2023年の紅白歌合戦はジャニーズ性加害事件を受けて「どうする紅白」に。災い転じて福となす改革を出来るか否か。
早いもので今年も残すところ6週間。クリスマスケーキやおせちのCMが流れて年の瀬を感じる中、メディア関係者やエンタメ好きの間では紅白歌合戦に対する注目度が上がっている。だが、今年はジャニーズ性加害事件の影響もあって、選考や在り方について例年以上に関心を集めている。
※2023年11月12日時点で新会社の名称が決まってないため、文中ではジャニーズ事務所として表記しています。
ジャニーズ排除でどうする紅白?
ジャニーズ事務所は長年にわたってメディアに強い影響力を発揮し、紅白にも毎年多くの所属タレントを出演させてきた。2022年の紅白には6つのグループ(白組は全部で22)が選ばれた。
しかし、今年3月にイギリスのBBCが性加害事件を報じたことで日本でも大きな話題となり、NHKは「新規起用を当面行わない方針」を明言した。この方針は紅白にも適用されるので、一気に6つの枠が空くことになる。
NHKは穴を埋めようと様々な方面に出演依頼を打診をしているが、サザンオールスターズなど大物はもちろんのこと、これまで冷遇してきた中堅や演歌勢からも良い返事は返って来ていない。
そもそも、ジャニーズファンに限らず「ヲタ」は推しにしか反応しないものなので、代わりの歌手を用意しても視聴の継続はあり得ず、視聴率も例年に比べて落ちてしまうことは確実の情勢だ。
一方、ジャニーズ事務所も積極的に動いており、大みそかには東京ドームで「カウントダウンコンサート」の開催を、Snow ManもYoutubeでスペシャルライブを配信すると発表している。
結局のところ、ジャニーズほどの規模であればメディアに頼ることなく、既存のファンクラブを拡充して、音楽やバラエティなどを配信するストリーミングサービスでやっていけるのだろう。
来年、再来年には排除が終わって再びテレビ局から出演依頼が来るようになるだろうが、ジャニーズ事務所やファンが手のひら返しをしたメディアとうまくやっていけるかどうかも気になる点である。
選考基準への批判にどうする紅白?
11月に入って紅白内定というニュースが出てきた。12日時点で明らかになっている初出場は以下の通り。
パッと見て「あの」が出場することに驚かれる方もいるだろうが、実は歌手としても活動しており、2022年11月23日に配信された「ちゅ、多様性。」はTikTokを中心に話題になったそうだ。しかも、今年の紅白のテーマはボーダレスなので、曲もキャラもうってつけと言ったところでの内定だろう。
また、MISAMOはTWICEの日本人メンバー3名で構成された派生ユニットで、7月にミニアルバム「Masterpiece」でデビューし、早くも紅白内定となった。
長年、紅白関連ネタを見ている自分からすると「相変わらずやってんな」という感じだが、そうでもない人からすると「基準が分からない」と見られても仕方がない。一応、選考基準としてストリーミング再生や話題性、売上などがあるらしいが、本当にそこまで審査しているかは微妙だ。
様々な問題に対して透明性を求める立場である以上、NHKは率先して社会の模範となるよう最大限の情報公開を推し進め、半ば強制徴収されている受信料を安いと思えるような組織と番組作りをしなければならない。
少数精鋭でメリハリのある紅白を
最近では「タイムパフォーマンス(タイパ)」が重視されており、動画を2倍速で見たり、切り抜きやショート動画が多く見られるのは時代の流れと言えるのかもしれない。
しかし、紅白はメインの歌をフルではなく短縮バージョンを強いる一方、くだらぬ企画枠を増やして275分の放送時間を維持している。参考までに去年の紅白で行なわれた妙な企画を抜粋してみた。
夜もヒッパレじゃねぇんだから・・、と思わず言ってしまいそうな内容も含まれ、いったい何がしたいのか読み取ることが難しいものもある。しょうもない企画を垂れ流すよりも、出場歌手にフルで歌ってもらうことこそが大事なのではないだろうか。
今年はジャニーズグループが選ばれないことで出場は16組(昨年比)まで減ることになる。もちろん、放送時間維持のために20組ぐらいまでは補充するだろうが、むしろ今回のことを奇貨として捉え、補充をせず白・紅15組の計30組、企画を廃止して歌一本で勝負するべきだろう。
ボーダーレスや多様性を標榜するのであれば、バランスよく「老・壮・青」にして、K-POPから演歌まで幅広く披露できる場にしてもらいたい。若者は決してバカではない。演歌だろうが歌謡曲だろうが、本物を聞き分ける耳は持っているはずだ。
少なくない人たちが「紅白ネタ」に関心を持っているうちに過ちは改め、反省する点は反省して次の世代に紅白をバトンタッチする、それこそが現役で働くNHK職員の使命と言えるのかもしれない。
最後に、北島三郎(まつり)が勇退したいま、ステージだけでなく視聴者が一体となれる松平健(マツケンサンバⅡ)の紅白復帰を強く願う。年の終わりぐらい何も考えず、頭からっぽで過ごしたいじゃない。
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