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新作【雨*花*火】完成しました。


空は晴れていて、けれども太陽が地平線の向こうへと去ろうとしている。

いくつか浮かぶ雲のひとつが、

突然、泣きはじめた。

落ちる涙は、

夕暮れの晴れ間に降りそそぐ雨となる。


「どうしたの」


あまつぶたちが、聞いた。


「わからない。なんだか、胸がざわざわして止まらないんだ」


次からつぎへと涙があふれる。


「そっか。そんなときもあるよね」


雲をはげますように、

あまつぶたちは踊りはじめた。

はげしくぶつかっては、滴を飛ばして。

弾けあうその姿は、花火のように花ひらく。

楽しそうな様子を見て、沈みかけの太陽が光を贈った。


【雨花火】

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夕暮れの橙に染まる、打ち落ちる雨の花火。

音もなく静かに開く花火は、ひとの放つそれとはまた違う美しさを描く。キラキラと輝き舞い散る一瞬のときめきに、泣いていた雲も笑って。

よかった、と太陽が夜の帳をおろした。


***


こんにちは。RooKです。

昨日、コンテスト応募用に制作していた水彩画が完成しました。

タイトルは【雨*花*火】

コンテストは星乃珈琲さん主催で、テーマは『旅する絵画』。入選した絵画は、全国の星乃珈琲店さんを巡って店内に飾られるということで、そのコンセプトにときめいた瞬間、この絵のイメージが浮かびました。


夕暮れの空、お天気雨がつくる花火。


イメージは、ただ一瞬の画像。それを切り抜いて、なんとか水彩で表現してみました。海? ううん、川だ、夕暮れ、雨、花火、それを見ている女性・・・などが浮かんできて、それらの記号をパズルのように組み合わせて絵を構成していきました。

まだ水彩画を習いはじめたばかりで、頭に浮かんだイメージをどうやって描けばいんだろうと制作に必死だったので最初は気づかなかったのですが・・・きちんと物語があったんですね。

昨日、完成してようやく、そこにあったお話に気づいたので、文章にしてみました。


ああ、楽しいです。


締め切り直前の朝4時まで曼陀羅を描くとか、無茶苦茶なスケジュールで強引に制作しましたが・・・寝るのも、ご飯を食べるよりも、絵を描きたい! という気持ちに夢中になって、とても疲れたけど、それ以上に心が満たされてうれしくて、生きててよかった。と実感するくらい充実してます。

絵を描く時間をつくりたくて、仕事を減らしたために収入が半分になって生活はギリギリですが(笑)

でも、週5日働いて、あとは疲れ果てて休むのに時間を費やす毎日よりも、ずっとずっと、生きてる感じがします。ああ、楽しい。

適応障害で太陽が昇るまで眠れなかった夜と、夢中になって眠るのを忘れた夜では大きな違いがある。


もっと、もっと、絵が描きたいです。


完成した絵を見ると、いたらない点いっぱいで制作スケジュールも見直しが必要だし、自分の足らない技術や知識も浮き彫りになって課題だらけなのでやりたいことが山ほどあるのですが!

まだ、生活のためのお仕事をしないと生きていけないのが現状です。

絵を描く時間をもっと増やしたいので、今回、投げ銭的な有料記事を書いてみます。

雨花火。

その奇跡的な瞬間に立ち会った、女性の物語を短編小説にしてみました。

絵を見て「応援してもいいかな」と思われたら、物語を読んでくださると、大変うれしいです。



【雨*花*火】


夕暮れになっても日差しはまだ強くて。日傘を差しながら、いつもの川沿いを歩いていた。

『悪い、遅れる』

届いたメッセージを見て、ため息がもれる。


「また、か・・・」


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