「あみだくじで引いたから」という理由で群馬県片品村に行った話

旅行先を選ぶ理由は色々ある。行きたい観光地があるから、おいしい名物があるから、好きなアニメの聖地だから…。しかし、たまにはそういった自分の意志を無視して、他人の意志や運だけで旅先を決めるのもよいのではないだろうか。
自分はニコニコ生放送で過疎実況者をやっているので、視聴者に行き先候補を出してもらい、その中からあみだくじで行き先を決めることにした。都合により都内から日帰りしたかったので候補は関東圏(一都三県、北関東三県、静岡)の離島以外の自治体のみとした。募集の結果7人の視聴者が候補を出してくれて、以下の7つが揃った。
・東京都奥多摩町
・茨城県笠間市
・群馬県片品村
・静岡県富士宮市
・千葉県千葉市中央区
・群馬県川場村
・栃木県茂木町
千葉県千葉市は行った事があったが他は1度も行った事が無く、笠間市・片品村・茂木町に至っては聞いた事すらなかった。この中から厳正なるあみだくじによって選ばれたのが、群馬県片品村である。

左上の赤で囲まれているのが片品村。群馬県と福島県の県境あたりにある。

準備と出発

行き先が片品村に決まったのは夜の20時ごろなので、出発は翌朝とした。まずはどうやって訪れるかなのだが、どうやら片品村には駅が無いらしい。都内から行こうと思うと
・新幹線で高崎まで行ってからJR上越線で沼田駅まで行き、そこからバスで1時間
・新幹線で上毛高原駅まで行き、そこからバスで1時間30分
のどちらかのルートを辿る事になる。我が家からだと諸々合わせて片道3時間以上の道のりだ。正直、このルートが分かった時には大変失礼ながら「え…?関東にこんな行きづらい場所あるの…?」「これ日帰りできるのかな…?」と思ってしまったが、朝6時ごろに出発すれば余裕をもって日帰りできそうだ。また、行き方のついでに観光スポットも少し調べてみたのだが、村のイチオシであるハイキングがシーズンオフという事であまりこれといった観光はできないようだった。スキー場や温泉はあるようだが、あいにくどちらも自分の趣味ではない。しかし、そんなつまらないことを気にしていてはあみだくじの旅行はできない。引いたからには行くしかないのだ。とりあえず、道の駅はあるようだったのでそこへ向かう事にした。

翌日午前6時前に起床し、すぐに東京駅に向かう。正月休み中の1月4日という事もあり、東京駅は比較的混みあっていた。

混んでいる東京駅。今思えばよく前日にチケットが取れたものだ。
上毛高原駅の駅前。新幹線は混んでいたが、上毛高原駅で降りる人は少なかった。

上毛高原駅に降り立ち、すぐにバス乗り場を確認する。上毛高原駅から片品村までのバスは1日3本しか無いので、乗り過ごしたら大変なことになってしまうのだ。幸いバスはすぐに来たうえ、すいていた。(自分以外1組しか乗っていなかった)

到着、村歩き

バスに揺られて1時間半。ようやく片品村に辿り着いた。下の写真がバスを降りてすぐの、鎌田という所の景色である。山ばかりの田舎をイメージした人もいるかもしれないが、役場や道の駅に近い中心地という事もあってそこまで田舎という感じはしなかった。

鎌田のバス停近く。
片品村役場。新しそうな、綺麗な建物である。

さて、バス停を降りてまず困ったのが、「やることがない」という事である。バス停を降りた時点で午前11時ぐらいだったのだが、近くにある温泉は午後1時にならないと開かないし、道の駅にあるレストランも12時からだった。他にこれと言った観光施設は無く、近くを散歩でもするしかないのだが、何しろ片品村の標高は約800メートル。はっきり言って、1月だとものすごく寒い!そのうえ雪も降っている。しかし、せっかくの旅行でただ道の駅で座って時間をつぶすというのも味気ない。ちょうど片道30分ほどの距離に神社があるようだったので、そこまで歩いてみることにした。

村を歩くと、まず「やっていない店」が多い事が気になる。単に正月休みだからなのかも知れないが、何年もやっていなさそうな店もあった。ちなみに、Googleマップ上ではだいたい普通に営業している事になっていた。

やっていないパチンコ屋。
やっていないスーパー。これは流石に何年も前に閉店していると思う。
コンビニ。ここはちゃんとやっている。

さて、30分ほど歩くと神社に着いたのだが、神社もやっていなかった。店ではないので「やっていない」と言うのは変かもしれないが、人もおらず賽銭箱も無く、お参りする人がいるような感じでは無かった。とりあえず、心の中で旅の無事を祈っておいた。

武尊宮という神社。
管理する人はいるのだろうか?

神社はやや空振りだったが、村には水力発電所など、都内では見ない施設がいくつもあった。こういうのも旅情である。

東電の水力発電所。
発電所のそばにある橋。でかい。
橋からの景色。大自然を感じる。

ちなみに、村を歩いている人はほとんどいなかったのだが、途中1人だけすれ違った人には「こんにちは」と挨拶をいただいた。やはり地方はそういうものなのだろうか。それか、単にこんなところを1人で歩いている私を不審者だと思ったのかもしれない。

少しは旅行らしいこともする

そうこうしているうちに12時になったので、道の駅でランチをする。メニューは名物のまいたけを乗せたまいたけカレーとまいたけご飯。朝ご飯を抜いていたこともあり、2品もいただいてしまった。

奥がカレーで手前がまいたけご飯。サラダとまいたけラー油も付けて、全部で1500円もしない。お安い。
道の駅のレストラン。外ではほとんど人を見かけなかったのだが、道の駅の中にはドライブ中らしき観光客や地元民っぽい人々がそれなりにいた。
道の駅の外観。

おなかも膨れたので、今度は温泉に入ることにする。自分は温泉が趣味でないと書いたが、わざわざそれを目当てに旅行をすることが無いというだけで嫌いなわけではない。道の駅から近いという事もあり、行ってみる事にした。

温泉施設。雪が映り込んでいる。晴れているのに何故雪が降るのだろう?
温泉に行く途中で立ち寄った神社。こっちはちゃんと手入れされていた。

温泉を出たところでバスの時間が近づいてきたので、観光を終わりにして帰る事にした。滞在時間は約3時間ほどだった。往復7時間かかる所まで来て滞在が3時間というのは勿体無く感じる人もいるだろうが、やはりシーズンオフで観光するところが少ないので仕方ない。それにバスの本数も少ないので、あまり長居すると東京へ帰れなくなってしまう。これぐらいがちょうどよいのだ。

まとめ

文面からはあまり伝わらなかったかもしれないが、たいへん楽しい、有意義な旅だった。何より良かったのは、群馬県片品村という存在を知り、体験できたことだ。前述のとおり自分はスキーや温泉が趣味ではない。また群馬県は自分の家から遠く、片品村どころか高崎だって滅多に訪れる機会は無い。そんな自分の人生に片品村が交わる事は、今回のあみだくじで引かなければ一生無かっただろう。このように、無いはずの縁を作り、一生得るはずの無かった体験を得る事が、あみだくじの旅の良さだと思う。是非みなさんも、あみだくじの旅をしてみて頂きたい。

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