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【イベントレポート】CTO・VPoEに聞く ひとつ上のキャリアを目指す方法とは? ROSCAFE TECH NIGHT#6

皆さん、こんにちは!
ぶっちゃけ系エージェント、ROSCA広報のSahoです。

4月24日(水)に弊社ROSCAが運営する「ROSCAFE」にて「CTO・VPoEに聞く ひとつ上のキャリアを目指す方法とは?~ROSCAFE TECH NIGHT#6~」を開催しました!

この記事では企画・運営、そして当日のモデレーターを勤めました私、Saho@ROSCA広報目線でイベントの様子をお伝えしたいと思います。

それではさっそく見ていきましょう!

佐藤 貴紀さん 株式会社ペライチ 執行役員VPoT




トップバッターは株式会社ペライチ(以下、ペライチ)の佐藤さん。現在、執行役員VPoTとしてテクノロジー部門を統括されています。ペライチは、スモールビジネス向けのホームページ作成サービスを提供しており、ホームページだけでなく、決済機能や予約機能、集客機能など、中小企業が必要とするビジネス機能を広く提供しています。

佐藤さんのキャリア形成の話は大きく二つのテーマに分かれており、一つ目は、転職時にどのようにキャリアを形成してきたか、そして二つ目は、組織内でどのようにキャリアを強化してきたかという点です。佐藤さんの社会人としてのキャリアは、公共分野のインフラエンジニアとして始まりました。彼は、新卒でSIerに入社し、物理的なサーバールームでのメンテナンスや基板開発を主に担当していました。しかし、任されるプロジェクトの規模が大きくなるにつれ、調整業務が増えていき、次第にエンジニアとしての開発業務に対する欲求が強くなりました。

その後、佐藤さんは転職を決意し、Web系エンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。転職の際には勉強会に積極的に参加し、個人でアプリ開発を行うなどしてスキルを磨く日々だったそうです。ある日、勉強会を通じてペライチの創業者と知り合い、週末にボランティアとしてペライチの開発に参加するようになりました。このボランティア活動を通じて、SIer以外の業界で自分の力が通用するかを試したうえで、2017年にペライチに入社しました。

入社後、佐藤さんはインフラからバックエンドアプリの開発に移行しました。彼はスクラム開発やマネジメントの整理なども担当し、組織全体のオペレーションを改善していきました。SIer時代のマネジメント経験が強みとなり、開発プロセスの整備や部門マネジメントの支援を行うようになりました。この経験を通じて、佐藤さんは自分の能力が相対的なものであり、環境の変化に応じて新たな強みが生まれることを実感しました。
現在、佐藤さんはVPoTとして、技術負債の解消や新しいアーキテクチャの推進を担当しています。ペライチはグローバル展開を見据えており、そのための基盤作りを進めている最中です。開発役員として、佐藤さんは大規模プロジェクトの推進やオフショア開発の導入など、多岐にわたる業務を担当しています。

佐藤さんのキャリア形成において重要なポイントは、リスクを取ることと、セーフティネットを設けることです。リスクを取ることで成長に繋がる一方、失敗しても大丈夫な状態を作ることが重要です。また、環境やレイヤーを少しずつずらして総合力を伸ばすことが有効であると考えているそうです。

佐藤さんの経験は、キャリア形成において非常に参考になるポイントが多く、特にこれからさらに上のポジションを目指す方にとって貴重なテーマだと感じました。

泰 昌平さん スパイスファクトリー株式会社 Co-Founder & CTO




2人目のLTはスパイスファクトリー株式会社(以下、スパイスファクトリー)の共同創業者でありCTOの泰さんです。創業から現在に至るまで技術戦略や品質管理を担当してきました。昨年にはフィリピンのオフショア開発拠点の立ち上げにも携わり、その技術管理も行っているそうです。

スパイスファクトリーは2016年に創業され、日本には75名、フィリピンには約20名のメンバーが在籍しており、全体で約100名の体制を持つ組織です。主な事業は、360°デジタル・インテグレーターとしての全方位的なDX支援です。システム開発やプロダクトの開発を行っています。会社の強みはUI/UX×アジャイル開発であり、組織全体にもアジャイルな文化が根付いている点が特徴です。

