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やっぱり本が好き。

3年前に、Facebookに投稿していた文章の転載です。
本も好きなんだけど、
僕は何より接客が好きなんだなぁ、と思いました。



本棚に限りがあるのはわかるけど、
一ヶ所くらい「遊べる棚」がほしいよねぇ。

僕の働いているお店は、
俗に言う大型書店なのだけど、
大型書店って、
平均的に全てのジャンルをまんべんなく置いている
っていうのが基本ルールだと思ってるんです。
けれど、
それだったらどこでも同じになっちゃう。

その中で何で違うを出すのかって言ったら、
やっぱり特別なイベントを定期的に行うとか、
さっき言った「遊べる棚」を作ることだと思うんです。

「遊べる棚」っていうのは、
例えばジャンルにとらわれずに、
担当をローテーションで決めて、
その人の本当にオススメしたい本だけを並べるとか、
課題を1つ決めて、
それに合わせた本だけをセレクトして置いてみるとかです。

そこにその担当が「なんでこの本を選んだか」っていう
POPや説明が書いたミニ冊子とかを配れたらなおいいですねぇ。

なぜこの思いに至ったかというと、
今日仕入担当の人が
「ちゃんとジャンルを分けられない本はニガテ」
だと言っているというのを耳にしたからです。

僕個人としては、
何のジャンルにもとらわれない、
言い換えればどのジャンルの棚にも置くことができる
っていう本の方が魅力的だし素敵だなぁと思うのです。

けれど大きい書店になればなるほど、
売場と仕入が明確に役割分担されていって、
売場は売場の言い分、
仕入は仕入の言い分というかやりやすさ、
というのが生まれやすくなっていくんですね。

そこのやりやすさというか負担の軽減などは、
お互い歩み寄っていくしかないと思うんですが、
リアル書店がネット界隈に勝っていこう、
追いついていこうと思ったら、
やっぱり僕は、「人が見える」ことを
見せていかないといけないなぁと思うんです。

スーパーや八百屋さんで売っている野菜に、
「この人が作りました」っていう案内が付いているの、
最近増えていますよね?
そしてそのほうが安心感があるし買いたいなってなる。
それはやっぱり「人が見えている」からだと思うんですね。

ほしい本が「これだ」って決まっているのなら、
ネット書店でもいいわけです。
それでもリアル書店に来てくれるお客さまは
なんで来てくれるかって言ったら、
通勤通学の途中という立地の良さもあると思いますが、
「あ、こんな本もあったんだ」
っていう「偶然の出会い」を求めている人もいる。

ならばそれにリアル書店は応えなければ。

POPで想いを伝えたり、
他の本屋さんではやってない、
お祭りのような本棚を提案しなければ。

小さな小さな積み重ねで、お客さまは
「あ、ここの本屋おもしろいな」
って思ってくれるはずなのです。

けれど、
大きな本屋になればなるほど、
「ビジネス」という名の足かせがかかっていくとは思います。
そうしたら、最終的に何を変えていけばいいのかって考えると
僕は「接客」だと思います。

本棚の「遊び」に関してもそうですが、
大きい書店になるほど疎かになりがちなのが「接客」だと思います。
なぜなら、とっても忙しくて定時で終われないから(笑)
けれど、
それを理由に接客をないがしろにしていると、
結果的にお客さまを離れさせていく要因になってしまうと思うのです。

「人が見える」のがリアル書店のいいところと言いましたが、
それはちょっとしたキッカケでマイナスに、
ネガティブに捉えられてしまう危ないものだとも思います。

書店員のお客さまに対する応対の仕方で、
お客さまの感じる書店へのイメージはだいぶ変わってきます。

書店には、それはもう色んなお客さまが来店されます。
ただ道を聞きに来る人、
待ち合わせの時間つぶし、
近道だから通り抜けるだけetc...
声をかけられる時、
その大半は「業務と全然関係ないこと」だったりします。

けれど、
そこで露骨にイヤな顔したり、
声に出してしまったりすると、
お客さまにはその書店に対するマイナスイメージしか残らないわけです。

心の底では「納得いかねぇ!」と思うかもしれませんが、
事実そうなので仕方がありません
おそらくほぼ全ての本屋さんがそう思っていると思います。

だから、
Twitterでトンデモナイお客さまの話とかをすると、
「あるある」としてたくさんの人と共有できるのでおもしろい部分もあるのですが・・・(笑)

僕はこういうことを、
ただイラつきや憎しみだけの記憶にせずに、
楽しいことに変えていこうと常に考えています。

簡単に言うと、
「ゲームみたいにしよう」とします。

「あ、お問い合わせだ」→タイトル聞く→「聞いたことねぇ&ヒットしねぇ・・・」→「あれ、もしかしてコレか?(お客さまに確認)」→客「あー!それそれ!」→在庫あった!「それではこちらまでお持ちしますね!」→「ホントに!?ありがとう!」→

GAME CLEAR(笑)

要するに、
色んなことをプラスに考えてみるってことなんですが。
そのほうが理不尽なこととかも案外おもしろくこなせたりすることがあります(笑)
そういう気持ちで接客に臨んでいると、
少なくともお客さまは不快な思いはしないはずです。
こちらは「楽しんで仕事している」のですから。

そうすると、
「この書店の店員はいつも明るくて、
色んなことにも丁寧に対応してくれる。
近くに他の本屋さんもあるけど、
いつも忙しそうで話しかけにくい。
だったらこっちで買い物しようかなぁ」
と思ってくれるかもしれない。

ホントに「かもしれない」だから、
もしかしたら何も思ってくれないかもしれない。
それが普通だと思われてるかもしれない。
けれど、
一度不手際があったら、
それがそのままその店の印象になってしまう
ということを忘れてはいけない。
今の世の中、残念ながらマイナスイメージの方が早く拡がるのです。

長々とお話してしまいましたが、
いちばん何を言いたいかというと、
リアル書店は、
「人が人に本を売るところ」
なんだということです。
それが長所であり、
これからいくらでも強化していける部分なのです。

紀伊國屋書店の高井社長は以前、
「書店を知のテーマパークにしていきたい」と語られました。

この発言自体は、「本を売る」ことだけではなくて、
という意味も含まれているのですが、
「テーマパーク」というからには、
やっぱり接客の部分が重要になっていくんじゃないのかなぁ。

「テーマパーク」って言ったら
やっぱりディズニーランドやUSJだし、
どちらも「接客」でお客さまを幸せにしている。

本の提案も接客の一部。
お客さまに本を買っていただくから
僕たちはお給料をもらえて、仕事も続けられる。

日々の業務の忙しさに、
つい自分たちのことばかりを考えてしまいがちですが、
書店で働く前は自分も「お客さま」だったはず。
その時の記憶、
書店で何が楽しかったか、
なにをされたらうれしくなかったかを、
常に考える心が、
これからはもっと大切になっていくと、僕は思います。

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本を売る仕事を再開しました。
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