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映画は変わらない

映画はいつも変わらない。感想が変わるのは自分が変わるからだ。 12モンキーズで主人公が言う台詞は正しくそうだ。映画はいつだって内容は変わらない。時々何度見ても「今日は負けちゃうかと思った!」と云ったトチ狂った気持ちを抱くこともあるが(マッドマックスを10回見ていたときの私だ)、それでも内容は変わらない。でも見たときに抱く気持ちは変わっていく。 私の中で大きく感想が変わったのが「となりのトトロ」だ。子どもの頃は単に「トトロ可愛い〜!ねこバス乗りた〜い!」といっ

    • 選択に伴う罪(ネタバレ含む感想)

       ストーリーはすごく面白かったです。  戦争もののフィクションで架空のキャラクターを上手く混ぜ合わせていたし、軍部vs数学という暴力vs知力の、あまり戦争もので見たことがない構図で斬新さがあったと思います。これが『イミテーションゲーム』のように他国への対立で行われるのではなくて自国内での対立で行われるのが日本の悲しいところではあるけど。  そして、あれだけ立ち向かっても軍人たちの老獪さに最終的には翻弄されて時代の大きな渦に巻き込まれてしまうところもあの時代の遣る瀬無さとど

      • ハッピーエンドは1つじゃない(ネタバレ含む感想)

          新元号になり、2020年になった現在であろうとも「結婚」は依然として女性のゴールとしての幅を利かせている。  ストーリーオブマイライフはそんな「結婚」という出来事に焦点を当てた映画だ。主要登場人物の4姉妹は結婚という出来事から色々な壁へぶつかる。この映画の原作は若草物語で、原作の舞台は1860年代のアメリカだが、この時代は今よりもさらに結婚というイベントは女性のゴールであり、命題だった。  長女のメグは愛する人と結婚したものの配偶者は稼ぎが良いとは言えず貧乏生活、次女

        • 「映画」という闘い

           今回の作品はネタバレなしで感想を書くことにした。私は映画の感想を書くとき基本ネタバレありきで書いている。というのも、私が感想を書くのは自分の考えを整理するためが1つ。そしてHSPの方のように映画が気になるけれど精神的なところでどうしても映画が観られない人へその映画の魅力を伝えられたらと思って書いているのが1つ。あとは「ネタバレ」の基準が人によって結構違うので面倒な事にならないための布石だ。  今回ネタバレ無しで感想を書こうと思ったのは、より多くの人にこの映画を観てほしいと

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          個人へ帰結する戦争(ネタバレ含む感想)

           ダンケルクはダイナモ作戦を舞台にした実話を交えた映画だ。フランスのダンケルクでドイツ軍に追い詰められ孤立した連合軍大規模撤退作戦の英国側コードネームが、ダイナモ作戦である。  しかし、この映画の中では「ダイナモ作戦」といった単語等は出てこない。この映画の中でダンケルクの戦いで英国軍が孤立したことは冒頭の「降伏せよ!」というドイツ軍が戦闘機からばら撒くチラシぐらいでしか説明されず、基本的に登場人物たちの台詞もかなり少ない。「ダイナモ作戦」という舞台に観客を集中させるため、余

          個人へ帰結する戦争(ネタバレ含む感想)

          共感と共有の行方(ネタバレ含む感想)

           雲一つない快晴の日にミッドサマーを観た。正直ヘレディタリーの監督が撮った映画で、あの予告編で、しかも不穏な感想が溢れていたので戦々恐々と観に行ったのだが、監督の言う通りホラーでは無かった。割とハッピーエンドだし、セラピー映画だった。  妹が両親と無理心中をし、家族を一気に失ったことで精神疾患とトラウマを抱えるダニー。そんなダニーのことを面倒に思いながらも、流石に現在のダニーの状態では別れられない恋人のクリスチャンは大学の友人たちと行くスウェーデン旅行へダニーを誘う。このス

          共感と共有の行方(ネタバレ含む感想)

          かつてそこに国があった(ネタバレ含む感想)

           かつてユーゴラスラビアという国があった。南東ヨーロッパのバルカン半島付近に存在し、「7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家」と形容された国だ。  そんな国がWW2から内戦で崩壊するまでを描いた映画が『アンダーグラウンド』である。描いている時代で分かる通り、戦争映画に分類される映画なのだが、大多数が想像する戦争映画とは異なる。雰囲気でいうなら現在公開中の『ジョジョラビット』が1番近いかもしれない。  どこが普通と違うのかと言う

          かつてそこに国があった(ネタバレ含む感想)

          私に出来ること(ネタバレ含む感想)

           かつてチャップリンは映画『独裁者』を撮ったとき、ヒトラーについてこんなことを言った。「奴のことを世界中の笑い者にしなくてはならない」そしてそんな『独裁者』から80年ほど経って公開された今回のジョジョラビットにもそれは受け継がれているのだろう。ちなみにヒトラーを演じた今作の監督であるタイカワイティティはポリネシア系ユダヤ人で、監督自身は「それをヒトラーが知ったら憤死するかもね(笑)」みたいに言っていた。  ヒトラーユーゲント(ナチス党内の青少年組織)のキャンプに参加している

          私に出来ること(ネタバレ含む感想)

          「パラサイト」なんて言えない(ネタバレ含む感想)

