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天才になれる音源(天上のメロディー)があったら?

推理の星くんっていう漫画を知っていますかっていう話。

「ビカンときたぜーーーーーー!!」
このセリフに心当たりのある読者はいますでしょうか? いやー、古いですねー笑 このセリフは推理の星くんという漫画の主人公の決め台詞で、ミステリー(正しく謎解き)ジャンルにおけるこの漫画で、主人公が問題の糸口を発見すると言うセリフになります。

ちなみにですが、この漫画なんと小学生向け月刊誌コロコロに2005-2008年まで連載された漫画で、読んだ当時(私は子供ころに友人宅でコミックで読みました)は結構驚いた記憶があります。コロコロとは思えないくらい内容が詰まってて、今の私が読んだらどうかなって思いますが、結構面白かった気がします。

さて、主題に戻りましょう。物語の作中ではクラウディアという少女が現れます。彼女は俗言う天才であり、物語は途中からその彼女を追いかけるストーリーになっています。しかし、彼女は普通の天才とは違います。それで出てくるのが「天上のメロディー」です。このメロディーを聴くと人は天才になれるという設定でした。
実際にはこのメロディーは天才を作る目的ではなく、クラウディアが持病のために尽きそうであり、延命するために作られたメロディーであるというのが作中で語られますが、彼女はその事実を知らずにこれを使って世界を変えようとする物語だったりします。

この「天上のメロディー」があったらどう思いますか? 簡便かつ早急に天才になれる音源、それがあったらあなたは聴くのでしょうか? ちなみに作中では自らの天才性についてこれない周囲と葛藤するクラウディアが描かれていた気がします。

多くの人は聞くと思います。私はリピートします笑 ただ簡便に天才になれる世界。それが世の中の標準になったら、どうなるのでしょうか? 凡人たる私には想像がつきません。

天才になるに限った話ではないですが、能力を伸ばすと一般的には物事は好転しがちです。例えば、天才になったらどういう良いことが起きるのか? まずは言語の壁がなくなるでしょうね。言語の差異による誤解や解釈の異なりがなくなる。他には学力の差が生まれなくなって大学が機能しなくなる、正しくは学歴が必要なくなる。大事なのはつながりであって能力(学歴一種の能力を示すパラメータとして考えています)はみんな同じなのだから関係ない。

人は問題が起こった時に不足の原因を考える。だからこそ、能力が足りなくて出来なかったことは無限に思いつく。天才だったらこう出来たのに、といくらでも想起できる。でも、足りてるからの悩みはよくわかんない。例えば、美人がモテ過ぎて困ってるって言ってたら「ほならね」ってなりますし、イケメンが女は履いて捨てるほどいるって言ってたら「ほらなね」ってなりますから。このネタ伝わるのかな笑

でも、実はここで「天上のメロディー」の問題点が見えてきた気がします。みんなこのメロディーを聞き、みんなが天才になる。みんなの能力が同じになる。いわば、個性が消える。正しくは性格的な個性があっても、能力的な差が完全になくなる。アイデンティティの消失。いわゆる高学歴であったり天才と言われたりする人物はそれ自体をアイデンティティとしていることが多いです。それは別に悪いことでも良いことでもない。ただその差がなくなるのは一種の自己補完が利かなくなる重大事なのではないでしょうか?

ここで哲学的な仮説を提唱したいと思います。「天上のメロディー」というものがあるとして、俗言う「天才」とは一体どういうものなのでしょうか?

皆さんが描く天才ってなんなのしょうか? 実は天才とは言った当初、「現在の私にできないこういうことが出来る人」という結構身近なものをイメージしているのではないでしょうか? または「あの歴史的な学者である○○」と答える人もいるんじゃないでしょうか? でもそれは行為や人をイメージした具体的なモノであり、天才というものを形容していない。

じゃあ、天才ってなんなのでしょうか? 概念なのか、それとも人物なのか、何を表している言葉なのか?

ここで、天才というものが概念であると言ってしまうとまあそこで仮説は終わってしまうので、「人物」と定義します。となるとちょっと面白い仮説を作り出せます。

我々人間はみんな「とある人物」を天才として定義している。そして、誰かを天才だと思うということは、実際にはその「とある人物」に自分より近い存在であるからだと思っている。そう思うとちょっと合点がいきませんか?

漠然としているのではなく、実ははっきりした天才を頭に浮かべていて、それに近いか遠いかで天才という言葉を使うかを判断する。もしも「天上のメロディー」というものがあって、それを聴いたら天才になれる、いわばその「とある人物」の知能を有するとしたら?

ここまで仮説を展開したうえで、問いましょう。あなたは「天上のメロディー」があるとして、それを聴きたいですか?

……まあ私は聞きたいんですけどね笑

はい、今日の希哲学者でした。また不定期になんか意味の分からんことを書きます。

写真:国立科学博物館近く、クジラの像

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