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RONIの乳がん

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2021年3月2日、29歳で乳がんの告知を受けました。 闘病の記録と言うよりは、その時々で私が何を思っていたか、感情の記録です。
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2022年2月の記事一覧

ピンクリボンポスターショック

ピンクリボンポスターショック

ほんの幼い頃、母だったのか祖母だったのか、そしてスーパーだったのかデパートだったのかももう思い出せないくらい昔だが、私にも福引きの記憶がある。「福引き」、その言葉自体にもうノスタルジーを感じる。
何か買い物をして、レシートの他に小さなツヤツヤの紙切れをもらう。紙には朱色の濃淡を精一杯活かして、一色刷りだけど派手派手しく「○○大抽選会!抽選券:1階カウンター」などと書いてあり、何かとっても良いことが

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初めてのがんセンター

初めてのがんセンター

街の小さな乳腺科で、たった30秒ほどのエコーで7割方乳がんだと言われてから、私の毎日は癌一色になった。

あの日から、数日に渡りがんセンターで検査を重ね、確定診断が出て告知されたのが3月2日。それまでの3週間と少しの日々は、とにかくつらかった、ということ以外思い出せない。
思い出そうとすると、取り返しのつかない過ちを振り返るときによく似た胸の痛みに軽い吐き気がする。
それほどまでに感情が揺さぶられ

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しこりと出会った頃の話

しこりと出会った頃の話

闘病記などという殊勝なものは書けない。でも私の癌人生の始まりから1年が経ったから、つらい思い出を供養したくなった。

癌にまつわる思い出はすべてつらい。告知、手術、妊孕性温存治療、術後病理診断結果、抗がん剤、そして今毎日苦しめられているホルモン療法。
いいことも、学んだことも、得たものも、何ひとつない。
だから私は闘病記は書かない。
ただ、呪うように、まじなうように、祈るように、1年経った日が来る

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