皮肉の作り方

 皮肉屋と名乗るくらいなので、「自分がどうやって皮肉を作っていくのか」をまとめていきたいと思う。
 皮肉の作り方なんて知りたがるのは、どこぞかの世捨て人か、はたまた物好きくらいしかいないだろう。

「そういうノウハウを公開したら、仕事がなくなるんじゃないですか?」
 といった類の心配をされそうだ。俺にしてみればこういうノウハウを実践しようとする人の方が心配だ。
 これを読む人が皮肉ばかり言って、周囲から嫌われないことを祈っている。

コツ1.斜に構える

 皮肉のコツ、その1。
 斜に構える。
 個人的にこれが一番重要だと思っている。
 よく、ノウハウとか言うと、ちょっと難しいことに価値を感じる方が多い気がする。
 別にそれが悪いとは言わないが、まずはざっくりしたところから入るべきだと個人的に思う。
 スポーツだって、ボールを待つ構えとか、そういった基本的なことから身に着けるだろう? それと同じようなことだ。

「具体的に斜に構えるってどういうことですか?」
 と聞かれることがあるかもしれない。俺も良く分からなくなる時があるし、よく分かっているつもりもない(え?)のだが、個人的には遊び心を持って色んな事に向き合うことだと考えている。
 その他の言葉で言い換えると、ふざける、からかう、適当、気楽に構える、楽しむ、みたいな。
 あまり良いイメージの無い言葉もあるかもしれないが、自分にしっくりくる言葉で構えてもらって構わない。ここで言葉の意味やら、難しさやらを語ると、それはもうきりがない。舞台が哲学の議論に変わってしまう。

 斜に構えるとどういう感じになるかと言うと、先生から
「お前はいつも、斜に構え過ぎだ」
 とか怒られたときに、
「いや、まっすぐ立ってますけど……」
 みたいな返しができるようになる。
 ……今、「そういうところだ」と、笑いをこらえながら𠮟りつけてくる教師の姿が心に浮かんだだろうか?
 でもって、それを快感に思うのなら、あなたには皮肉のセンスがある。多分。
 ちなみに、俺クラスになると、さらにそこから
「まったく、可愛げのない奴だ」
 と言われ、
「別に先生に可愛がられたいわけじゃないんで」
 と返す未来まで見えているし、それを叱りながらも、可愛がりたくて仕方がないといった様子の担任教師の姿まで脳内に浮かべることができる。
 想像力豊か過ぎて小説家になれそう。


コツその2.皮肉を言おうとしない

 皮肉のコツ、その2。
 皮肉を言おうとしない。
 あなたは今、「は?」と思ったと思う。俺も思う。
 しかしながらこれは、理解してもらいたい。
 大概、「狙い過ぎた皮肉」というのはウケない。
 特に考えたわけでもない皮肉というのが、存外、ウケが良かったりする(これがすでに皮肉だったりする)。
 これは皮肉に限った話ではないのかもしれない。
 何事も、不自然な感じが出てしまうと、相手からの反応が悪いことが多い。
 お笑いにしろ、演技にしろ、スピーチにしろ。
 不自然さを感じる振る舞いには、不自然な反応が返ってくる。
 体感的ではあるのだが、そういうことが結構多い。
 まあ、優しさから取り繕った笑顔をくれたり、無理に笑ってくれる人もいる。
 だが、相手を苦しませてまで笑って欲しいと思うだろうか?
 作り笑いを沢山してきた自分からすれば、あれは結構、辛い。
 だから、相手に楽になってもらうためにも、まずは自分が楽に構えよう。
 笑ってもらえるのは嬉しいけど、まずは素直に反応してもらえた方が嬉しいしな。


コツその3.練習

 皮肉のコツ、その3。
 練習をする。
 2で自然体であれと伝えた。
 しかし、練習で感覚を身に着けるのも大事だ。

 誰しも初めは初心者で、
 自然体に落とし込むまで練習するというのもまた、皮肉屋になるために有効な努力だ。
 その場合は、遊び心のある人を見つけて、その人と積極的に話してみると良いだろう。
 もしくは日記に、その日に起こったことに対して、斜に構えた感想を記していく、といったトレーニングが良い。
 まずは安全地帯を見つけて、遊び心を発揮できる場所で感覚をつかむのだ。
 遊び心のある人との会話や、日記でのトレーニングが練習だとしたら、それ以外の場所でのコミュニケーションや、発信活動が試合の舞台となる。
 練習を積んで、クオリティの高い皮肉を発揮しよう。


まとめ

 今回お伝えした皮肉のコツをまとめておく。

コツ1.斜に構える
コツ2.皮肉を言おうとしない
コツ3.練習 

 正直、このノウハウにどれほどの価値があるかは分からない。
 俺以外の誰にとっても価値が無いのではないかとすら思う。
 だが、俺自身、これを見返すことによって、迷いなく活動を行っていけると思っている。
 ただただ自分らしくを追求し、結果的に誰かを楽しませるような、「善意無き善行」とも呼べる境地に達せるよう、活動していきたい。

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