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それは君のせいじゃない

傷ついたことがあって
友達に打ち明けたら「そんなこと?」と軽く扱われてしまうことがある。
ある時「仁香ちゃんは恵まれてるから、そんなことくらいで傷つくんだよ」
という言葉が返ってきて、私はもう一度、傷ついた。
傷つく、私がいけないの?

母親にこんなことを言われて傷ついた、と打ち明けたら。
「ふうん」と受け流された。
「お母さんは、仁香ちゃんのことを思ってくれてるんだよ」
「ごめん、って言ってくれたんならいいじゃん」
「お母さんのこと、そんなふうに言うなんて。心を開いて話せば、きっと分かり合えるはず」
「子供のことを思わない親なんていないよ。お母さんの気持ちを考えたら?」
何度も、何度も傷ついた。
傷つく、私がいけないの?

違う違う。
違うのだ。

他人にわかってもらおうと、自分の傷の話を打ち明けたことを後悔した。
傷つく私がいけないのではない。
打ち明ける相手を間違えただけ。
そして、自分が傷ついたことに同情してもらいたいとか、わかってもらいたい、と思ったことが間違っていた。

彼女には、言ってはいけなかった。
だって、彼女には、私と同じ痛みがないから分かりっこないのだ。そう思ったら、スッキリした。
彼女にはきっとわからない。
でも、それで良いのだ。
彼女は、わかる必要がないのだから。

息子たちよ
君たちも、これから傷つくことがたくさんあるだろう。
そして、傷ついた君に、ぴったりの慰めの言葉がそのたびに与えられないかもしれない。
でも、それは君のせいじゃない。
傷つくことに、罪悪感を感じなくていい。

人は、脆い。弱い。傷つきやすい。
鎧を着ないとやっていけないからみんなそれぞれの
自分仕様の鎧を着る。

でもね。鎧は着なくていい。
傷ついた時は、ちゃんと傷ついて。
泣いて。
決して、自分のせいにしないで。
罪悪感を持たないで。

「誰のおかげで育ったんだ」と恩に着せたり(親以外でも、育ての親を自称する人はよく現れる)
「後ろめたいことから逃げていて、それを指摘されたから傷ついたんじゃない?」と上目線で指摘するような人からは逃げていい。
逃げるは恥だが役に立つって素敵な言葉があるけれど
正直、逃げるは恥じゃない。
勇気がないと、背を向けることは出来ないんだよ。

「誰のせいで成長できた」とか「俺のおかげで売れたくせに」
とか言われても、絶対にその時に何らかの報酬を
見えない形でも渡しているんだから、そんな人の言葉は信じなくていい。

君たちを幸せにできるのは、君たち自身だけ。
私たち親は楽しい時間や幸せな記憶を与えることはできる。
でもあなたの魂の幸せを守り切ることはできない。
それは、君たち自身にしかできない。

たとえ家族でも、家族の何かを背負う必要はない。
もしも、君たちが自分以外の誰かの責任を負う日が来たら
それは、君たちが、君たち自身で「この人と責任を持って付き合おう」
と覚悟した相手だけでいい。

自分の幸せに責任を持ち続けていたら、
きっと出会える。
君たちを理解してくれる人に。



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