空白の時間に遊ぶ〜『俳句の誕生』
◆長谷川櫂著『俳句の誕生』
出版社:筑摩書房
発売時期:2018年3月
俳諧連歌にはいろいろな形式がありますが、江戸時代に流行したのは歌仙だといいます。五・七・五の長句と七・七の短句を連衆と呼ばれる参加者が交互に三十六句詠み連ねるものです。
歌仙では一句ごとに描かれる場面が変わります。同時に句を詠む主体も次々に変わっていく。主体の転換こそが歌仙を進めていく原動力となります。言い換えれば自分ではない他者になって句を詠むことが行なわれるわけです。俳諧の「俳」の文字は白川静によ