今回はCTOとして「技術とどう向き合うか」についてお話しいただきました。創業時は4名のエンジニアでシステム開発を行い、スクラッチ開発とSaaS連携で担当する範囲を分割するダブルCTO体制を2020年よりスタートし、組織を強化してきたそうです。創業期からCTOとしての役割を担い、対応すべき技術領域の広さや複雑性に多くの悩みを抱えていました。

2023年にはフィリピンに海外現地法人を設立し、現地エンジニアの採用やチームビルディング、技術管理を行いました。組織の急成長に伴い、成長痛も経験しながら現在までプロセスや品質管理の強化に取り組んでいます。技術スタックも多様化し、創業時にはCakePHPやWordPress、Google Cloudを使用していたところを、現在ではAWSやRails、ネイティブアプリ開発、ノーコードツールのAppSheetなど、幅広い技術を取り入れています。

月日の経過とともに事業の多様化も進み、システム開発やWeb制作だけでなく、HubSpotの導入支援やECシステムの開発など、現在は多岐にわたる業務を手掛けています。組織の成長に伴い、エンジニアだけでなく、スクラムマスターやUXリサーチャー、UI/UXデザイナー、アカウントプランナー、マーケターなど、多様なクリエイターが集まるようになりました。

ビジネス/社会アジェンダの複雑性が増し、DXを実現するための技術や専門性も多様化しています。その中でCTOが全ての技術領域をリードすることは物理的に難しい為、専門家やシニアエンジニアとの協業が重要だと感じているそうです。その為には技術の多様性を重視し、エンジニアが持つ課題解決の選択肢を増やすことが組織にとって大切だと考えています。CTOとしては、協調性と幅広い視点を持ち、多くの専門家を巻き込みながら最終的な意思決定と技術的責任を持つことが求められます。

また、情報収集と新しい技術の学習を欠かさず行い、エンジニアを巻き込んで取り組むことがプロジェクト成功の鍵だと語りました。泰さんの好きな言葉として「なにごともエンジニアありき、Get engineers involved and excited – noting happens otherwise.」という言葉があるそうです。
CTOとしての役割や技術への向き合い方、組織の成長と技術の多様性の重要性について深く感じることができるLTでした。

宮永 照久さん 株式会社Housmart VPoE



3番目のLTは株式会社HousmartのVPoEである宮永さんです。宮永さんは、リーダーポジションに投与したくなる人材について、自身の経験を基にお話いただきました。

宮永さんは楽天の新卒エンジニアとして5年間勤務し、その際にHousmartの代表に出会いました。2014年から創業のタイミングでサポートを始め、約10年間、CTOやPM、CPO、取締役など様々なポジションを経験し、現在はVPoEとして活動しています。

Housmartは不動産仲介業を主軸とした不動産テック企業で、不動産の売買における取引の特殊性を解消するためのサービスを提供しています。住まいの取引は初心者が多く、高額であり、必要な知識も膨大です。取引のプロがサポートすることが重要ですが、現状では不動産営業の生産性が低く、顧客と向き合う時間が不足しているそうです。Housmartはこの問題を解決し、社員も誇りを持って働けるエージェントを目指しています。

本題である「リーダーポジションに投与したくなる人材」についてです。リーダーポジションにアサインする際の基準を三つの要素に分けて考えます。まず一つ目は「スキル」で、リーダーポジションとして必要なスキルを持つこと。二つ目は「リーダー感」で、周りから信頼される存在であること。三つ目は「情熱」で、会社やプロジェクトに対する熱い思いを持っていることです。

スキルについては、「突破力」「プロジェクトマネジメント力」「MC力(コミュニケーション力)」「ビジョン提言力」の4つに分類しました。「突破力」は個人として物事を進める力、「プロジェクトマネジメント力」は計画的に進行する力、「MC力(コミュニケーション力)」は周りの意見をまとめる力「ビジョン提言力」は明確なゴールを設定する力です。

「リーダー感については」周りから頼りにされる存在であることが重要であり、「MC力」「ビジョン提言力」を発揮することで、信頼を勝ち取ることができます。また「リーダー感」を感じさせる場を意図的に提供することが重要であり、役割を回すことでリーダーの能力に気づくことができるそうです。

