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[解説] 現役のロープ屋が組紐とロープの違いを説明してみた!

この業界にいますと、〜組紐の注文や、〜ロープの注文がよくあります。普通にこなしていますが、あれ?これってどのように区分してるんだろうとふと、感じます。ロープは、綱の略と前回書きましたが、組紐はロープと違うのか?と疑問があると思います。この微妙なニュアンスがどのように区分されていのか、製造をする立場から書いていきます。


[組紐]伝来した文化的組紐と産業に特化した産業的組紐がある

前提
日本の組紐は歴史を見れば、飛鳥時代に遡る。仏教の伝来により大陸の文化が日本に持ってきたとされ、法隆寺には幡縁飾組紐(ばんのへりかざりくみひも)や金銅装組垂飾(こんどうそうからくみすいしょく)、玉帯などが残されている。これらを伝統的と今回は区分をする。
次に産業的と記載してあるが、この意図として産業革命から機械化しそれまでより早く大量に作れるものと便宜上定義をする。現在の私たちロープ屋が使っている自動組紐機はこの時代に考案、開発されたものになる。
このように伝統的、産業的と分ける理由として、時代の変化、繊維の進化や使用用途に、日本では文化的組紐と産業用組紐で違いが見られることであり、その思想や用途が違うため、一括りに包括できない為である。産業的組紐に美意識という概念が反映されにくく、分ける必要があった。


現状の認識だと矛盾が生じる

ロープ屋としての認識からすると、組紐とロープの違いと種類を書き出してみました。

・ロープは、三ッ打ちロープ(3打)やクロスロープ(8打)、12打ロープなどが該当し、撚糸(ヤーン)を使うことが基本である。また空洞が無い分構成する撚糸の太さが組紐よりも大きくなるのが特徴的である。

・組紐では、金剛打ち、8ッ打、12打、16打、24打、32打、48打…とあり、基本的に撚糸(ヤーン)を使わない(素ヤーン)で使うのが基本である。

組紐機とロープ機で分けれそうなのですが、区分しようとすると、組紐とロープで打ち方が重複する…
では撚糸(ヤーン)を使うか使わないかで言えば、昨今は撚糸を使って組紐機を使い製造することが多いのです…
組紐機とロープ機を所有している身からしたら、この問題に頭を悩ますものでして、”組紐でないものでないもの”と”ロープでないものでないもの”輪に重なってしまうのです。
ちょっとここで整理します。

結論〜断面図に空洞があるのかを見よっ!


そこで、組紐機はロープ機に属すると考えた場合、すっきりします。

組紐かロープの分類に、優先順位があるとするならば、ロープ・組紐の断面図を見た時に、”空洞があるか、ほとんどないか”という判断を最優先とします。

ちなみに、見た目が組紐でも8打でも中心にさらに組んでいる(ダブルブレード)、若しくは組んでいないものを覆い被してあるもの(芯があるもの)があるが、これは芯を抜いた状態を優先するとします。

組紐の機械がロープの部類に入ってくることに、多少の慣れ無さで違和感が覚えつつも、このようにロープと組紐を分ける際の優先を作ると、すっきりと区分することができました。

これがロープ屋からみた、ロープと組紐の違いになります!
現状の認識からこのように区分をしましたが、実際はもっと曖昧であり市場に出る際には、組紐なのか、ロープなのかということよりも’紐’としての機能を最重要なので、そこに様々な名称に変わっていきます。

ただ、このようにロープ屋からみた違いを、発信することはおもしろいと思い書いてみました!
いかがだったでしょうか。考えたことがないことを考えるのは非常に楽しかったのではないでしょうか!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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