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バルセロナの思い出 バッドトリップ編

2019年1月下旬

年も明けて間もないこの時期に、
自分はスペイン・バルセロナにいた。
東京で出会った旅行客のスペイン人と仲良くなったかと思えば、
約半年のインスタグラムのDMを通じて

”マドリードで洋服のイベントをやるから日本のブランドとして出てくれ”

二つ返事で参加を決めた。
ただ、その時自分で洋服をプリントしたりデザインを作ってはいたが
数ヶ月前に仕事を辞めて無職生活4ヶ月目に突入していた時である。
いわゆるニートです。
普通は、飛行機に乗る金どころか空港に向かうまですらも
怪しいぐらいだと思うのだが、何故かその時は金があった。
飛行機代なんて気にしない程度の。

何故かというと、仕事を辞めてから
時間を持て余す自分は大好きなサッカー。
イングランドプレミアリーグの古豪でもあり強豪、
リヴァプールが大好きでして。

そのリヴァプールを糧に、もっと臨場感や緊迫感を求めて始めた
”ブックメーカー”

(ブックメーカー(bookmaker)とは、欧米における賭け屋である。bookie(ブッキー)とも呼ぶ。台帳(book)をつける人、すなわち日本語のノミ屋を意味する場合が多い。多くが法人として営業している。「ブックメーカー」という名称だが出版社や書店は意味しない。)wikipedia参照


で、10月から5000円を軍資金に始めたが
気づけば30万円以上に膨れていた。まぁ簡単に言えば、
試合の勝ち負けと、点数や誰がゴールを決めるかなど当てる系のギャンブルである。

その時の自分は、賭け金は少ないが1ヶ月の間
大好きなリヴァプールの試合結果(勝敗・スコア・誰が得点するかetc...)
を完璧に当てていた。
運が凄かった。この一言に尽きる。

説明が長くなったがその膨れ上がった軍資金でスペインに旅立つ話である。

スペインに行こうと決めたのが、1月3日。
チケットを獲ったのはその3日後。出発は来週。
ニートだから出来る謎のフットワークの軽さである。

そして当日も道中も全て飛ばして到着しての話なのだが、
日程10日間ぐらいで組んでいて、最初は友人の住む
マドリードで過ごす5日間。そして3日間のバルセロナ。
再度、マドリードに戻ってきて2日間。
という感じである。

とりあえず、前後の話は今回はすっ飛ばすとして
今回はバルセロナでの話だ。前置きが長すぎた。

バルセロナで何をしたかといえば、観光である。
バルセロナの試合を観て、飯を食い。遊ぶ。ただそれだけ。
なのだが、自分にはもう一つ目的があった。

”コーヒーショップ”である。
まぁ大麻ですね。
日本では勿論ダメゼッタイです。(バビロンに騙されるな)
細かい説明はめんどくさいので、気になった方は
自分で調べてみてください。

とりあえず、スペインのコーヒーショップは会員制で
入る店に誰かしら知り合いがいないと入れないのである。
その時は、バルセロナにいる友人のエホブって奴に連れて行って
もらった訳だが、
メインの通りから少しずつ離れて人気の無い方へと進んで行く。
細い道を曲がったり曲がらなかったり。この時点で、もう路上で大麻を吸う光景が見えたり見えなかったり。。。

しばらくすると何も目立つ物のない建物の前でエホブが止まる。
どうやらお店に着いたらしい。

そこのお店はまず看板すらない。

入り口には監視カメラとインターホン。スモークのかかった自動ドア。
まずインターホンを押して、用件を伝え監視カメラに目を合わせる。
すると自動ドアが空いて受付が見えてくる。

ここまで、映画かよって思う様な展開でワクワクした。
そんな感じで、受付の人にエホブから今日は旅行客の友達連れてきたよって
伝えて貰って。パスポートをコピーさせてくれって言われたから
パスポート出して一応契約書みたいなのにサインを書いて
そしたら受付の隣にあるドアがオープンした。

中は、少し薄暗い感じで静かなR&Bが流れる暗いだけの
まさしく”コーヒーショップ”だった。
そこら辺の喫茶店ぽいテーブルに、椅子が並べられて
中央にはバーカウンターがあって。
その奥には、テーブルとは別にクッションが並べられた雑魚寝出来る
リラックスエリアが設置されていた。

今回は、そのリラックス出来るエリアに座ってみた。
テーブルには前のお客が吸っていたのであろう吸い殻と、
プラスチックのケースに入った太巻きの新品がそのまま置いてあった。

(え、何これ?吸っていいやつ?)

