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#ショートショート
ショートショート十二支。丑。
私はTシャツの前で立ち止まる。胸のところにGood Ruckと書かれたTシャツの前で。
カントリー調の店内は涼しい。
狭い店内には若い男性二人組や恰幅のいい家族、眼鏡をかけたおじさんなどいろいろな人が服を着ている自分を想像している。
後ろを通った男性は定員か。小走りでレジへと向かう。
店内は本格的に始まった夏が生んだオアシスのようだった。
目の前のTシャツのタグを引っ張り出す。
思
ショートショート十二支。子。
さっき脱いだスリッパが目を離した隙にこちらに振り向いた。
今日は清々しいほどの晴天だ。まるですべてを透かすような青空が広がっている。私はなんでもない道を一人で歩いている。
脇道からふと人の気配がする。しかし、そこには誰もいない。今度は後ろに人の気配を感じる。振り返るが、そこには誰もいない。背中に嫌な汗をかく。
私は猛烈な喉の渇きを感じ、目の前まで迫った家に駆けこんだ。
「ただいま