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Photo by
mamezouya
『別れ』
書類、パンフレットや請求書、数回使用された道具。
実家のダイニングテーブルには、背丈だけを日々伸ばす不動の山が存在する。いつからあるのか疑問に思わなかった。家の建築後10数年間、一定の高さを維持しながら両親と共生している。年末にのみ背丈が縮む。
家主が山の管理人である。彼は常人離れをした管理能力を持ち、山を形作木々や動植物の種類すべてを把握している。だが残念なことに、彼は全知全能ではない。下宿をする息子は電気の停止に慌てない。冷めた顔つきで電話を入れる。怒りはすでに失われていた。
人が「喪失」に感じる恐怖は計り知れない。ヒトが生物であり、生き残りへのプログラムをされていることの表れだ。だからこそ死や愛を主題にした作品はどの時代も人気である。
ダイニングの山が失われた際、両親は何を感じるだろうか。
「必要最低限」に目覚めた息子が来月より実家暮らしを始める。
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