だけど、来た事も無いお店にあからさまに置いてある新品の大麻なんて
勘ぐり過ぎて吸えん・・・。
と、そうこうしている内にエホブが飲み物と、何本か買って
持って来てくれていた。

コーヒーショップでは、バーカウンターに飲み物やアルコール。
何種類かの大麻が売っていて好きな品種をチョイス出来る。
砕く前のピルケースの物もあれば、もう火を付けて吸うだけの
簡単大麻も用意されている。

まぁ簡単な話をエホブとしながら火を付けて回し始めた訳なのだが、
ここからどれくらい吸ったか覚えていない。
とりあえず、気づいた時にはストーン状態だった。

エホブに起こされて一旦、お店を出るぞと。
外に出ると、明るかったはずの空が真っ暗に。
もうそんな経ったのか。必死に、お店の中での事を思い出そうとするが
何も覚えていない。思い出そうとしてしている矢先、
気づけばエホブに連れられお洒落なバーに着いた。

そこでも、お酒を飲んだりしたのだが気づけばエホブの友達?
4〜5人も増えており、あれなんかスッゴイ人増えてる・・・
と思えばまた次は、エホブの家に行くぞと。

もうここら辺も、吸って飲んで吸って飲んで。
曖昧どころか、本当に現実なのかも怪しいのだが、
とりあえずエホブ宅に着いていた。
玄関入ってすぐにリビングがあって、ソファを見つけた瞬間
彼女に挨拶をしながら高速でそのソファを占領した。

もうバッドに入りかけていたのである。
基本、自分は吸う時はお酒は適量と決めている。
単純に飲み過ぎると、面白く無くなってしまうから。
ただこの時は、バーで飲酒もあってもう手遅れだったのだ。

気持ち悪過ぎて、朦朧となりながら回ってくるジョイントを吸う。
片方の手をソファから、ブラブラさせていたのだが
しばらくするとそのブラブラさせている手先に違和感を感じ始めた。

何か、音がする。貪る様な。何かに食われている??
怪物の様な息遣いに。自分の手が喰われている。
突然の事に、認識できず。うろたえていたのだが、少し冷静さを取り戻し
その手先の正体を確認する事にした。
悪夢かとも思えたその正体は、犬であった。

エホブの飼うチワワに、ひたすら手を舐められ、甘噛みで噛み付かれ続けていたのである。
普通に素面であれば、クァワイ〜ですむのだけど、如何せんこの時は
もうバッド状態。
悪魔の使いと勝手に認識している自分は、このチワワに恐怖を感じており
自分にしか見えていない物だと思っていた。

必死に抵抗するが、遊ばれていると勘違いするチワワは
ひたすらキャンキャン言いながら自分の手に噛み付いてくる。
地獄の様に感じた自分は、逃げる目的と、バッド状態に入ってから来ていた吐きたい目的で
「トイレに行けば助かる・・・!!」と、ダッシュでトイレに駆け込んだ。

無事、逃げ込んだはいい物のそのトイレ何故かドアがモザイク調で、
ぼんやりとだけなら姿が見えるのである。
証明も付けずにトイレに入った自分がドアを見ると
完全にオモチャ認識したチワワがドア前で、張って待っているのが見えた。

ただ、この時の自分は
「やばい・・・悪魔が、ドアで待っている。俺を殺しに来てる。」と
バッドトリップ特有の謎モードに入っていた。

このバルセロナという何も知らない土地で、
知らない人(犬)達に囲まれ
知らない家のトイレで焦る気持ちと、気持ち悪さWパンチを食らった自分は
泣きそうになりながら綺麗に掃除されているであろう陶器の様な
その便器に、ありったけの気持ちをブチまけた。


そこから先は覚えていないのです。
起きたら自分の泊まっているマンションのベッドにいた。
何は共あれ。無事、生還した私はその日はそのまま二度寝をかまし
夕方に起きて、泊まっているマンション下の
字も読めないお店のサンドウィッチを頬張りながら
1ブロック先のカンプ・ノウを目指すのであった。


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