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丹野杏香 作品集「採集I 野山にて」ブックデザインのはなし

丹野杏香さんのイラストレーション集「採集I 野山にて」。ブックデザインを中村が担当いたしました。6月15日から愛知・豊田市HUUKUで開催される、同名の展示にあわせ刊行されたもの。展示案内・会場ロゴタイプは古屋郁美さんの仕事。

A5版変形・52頁/本文墨1色/小口折り製本
印刷は精興社
和文書体は秀英明朝M
欧文書体はエリック・ギルによるPerpetua
版型はThe Nonesuch ‘Selected Poems of Alice Meynell’ (1930)を参考にミリメートル換算で設計

4月のこと。古屋さん、それからゼミの学生とともに精興社朝霞工場をたずねる。この日は工場見学。ながらくご担当いただいている小山成一さんと「つぎは仕事でうかがえるといいですよね……」そうおはなしして数日。このプロジェクトは本格的に動きだすことになりました。

イラストレータの丹野杏香さん。そしてブックデザイナーの古屋郁美さん。ご活躍されているふたり。いまさら無粋なことをいわせていただけば、ともに前職で担当した学生でもあります。ありがたいことに卒業後、いまにいたるまで折に触れ、お会いする機会に恵まれています。こうして、じっさいに協働できる機会が巡ってくることは、とてもうれしい。

前職では精興社と東京洋紙協働組合のご協力のもと毎年、印刷演習授業を実施していました。その最初は2014年のこと。ことなる仕様の印刷用紙数種で、オフセット平版印刷4色刷りを比較する、なかなか贅沢な内容のものでした。

その初回を経験したのが丹野さん、古屋さんの代でした。4色刷。つまりカラー印刷であるのにもかかわらず唯一、黒一色の版下を作成してきたのが丹野さんだった。

精興社では、これまで数おおくの絵本も手がけられていることもあって、今回、ファーストコールでお願いすることになりました。丹野さんの絵柄にあわせ旧式の油性印刷機を使用。広辞苑のジャケットを刷った機械で印刷をしています。原画をふまえた、どっしりとした黒で仕上がっています。

5月最終日。精興社神田事業所。「採集I 野山にて」完成品を小山さんから受け取り、大学へもどり書影撮影。その後、4年生のゼミ。今年もそれぞれいい感じに進行しています。この循環に身を委ねてゆくのは、いつもたのしい。


「採集I 野山にて」
6月15日 土曜日——30日 日曜日
於: HUUKU(愛知県豊田市竹生町4丁目55番地)


15 June 2024
中村将大

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