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【ルーツ】五十猛神さま、とは①

わたしの母方祖母の実家が、
ある神代文字研究家によれば、
「五十猛神の直系では?」という言葉に、
始まったルーツの旅。

はてさて、「五十猛神」とは、
どんな神様なのか。

『日本書紀』『先代旧事本紀』


奈良時代に成立した日本の歴史書。
養老4年(720年)に
完成したと伝わる。
日本に伝存する最古の正史で、
六国史の第一にあたる。
神代から持統天皇の時代までを扱い、
漢文・編年体で記述されている。

全30巻。

『先代旧事本紀』
(せんだいくじほんぎ、
さきのよのふることのふみ、
先代舊事本紀)は、
日本の史書であり、
神道における神典である。
『旧事紀』(くじき)、
『旧事本紀』(くじほんぎ)ともいう。
全10巻からなり、
天地開闢から推古天皇までの
歴史が記述されている。
著者は不明だが、
「天孫本紀」に
尾張氏と物部氏の系譜を詳しく記述し、
物部氏に関わる事柄を
多く載せるところから、
著者は物部氏の人物である
という説もある。

序文に書かれた本書成立に関する
記述に疑いが持たれることから、
江戸時代に
今井有順、徳川光圀、多田義俊、
伊勢貞丈、本居宣長らに
偽書の疑いがかけられていたが、
近年の研究により
後世付け足された序文以外の価値は
再評価されている。

「偽書」とは

著者や執筆時期などの来歴を
偽った書物を指す。


図書館情報学では、

偽書や仮託書の定義は

「すでに滅んで伝存しない古書を,
原本のように内容を偽って作成した本」
「あるいは元々存在していない作品を,
原本のように内容を偽って作成した本 」
であり、
先代旧事本紀は元々あった記録へ
後世序文が付け加えられたと
みられることから、
図書館情報学における
「刊記や奥書などを偽造したり,
蔵書印記を偽造して捺印したりして,
古書としての価値を
高めようとしたものは,
偽造書,偽本,贋本(がんぽん)」に
該当すると思われるが、
ただしこれは
『先代旧事本紀』の神話的・史料的の
価値を全て否定するものではない。

と、あります。

さて、
五十猛神さま、五十猛命さまは、
林業の神様として崇められていますが、
どんな神様なのか。


『日本書紀』の一書(別伝)にみえる
素戔嗚尊(スサノオノミコト)の御子神。
紀伊国に鎮座したとする。
『日本書紀』の本文や『古事記』には
登場しない。
スサノオには
八岐大蛇を退治するという英雄的な神
というのとは別に,
樹木の創造神という側面があり,
こちらのほうがより
原形に近いと思われる。
五十猛神は
その樹木神としての伝承に登場する。
高天原から追われたスサノオに従って
新羅国へ渡ったりしていて,
スサノオとの関係の深さを思わせる。
事績としては日本列島に
あまねく樹木の種を広めた神で
あることが,称えられている。
現在植林の神として
和歌山市の伊太祁曾神社に祭られている。

<参考文献>神田典城
「スサノヲ神話の本姿」
(大野晋先生古稀記念論文集刊行会編
『日本研究―言語と伝承』)  

コトバンク 
「朝日日本歴史人物事典について」
より抜粋

…例えば,八尋殿(やひろどの),
大八洲(おおやしま),八衢(やちまた),
八咫烏(やたがらす),
八岐大蛇(やまたのおろち),
八百万神(やおよろずのかみ)など
数が多いことを表すほかに
神聖な数とみられていたらしい。
8だけでなく,
3や5も三世界(高天原,黄泉(よみ)国,
現(うつし)国)や三種の神器,
イザナミ・イザナキの三貴子,
宗像(むなかた)の三女神,
五魂(海,川,山,木,草),
五十猛(いそたける)神,
五部(いつとも)神などの例があり,
吉数とみられていた。
しかし,
《日本書紀》あたりからしだいに
大陸文化を尊ぶ風が盛んになって,
七夕(7月7日)や重陽(9月9日)の
節供のように
8に代わって7や9が聖数として
重視されるようになり,
今日では七五三,三三九度,お九日を
はじめとして
民俗のうえでは欠くことのできない
重要な数となっている。

コトバンク 
「 世界大百科事典 第2版について 」
より抜粋


紀伊は古来より
林業の盛んな地であったので、
それらの人々が信仰していた神と考えられ、
また、土の船を作り海を渡ったことから、
造船、航海安全、大漁の神として信仰され、
商売繁盛、開運招福、悪疫退散、
厄除け等の神徳もあります。

紀伊国(かつては「木の国」と言った)に
祀られているとの記述と、
『先代旧事本紀』分注に
「亦云 大屋彦神」とあります。


●「日本書紀」第八段第四の一書において

https://kodainippon.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%9B%B8%E7%B4%80%E3%83%BB%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E8%A8%B3%EF%BC%88%E5%AE%8C%E5%85%A8%E8%A8%B3%EF%BC%89/

