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【ショート ショート】 カエルカゲンショウ

私は誰かと付き合っても、長く続いたためしがない。理由は…分かっているのです。
他でもない私が原因なのだから。

たいていは、私から好意を持って告白し付き合い始めるのですが、ある日の彼の、何気ない会話や所作に、突然興醒めしてしまうのです。

昨日までは、あんなに大好きだった彼のことを
とたんに嫌いになるなんて。
それも、嫌悪のレベルですよ。
私だって最初はビックリしました。
でもそれは流石に、人としてどうなのかと思う
ので、その感情の変化を悟られないように
努力はしたつもりです。
彼のことを傷つけないように、ことさら表情や言葉には気をつけました。
でも、無理なものは無理ですね。
よけいに嫌悪感が増しただけでした。

きっかけは、ホントに些細なことなのです。
例えば箸の持ち方、歩き方、相槌の打ち方など。
えっ!そんなことで?と思うでしょ。
例をあげたらキリがないのだけれど、
そんなことで…なのです。
彼にとっては、自分が嫌われた理由すらきっと
今も分からないままでしょう。

友人には理想が高いせいだと言われ、酷いヤツだとも言われたりして…。
最近では、恋愛することに臆病になってきているのです。

特別に私の容姿が良いのならともかく、人並み程度のクセにあの仕打ちなのです。
ただ普通に恋愛をして、いずれは家庭を持ち、
普通に幸せになりたいだけなのです。

私は人として、どこか欠陥があるのでしょうか。
このままいけば、恋愛したくても出来ない
恋愛難民に陥るでしょう。

そんなこんなで、気づけば28才になりました。
適齢期なんて、とうの昔に過ぎているのです。
えっ?まだ遅くない?
ありがとう、でも私に優しい言葉は不要です。
私は、酷い仕打ちをしてきたのだから。

こういった症状のことを巷では『蛙化現象』と呼ばれていて、私のような症状の女性が増えているらしいのです。
どうも、グリム童話の【かえるの王様】からの由来だそうですけど、どんな話だったかしら。

そんなことよりこれから先、私は恋愛できるのでしょうか。
ああ、気弱になったらダメね。
世のメンズのみなさん、すみません。
もしかしたらこれから先、私と何かしらの縁があるかもしれませんね。
きっと次は大丈夫?…のような気がします。
私、諦めませんから。


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