書の全訳版です。 まず正直に告白しておけば、本書の内容を十全に理解できたと確言する自信はありません。ゆえに以下に掲げる批判まじりの素朴な感想は、哲学の素人である私の読解力不足に起因するものであるかもしれないことを最初にお断りしておきます。 2011

デモクラシーとは自らを問うもの〜『欲望の民主主義』

◆丸山俊一+NHK「欲望の民主主義」制作班著『欲望の民主主義 分断を越える哲学』 出版社:幻冬舎 発売時期:2018年1月 NHKが2017年4月に放送したBS1スペシャル「欲望の民主主義〜世界の景色が変わる時〜」を書籍化したもので、6人の学者たちの談話を中心にまとめています。 登場するのは、ヤシャ・モンク(政治学)、ジョナサン・ハイト(社会心理学)、シンシア・フルーリー(政治哲学、精神分析学)、マルセル・ゴーシェ(政治哲学)、ジャン=ピエール・ルゴフ(社会学)、マルクス