          ポンジュノ監督の映画はジャンルをどう言って良いか迷う。今回のパラサイトだって最初はコメディに近いが、その間もヒリヒリとした緊張感があり、最終的にコメディではなくなってしまう。どう着地するのか分からない、それがポンジュノ監督の映画の魅力だ。それはパラサイトでも存分に発揮されている。 低所得者向けの半地下住宅に住む全員失業中のキム家の長男ギウは、高台の高級住宅に住むパク家の娘の家庭教師アルバイトを友人から紹介される。そしてそのアルバイトを皮切りに、パク家へ美術教師として

          「パラサイト」なんて言えない(ネタバレ含む感想)

          わたし、ピグモン

          最近、あるトレーナーを買った。ピグモンのトレーナーである。ここで言うピグモンは皆さんが思い描く通りのウルトラマンに出てくるあの赤い怪獣だ。 ちなみにこういうトレーナーである。 ピグモンの主張が強い。まあ、そこが好きで買ったのだが。 これを着て街を歩くとき、子どもによく見られる。バス停で待っていると子どもの視点が完全にピグモンの顔あたりに固定されているのが分かるときがある。見られている。ものすごく見られている。ちなみにその子のお母さんはちょっと笑っている。

          わたし、ピグモン

          死霊を盆踊りさすな(ネタバレ含む感想)

          2019年に駆け込みでスカイウォーカーの夜明けを見た。新3部作の完結編、そしてスターウォーズシリーズの完結編として銘打たれた本作は多大な期待と不安を抱えた作品だった。というのも、前作の最後のジェダイへの賛否両論が激しく、その監督であったライアンジョンソンがクビになり、フォースの覚醒の監督であったJJに再度お鉢が回ってきたというゴタゴタの後で作られた完結編だからだ。 そしてそんなスカイウォーカーの夜明けを見終わった正直な感想を言うなら「日和ってんじゃねーよ!!!」だっ

          死霊を盆踊りさすな(ネタバレ含む感想)

          2019年個人的映画ベスト10

          スカイウォーカーの夜明けを昨日見たので、やっと2019年独断と偏見に基づく映画ベスト10ができるぞ〜!ちなみにスカイウォーカーの夜明けはランク外である。理由に関しては色々と溜まったものがあるので今度感想で書こうと思う。 さっそく発表〜!今回はネタバレなし! 第10位 蜜蜂と遠雷 恩田陸さんの小説の映画化。小説の場面そのままが映像化されたかのような印象を受けた。一場面一場面に絵画のような瞬間があり、それだけでも見惚れてしまう。そして森崎ウィンくんのあの柔和な感

          2019年個人的映画ベスト10

          選ばれていない人々の結末(ネタバレ含む感想)

          明日スカイウォーカーの夜明けを見に行くことが決まったので、今日は私が好きなローグワンの感想を書く(なぜ)。 ローグワンを一言にするならChosen One(選ばれた人)でない人々の物語だ。 スターウォーズはスカイウォーカー家のお話であってスカイウォーカー家は選ばれた人だ。スターウォーズというのは基本的に選ばれた人たち、主人公たちの話である。神話みたいに特別な誰かが主役として、主役らしい振舞いを期待されている物語。 しかし、ローグワンはそうではない。あくま

          選ばれていない人々の結末(ネタバレ含む感想)

          嗚呼!我らが王よ!(ネタバレ含む感想)

          今年、最も自分が熱狂した映画に感想を書いていない事実に気づき、急遽書いた感想である。今年最も熱く、荒々しく、神々しい映画とは何だったか。みなさんもお気づきだろうとは思うのだが、改めて言わせてほしい。そう、ゴジラ キングオブモンスターズ(以下、KOMと略す)である!!!!!!!! 元から私はゴジラが大好きだった。小学校の卒業式に回って来るプロフィール帳に「好きなものは(ゴジラとガメラとシャチとサメ)だよ!」と書く子どもだった。今も好きなものは特に変わっていない。ちなみ

          嗚呼!我らが王よ!(ネタバレ含む感想)

          理想の夫婦という契約履行(ネタバレ含む感想)

          久しぶりにゴーンガールを見た。 初めて見たときは「エイミー恐い…」という感想のみだったが、今見てみるとエイミーは確かに恐いのだが恐いだけではない。彼女の言うことにも一理あると思った。 5回目の結婚記念日を迎えたニックは妻のエイミーが失踪していることに気づき、捜索を開始するが、人気児童文学のモデルにもなったエイミーの失踪はメディアの過激な報道に繋がり、夫のニックに対して世間の疑いの目が向く。はなしてエイミーの失踪はニックの犯行なのだろうか、その真相は…というのがゴ

          理想の夫婦という契約履行(ネタバレ含む感想)

          恋をしたから声を取り戻した人魚姫(ネタバレ含む感想)

          昨日、友人にシェイプオブウォーターについて熱く語ってしまったので、これを機に感想を書く。 シェイプオブウォーターは大人のおとぎ話と表現するのがぴったりくる映画だ。おとぎ話と書いた通り、本作の土台はアンデルセン童話の「人魚姫」である。しかし当然、今回の設定は通常の人魚姫ではない。 ヒロインは掃除婦をしている生まれつき発話障害で声の出ない中年の女性、その友人は同僚で太めの黒人女性とゲイの孤独な画家を営む男性。極め付けに王子様は半魚人(人間的な要素は0)という字面

          恋をしたから声を取り戻した人魚姫(ネタバレ含む感想)