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読書感想文:永井陽右さん「紛争地で「働く」私の生き方」

最近読み終わった本の感想です。

著者はNPO法人アクセプト・インターナショナルの代表、永井陽右さんです。
このNPO法人アクセプト・インターナショナルは書籍のタイトルからも分かるように紛争地で活動しています。

排除するのではなく、受け入れる
このコンセプトを軸に、私たちはテロと紛争の解決に取り組んでいます。

NPO法人アクセプト・インターナショナル公式サイトより

具体的には、テロリストなどの脱過激化プロジェクトを通してひとりひとりが社会に戻れる取り組みを行っています。
という言葉だけでは、多分、ちょっとピンと来にくいのだと思います。

私は思春期の頃、ぼんやりと国際協力というものに少しだけ興味がありました。
結局それは、実際に行動に移すことはなかったのですが、とはいえ、そんな過去があったからこそ、ほんのすこーしだけ、この本はそれなりにすんなり入ってきました。

紛争という言葉はちょくちょく耳にしてはいても、具体的にどういう人達が争っていてその原因はなんなのかということは把握出来ていないことの方が多いと思います。
そして、テロリストという言葉に対して恐ろしいイメージを持っていても、彼らがどのような考えを持っているのかは更に把握出来ていません。
過激派だとか原理主義といった言葉で表現される組織も、一人一人の人間が参加して成り立っているということは当たり前だけれど意識出来ていなかったのだなと思います。

そうした一人一人の人間を受け入れる活動をしているのがNPO法人アクセプト・インターナショナルです。

この書籍は、実際に受け入れた人々の具体的な(といっても、様々な事情から情報は一部分からないように書いてある)エピソードや、著者がこのような活動に至った経緯などが書いてあります。
言葉選びは難しくないですし、国際情勢を理解出来ていなくても問題なく読み進められます。
緊迫した内容は勿論ありますが、人々との微笑ましい場面も沢山紹介されています。

イエメンでは、アニメなど文化の影響によって日本人であるというだけで大変歓迎されたというエピソードについては、先人たちの功績によって自分が受け入れられており日本人であるという意味を持つことが出来ているというい風に表現されています。
当たり前といえばそうだけれど、改めて、嗚呼そうだよなぁと実感しました。
それこそ、思春期の頃は今ほど国家観というものがなく、今ですら確固たるものがあるのかと言われると自信を持てません。
紛争などに限らず、部外者には分からないと拒否してしまうことは幾らでも出来るけれど、その中でもアプローチのきっかけとなるのはこういう意外な部分だったりするのだろうし、それは決して自分だけの功績とはなり得ないものなのだと思います。

「知る」ということは、単純に知識欲を満たすだけではなく、何かを救う一歩になるのだなと思わずにはいられません。
その為の手段は様々で、本を読むということもその一つになるはず。

では、また。


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