一書曰 素戔嗚尊所行無状 故諸神

科以千座置戸 而遂逐之

是時 素戔嗚尊 帥其子五十猛神

降到於新羅國 居曾尸茂梨之處 

乃興言曰

此地吾不欲居 遂以埴土作舟 乘之東渡

到出雲國簸川上所在

鳥上之峯 時彼處有呑人大蛇 素戔嗚尊

乃以天蠅斫之劔 斬彼大蛇 時斬蛇尾而刃缺

即擘而視之 尾中有一神劔 素戔嗚尊曰 

此不可以吾私用也

乃遺五世孫天之葺根神 上奉於天

此今所謂草薙劔矣

五十猛神 天降之時

多將樹種而下 然不殖韓地、

盡以持歸 遂始自筑紫 凡大八洲國之内、

莫不播殖而成青山焉 

所以 稱五十猛命 爲有功之神 

即紀伊國所坐大神是也


と、あり、

天を追放された素戔嗚尊とともに、
新羅曽尸茂梨(そしもり)に天降り、
スサノオがこの地吾居ること欲さず
(「乃興言曰 此地吾不欲居」)と
言ったので、一緒に埴土船で渡って、
出雲斐伊川上の鳥上峯に至ったとあります。

五十猛神が天降る際に
多くの樹木の種を持っていたが、
新羅には植えずに全てを持ってきて、
九州からはじめて大八洲国に植えたので、
青山に被われる国となったというその後、
紀伊国に住んだということです。


●「日本書紀」 同段の第五の一書

一書曰 素戔嗚尊曰

韓郷之嶋 是有金銀 若使吾兒所御之國 

不有浮寶者 未是佳也 

乃拔鬚髯散之 即成杉

又拔散胸毛 是成檜 

尻毛是成柀 眉毛是成櫲樟 

已而定其當用 乃稱之曰 

杉及櫲樟 此兩樹者 可以爲浮寶 

檜可以爲瑞宮之材

柀可以爲顯見蒼生奥津棄戸將臥之具 

夫須噉八十木種 

皆能播生 

于時 素戔嗚尊之子 

號曰五十猛命

妹大屋津姫命 次枛津姫命 凡此三神 

亦能分布木種 即奉渡於紀伊國也 

然後 素戔嗚尊 居熊成峯 

而遂入於根國者矣棄戸 

此云須多杯 柀 此云磨紀


と、あり、

「韓郷(からくに)の島には金銀がある。
もし我が子の治める国に、
舟が無かったら良くないだろう」と言って、

鬚髯ひげを抜いて放つと、
杉の木になった。
また胸の毛を抜いて放つと、
これが檜になった。
尻の毛は槙の木になった。
眉毛は樟になった。

そしてその用いるべきものを定めて、
「杉と樟はの二つの木は、
舟にするのがよい。
檜は瑞宮みつのみやの木材にするのがよい。
槙は現世の人民の棺にするのがよい。

そのための沢山の木の種を皆撒こう」

と言った。 


ということです。


「先代旧事本紀」巻第四 地祇本紀の記述


素戔烏尊率其子 五十猛神

曾尸茂梨之處 纂疏新羅之地名也 

按倭名鈔高麗樂曲有蘇志摩利

 疑其地風俗之歌曲乎

乃興言曰 此地吾不欲居 

遂以埴土作船 乘之東渡 

到于出雲國簸之河上與安藝國可愛之河

上所在鳥上峰矣(ヤマタノオロチ退治省略)

素戔烏尊居熊成峰而遂入於根國矣

 兒 五十猛神 天降之時 

多將八十樹種須噉子樹種而不殖韓地 

盡以持歸 遂始自筑紫 於大八洲之内
 
莫不殖播而成青山矣



 所謂五十猛命 為有功之神

 則紀伊國所坐大神是也 

一説曰 素戔烏尊之子 號曰 五十猛命

 妹 大屋姫命 次 抓津姫命 凡三神 

亦能分布八十木種

 則奉渡於紀伊國 及此國所祭之神是也

素戔烏尊 此尊與天照太神共誓約(中略)

亦云 大屋彦神

次 大屋姫神 次 抓津姫神 已上三柱
 
並坐 紀伊國 則紀伊國造齋祠神也

と、あり、

素戔嗚尊が

鬚髯から杉、胸毛から檜、

尻毛から槇と榧、眉毛から楠など

体毛を抜いて作った各種の樹木を、

二柱の妹神

大屋津姫命と枛津姫命とともに

全国に植えたとある

 

今は

紀伊に祀られているとしている

紀伊国造が斎き祀る神である

 




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