読書感想文:山口路子さん「サガンの言葉」
「悲しみよ、こんにちは」「ブラームスはお好き」などで知られるフランスの作家、フランソワーズ・サガン。
彼女の言葉を集め、その言葉から彼女について考察している本を読みました。
サガンを知ったきっかけは余り覚えていません。
まぁ、有名なので特に意識せずなんとなく名前を知っていた、というところだと思います。
二十歳そこそこくらいの頃、もう何が原因だったかは忘れてしまったのですが、当時私私は何かにひどく嘆き、悲しんでいました。
その時、友人にかけられた言葉が今でも強く印象に残っています。
「悲しみはね、美しいんだよ。」
悲しみのさなかに居る本人は分からないけれど、確かに悲しみというのは美しい、あるいは美しいものを生み出すのだと思う。
非常に腑に落ちて、私はなにがしかの悲しみが少し軽くなったことを覚えています。
そして、悲しみという言葉が印象的にタイトルに使われた小説を思い出して読んでみました。
それが、サガンの「悲しみよ、こんにちは」です。
それより少し前、私はボリス・ヴィアンの「日々の泡」を読み始めてみたものの、どうも翻訳が私に合わなかったのか全然読み進められなくて断念していたので、フランス文学に対してはちょっと苦手意識がありました。
でもまぁ、とりあえず読んでみるか、と思って「悲しみよ、こんにちは」を読みました。
正直、内容はあんまり覚えていません。
でも、夏の終わりにどことなくうらさみしくも美しい海岸の風景が印象的に私の中に浮かんでいて、それがいまだに残っています。
でも、サガンって新刊では「悲しみよ、こんにちは」以外ほぼ入手不可能。
というか、見たことがないです。
ついでにkindleでもないし……
でもなんだか、サガンの言葉に触れたい気分になり、できれば手軽にkindleで……ということで、彼女の言葉を集めた本書を読むに至りました。
本書についてはとにかく、本の構成がいい。
多少前後するものの、全体として彼女のキャリアや年齢とともに推移して様々な言葉を紹介しているだけでなく、様々なトピックというかテーマでカテゴライズしてそれがキャリア・年齢の推移とともに深いところへ迫っていくような構成で、それが素晴らしい。
そのトピック・テーマが日本語と英語で書かれているのも、うまいなぁと思います。
例えば最初は
これが、本書の終盤は
この、トピックのまとめ方は最後まで読むと更にうまいなぁ、と感嘆が漏れます。
正直、日本語とフランス語で色々と表現やニュアンスに違いがあるのだとは思うのですが、トピックにキーワードとして英語が入っているのがいいな、と思いました。
フランス語で書かれた・発言されたサガンの言葉を日本語で紹介するにあたり、さらに英語を用いることで言葉の意味合いが曖昧に重なっていることを感じられる。
偶々なのかもしれませんが、私はとても素晴らしいと思いました。
サガンのキャリアや人生についても分かりやすく説明があるので、サガンについて知らなくても問題ありません。
とても読みやすいので肩の力を抜いてサガンの言葉を味わうのにとても良い一冊です。
そして私はこれから少しずつ、古書でサガンの著書を読んでいきたいなぁ、と考えています。
では、また。
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