最後に「情熱」について話し、情熱はエンジンとなる原動力であり、自分をごまかすことはできないと強調しました。情熱を持って取り組むことがリーダーとしての支えとなり、情熱がなければ人として、短期的に燃え尽きてしまう可能性があると考えているそうです。

宮永さんは、過去の失敗経験からこの三つの要素が重要であると感じており、スキルの中の「リーダー感」「情熱」のバランスが取れていることがリーダーとしての成功の鍵だと結論付けました。最後に、リーダーポジションを目指す人に向けて、三つの視点を見直し、逆算的にアプローチすることの重要性を強調しました。また、登用する側に向けては、スキルだけでなく情熱の確認を忘れずに行うことが重要であると考えているそうです。

宮永さんの話を通じて、リーダーポジションに必要な要素やそのバランス、そして情熱の重要性について深く学ぶことができました。


横江 亮佑さん 株式会社ラブグラフ 執行役員CTO



最後のLTは株式会社ラブグラフ(以下、ラブグラフ)のCTOである横江さんです。出張撮影サービスを提供するラブグラフに2021年1月に入社し、同年4月からCTOとしてのキャリアをスタートさせました。また、2024年4月からはグロービス経営大学院に入学し、院生としても学びを続けているそうです!

横江さんのキャリアは、計画的というよりはがむしゃらに進んできたものでした。大学中退後にプログラミングの勉強を始め、YouTuberの支援をおこなうUUUM株式会社にアルバイトとして入社し、その後に正社員となりました。ここでの経験からマネジメントに興味を持ち、「辞めない採用、即戦力の育成で儲かる会社になる!(著:小山昇)」などの人事・組織関連の本を読むようになって、人が辞めない組織作りに関心を持ち始めました。

その後、暗号資産取引所を運営するコインチェック株式会社では、大きな組織変更のあおりを受けて、会社の雰囲気が一変。多くの社員が辞めていく中で、横江さんは「力を持たなければ人は守れない」ということを学びました。これがCTOを目指すきっかけとなり、さらに多くの人を幸せにするために経営者としての学びを続ける決意を固めました。

以前は、エンジニアはプレイヤーとして技術を極めるか、マネージャーとして成長していくかの二択を求められることが多かったそうです。しかし、IaaSの浸透などによって、以前ほど高い専門スキルを求められる場面が減ったことや、高い技術スキルが会社の収益に直接的に影響するわけでもないことから、現在ではプレイヤースキルを上げつつマネジメントもできることが会社から求められるケースが増えてきたそうです。

そこで、現代のキャリアパスを二択にするなら「お金を稼ぐか、努力をするか」の二択であり、自分がどちらのスタンスを取るかを明確にすることが重要だとお話されました。お金を稼ぐキャリアパスでは、中途半端に正社員やフリーランスを続けずに、ある程度のスキルと実績を積んだあとはフリーランスを束ねる側、つまり社長になることが推奨されます。努力のキャリアパスでは、社内外からの信頼を得て少しずつポジションを上げていくことが求められます。

どちらのキャリアパスを選ぶにしても、自分のスタンスを自分の中で明確にし、それに基づいて行動することが大切です。そこが揺らいでいると、行動に一貫性が出ず、あとから振り返ったときに後悔する可能性が増します。努力のキャリアパスを選ぶ場合は、成果を出し、その成果を社内外に見えるようにすることが大切です。また、リーダーを助けることと、そのリーダーが出来ていないことを自分が習得することの両方が、キャリアアップのポイントだそうです。

2つのうち、「努力」という言葉が一見きれいに見えるけれど、「お金」というキャリアパスを選ぶのを恐れないでほしいと強調されていました。結果として、スキルかもしれないし、お金かもしれないし、何かしらの大きな力を得ることができ、その力で誰かを幸せにすることができる。横江さんのお話は、エンジニアとしてのキャリアパスを考える上でとても考えさせられる内容でした。


今回のイベントを通じて、各企業のCTO / VPoEの皆様の考えるキャリアのあり方について学ぶことができました。改めまして登壇者の皆様、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回の記事でお会いしましょう!


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