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読書感想文「8割の人は自分の声が嫌い」山崎広子著・角川SSC文庫

自分の声が嫌いなんですよね。毎回毎回、何かの拍子で自分の声を録音したものを聞いて落ち込んでいるんです。そのため、こんな声がいい!って理想ばかり高くなってついに声オタです。

声がいい人はそれだけで本当のことを言っているような感じに見えるんだよな。字がきれいな人も本当に憧れます。字はユー〇ャンのボールペン字講座をやったんですが、やってもやってもあまり効果がなく、最後には「うまくなりません!せめて、自分の住所くらいきれいに書けるようにコツを教えてください!」なんて言ってみたんですが。まあ、何十年も汚い字を書いていたら直ることは難しいですよね。なんとか人が読める程度にはなったので、効果がないとは言いませんとも。

さて、声がいいとどんないいことがあるのか。「要は人に伝わる」と作者は言うんですね。たしかに、家族にぼそぼそ話す人が一人でもいるといらいらしますもんね。活舌よく話せ!って思うし。かといって、よい声が出せるわけではないのですけれど。

人に伝わる発声は地域によって違うと作者は言います。

ヨーロッパから東へ行くと街の雑踏が増える、とはよく言われることですが、同時に東にいけばいくほど声は薄く扁平になります。これは気候風土からくる住環境、そして文化的な音の価値観の差異によるものです。ヨーロッパには古くからの石造りの建物が多く、ひとたび発した声はよく反響します。ヨーロッパには古くから石造りの建物が多く、ひとたび発した声はよく反響します。反響しているところでワーワー騒ぐと何を言っているのかわからなくなるので、ひとつひとつの言葉や音を明確にしようとします。反響のある場所では声を張り上げる必要がないので、喉は緊張を緩めリラックスします。リラックスすると喉の力が抜けて奥が開く。その結果、声は深みを帯びてより響くようになる。そういう音声を自分の内外で聞いていると、身体は「喉まわりの力が抜けて響く発声」を選択するようになります。それがヨーロッパの声です。しかも体格的に胸が厚いので深い響きがプラスされます。中東にさしかかると。土に藁などを混ぜて固めた日干しレンガで造られた家が多くなります。中東の人々は体格ではヨーロッパの人に劣りません。でも発声は喉を締めて声道の手前の浅い場所に共鳴させています。砂漠が多く乾燥した風土、石ではなく土でできた家が培った発声です。(略)

もしも、ビン・ラディンの声が一オクターブ半ほど低い重低音であれば、欧米社会の彼に対する印象も変わっただろうし、もっと距離を縮めての話し合いができたのかもしれません。声は好感も嫌悪感も、聴く人の中で無意識に作り出されてしまうものですから。

↑本文より


声にとてつもなくコンプレックスがあります。でも、自分の体に文化に心に馴染んだ声をだせるようになったほうがいいな…とちょっとだけ思えました。努力してみようかな?

でもね、AIが代読してくれることをどこかで望んでいます。(増山さんボイス希望。不二子ちゃんのようないい女ボイスがいい。)

20141125発刊

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